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冷は急いで走る。
戦うと見せかけたのだった。
ウル森でスキル、オメガラウンドを使用し魔人ガーゴイルと距離を取るのに成功した。
(意外に上手くいったな)
魔人ガーゴイルは、完全に冷の行方を見失う。
目くらましとしている間にウル森を駆け抜ける。
コットルの町に到着した。
途中振り返るもガーゴイルは追いかけては来なかった。
(どうやら追いかけては来ないみたいだな。俺の作戦勝ちってわけだ。リリスらはコットルの町に着けたかが気になる。もうとっくに着いてるはず。先ず冒険者ギルドに向かおう。ギルドに行けば話は早いだろう。それにしても気になる点がある。ガーゴイルは俺の首を狙おうとしていた。あれば何だったんだ。なぜ首を。それに強いスキルだぜ)
到着すると冒険者ギルドへ。
店内にはアリエル、ミーコ、リリスがテーブルについていた。
冷と目が合うと立ち上がる。
「冷!!!」
「冷氏!!」
「生きてたかよ!」
「おお、今帰ったぜ。君たちも来れたようだな。それで草はどうなってるのかな」
(それが1番の気になる点だから。良い結果ば出ればいいのにな)
「現在錬金術中」
「少し時間がかかるみたいで、私達はここで待っていたの。冷の所に行くか迷ったの」
「来なくて正解。ガーゴイルは強いぜ。それと錬金術士が対応してるのだな」
(もう作ってるてことは、間違ってなかったわけだ)
「冷こそ良く無事に来れたわ。魔人はどうしたの? まさか倒したとか……」
「いいや倒してはいないさ。俺も戦っている場合じゃないだろ。上手く逃げれるようにしたのさ。まだウル森に居るだろうよ。追いかけては来ないから大丈夫だろ」
(コットルの町には来ないだろう。来るならもうとっくに来てるはずだ)
「ここには来ないてことね。それを聞いて安心」
ミーコは安心したので笑顔が溢れる。
「しかしなぜガーゴイルが来ないとわかる?」
リリスが疑問に思う。
「冷を追いかけてきても不思議はないわよね」
「俺も考えた。もし町に来てるなら、いつでも来てたはず。今まで隠れていて町の人は誰もが知らなかったんだ。来ないと思う」
(あくまで予想だけど)
「不思議だわ。森にいる理由がわからない。冷が来ないと言うなら信じましょう」
「来たらお前が戦えばいいしな」
「結局は俺かい!」
「はい、そうなります!」
冷が無事に帰ったため、ホッとするアリエル達。
からかったのは、嬉しさからであった。
周りにいる冒険者達は魔人ガーゴイルと戦ってきた冷を見て震えた。
ガーゴイルと戦って生きて帰ってきたからであった。
近くに来て声をかける。
「冷さんですよね」
「はい俺だけど」
「魔人ガーゴイルと戦ってよく生きて帰れたな。考えられないがあんた強いな。噂は本当だったんだ」
「俺って噂になってるの?」
(いい噂なら歓迎だよ)
「もの凄い噂だよ。サイクロプスも倒したって、しかも新人の冒険者が!」
「いや〜そんなに凄いって言われると照れるかな」
(いい噂されるのって気持ちいい。もっとして欲しいです)
「握手してくれませんか?」
冒険者達は集まってきて冷に握手を求める。
「ああ、いいですよ」
(まるで芸能人だな)
断ることなく気安く握手してあげた。
安心しきった冷。
リリス、アリエル、ミーコを見て落ち着いたところにギルド店内に入って来る。
「出来ました。錬金術を使い、薬が出来ましたよ!!」
ギルドに薬が出来たという報告にきたのだった。
念願の薬の成功に急ぎ足できた。
「成功したのかい、これで子供達の伝染病は治せるのだろう、良かった!」
「良かった!」
冒険者からも祝福の声が巻き起こる。
待ちに待った薬。
この一報をみんなが待っていた。
「アリエルさん、あなた方のおかげです。町は救われるでしょう。感謝します!」
ギルド店員は涙を浮かべて喜ぶ。
言われたアリエルも嬉しくなっていた。
「早く治療してあげてください。薬を待ってるはずです」
「良かった出来て!」
「冷の活躍か。また人気が出るな、ウザいかも」
リリスは嬉しさを上手く表現できずに冷を罵った。
「リリスも人気出るだろ」
「うっ。そうなるか!」
薬は直ぐに配られた。
「本当にありがとうございます!」
薬が成功した話は町中に広まった。
親は我先と薬を欲しがる。
子供の病気が治せる日を待ちわびていたからだ。
「お願いいたします。私にも薬を!」
「ウチにも1つください!」
「はい、並んでください。まだ薬はありますから大丈夫です。冷さん達が持ち帰った成果です」
「やっぱり冷と女の子達は凄い!」
「ありがとうございます」
「いいえ。良くなるといいですね」
ミーコもお礼を言われて涙ぐんでしまった。
「こんなにも喜ばれるなんて」
リリスは驚いていた。
普段は喜ばないリリスもこの時ばかりは嬉しさを隠しきれない。
「魔族だからだろうリリスは。人の役に立つのは経験がないのでは」
「まぁな。そもそも人を助けたいなんて思ったことは一度もない。むしろ敵対していたくらいだ。人の気持ちはわからないが、嬉しがってるのはわかるぜ」
「そうか、リリスにも人の心があったようだな」
(俺は少し嬉しく思う。リリスも人の心がわかるという点にだ)
リリス自身も気づいていないが、このメンバーになってから徐々に変化していた。
魔族にも心の変化があったのだった。
「うっせ〜。魔族、魔族て。その言い方だと、まるで人族になったみたいだぞ。それは嫌だ。あくまで淫魔だ。魔族であることを誇りに思っているのだ!」
嬉しいのに淫魔なのだと嬉しがってはダメだとなり、つい怒ってしまった。
怒っていても怖くはなかった。
「わかった、わかったリリス」
「そんなにムキにならないの!」
薬が手渡されて町は歓喜にわいた。
一時はお祭り騒ぎも起こるくらいになる。
長年苦しんできた伝染病が治せるのが嬉しいのだった。
「俺達は宿屋に戻ろうか。これで俺のやりたかったことは出来た。みんなには危険な目に合わせたけど」
(生きていて良かった)
「冷が謝ることはない。魔人がいるなんて情報は知らなかったのだし。町の人すら知らなかったんだから」
「ウル森に入りさえしなければ、ガーゴイルも問題ないと思う。今までだってそうだったのだし。ウル森に入った人だけ襲っていたと俺は思うぜ」
(これで俺の役目は終わりだろう)
「それは言えてます。町の人にも忠告しておきましょう。2度とウル森に入らないように」
アリエルはギルド側にその件を伝える。
ギルド側の店員達は、
「言われてみれば、理由がわからないですね。気をつけるとしか言いようがないです。これなら王都からの応援も必要ないかもしれませんね」
「応援が必要なければいいですね」
宿屋に入り休むことにした。
冷は戦いの際に深い傷を幾つも負っており、横になりたかったのだ。
「あら、こんなに傷を……。やはり相手は中級魔人。酷い傷です」
ミーコは傷をみて改めてガーゴイルの強さを知った。
「大丈夫さミーコ」
強がってみるが明らかに怪我はしていた。
(この程度の怪我なら修行中にいっぱいしていたから、大丈夫だろう)
「アリエルなら治せるかも、だってスキル使えば」
「やってみますか?」
「頼むよアリエル。キミの聖なる治癒で」
(アリエルなら治せるのだったな。すっかり忘れていた)
てをかざして魔力を注いだ。
「聖なる治癒!」
アリエルはベッドに横になった冷に対して聖なる治癒を施した。
女神限定のスキルである。
深い傷は流血していたが、次第に血は止まり傷口もふさがっていった。
この程度の傷口ならばかなり短時間で効果がある。
消えていく傷をみて、
「ありがとうアリエル、だいぶ痛みが減ってきたよ。それに傷口も治ってきてる。少し寝れば完全復活出来そうだ」
(初めて受けたが、癒やされていく感じがした。なんていうか優しい看護を受けた気分)
「女神なんだから本来はこの程度は当たり前なのです」
「言うじゃんかアリエル」
「言いますねアリエル」
「わかったようね」
少し傷口を治しただけで、リリスとミーコにも褒められて、大変に満足した様子になる。
しばらく宿屋に居た時に、宿屋の外が騒がしくなった。
薬が効いて伝染病が治ったのかとアリエルは感じて窓から外を見る。
「外は騒ぎしてるわ。きっと子供達が伝染病から回復したのかも」
「あれ、でもちょっと違くない? 嬉しいはずなのにどうも嬉しそうに見えないけど……」
ミーコはアリエルと違い、違和感を感じた。
「そうかしら……」
アリエルにはそこの違いはよくわからないでいた。
ミーコには慌てて怒鳴っている風に見えたのだ。
「リリスはどう?」
「どう見てもダメだろこれ、薬が効かなかったってことだな。それしか考えられない」
「効かなった!!」
「つまりは効果がなかった」
「嘘よね、せっかく作ったのに……」
「それじゃ失敗だったと。とにかく外に行ってみればわかる」
リリスが言うには失敗となったので確認する為に外に行くと、人々は怒ったり泣いたりしていた。
声をかけてみると、
「どうされましたか?」
「あ、アリエルさんでしたか。く、薬を飲ませても全く変化がないの」
「ウチの娘もダメ」
「息子の伝染病はどうなるんだ!」
リリスが言ったのが当たっていた。
「えっっ!!」
「やはり……」
「こんなことが……」
嬉しくない結果になった。
苦労して手にした草はダメだったと言われる。
「錬金術士の話ですと、草から調合したのが効果あるというのはデマだったらしい。誰かが嘘をついていたとか」
「残念としか言えません」
「あなた方のせいではない。体を張って取ってきたのだから。むしろ国王にこそ恨む。国が効果があると研究結果を発表したのだからな」
アリエルも困惑するしかなくなった。




