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シーホークは1匹討伐に成功する。
冷はアリエルのスキル、聖なる治癒に可能性をみた。
パーティーで長く冒険するには必須の能力と言えた。
そしてリリスのスキル、ディープスピンを高く評価した。
接近戦も出来るし、やや離れた所からも攻撃可能となり、状況に応じて対応していけるからだ。
戦いでは、攻撃パターンが広い程、有利である。
両方が戦えるのなら絶対にいいのだ。
2人の成長を実感できた冷は喜ばしく思えた。
しかし喜んでばかりは、要られない。
シーホークが1匹だけとは限らないからだ。
油断は怪我のもと。
直ぐに油断はしないように指示をすることに。
「おい君たち、シーホークはまだいるかもしれないぜ。周りに意識を集中させるんだ」
「わかったわ。他にもいてもおかしくない」
アリエルが頷いた。
「そうです、アリエルの言う通りです。聖剣ヴェルファイアで今度こそ、しとめてみせます」
「気合い入ってるね」
「このままだと私だけ活躍なしですから」
「活躍してその分の金をもらおうてこんたんでは」
「えっ! 違いますから!」
ミーコは否定する。
「その否定の仕方が怪しい」
「冷氏、なんとか金の為にていうのを晴らしてください」
「俺も思ってたけど」
「冷氏っ!!」
「悪い、悪い、忘れてくれ。みんな、これからがクエストの本番だぞ!」
「はい!」
リリスも気を引き締める。
シーホークは冷の思った通りにまだ森に潜んでいた。
それも5匹もいた。
1匹でも苦労したのが数が増えたことで接戦となった。
聖剣ヴェルファイアでの攻撃は、やや磨きがかかった。
力をつけるトレーニングをした成果といいたいが、腕力はそんなに早く身につけられない。
まだ発展途上といえる。
リリスは魔剣グラムで斬りながらディープスピンも使用。
だが放つには魔力を溜める必要があるので、放つタイミングを逃すこともあり、まだ訓練が必要となった。
アリエルは風のスキル、シルフィードを放つ。
全体攻撃が出来るのが1番の強みなのに、敵のあまりいない所へ使うという、使いどころの間違いもあった。
それぞれ冷は考えさせられることに。
(まだまだ訓練の必要があるなこれは。無駄が余りにも多いし)
次の訓練のしがいがあると意気込む。
今まではじっと静観する立ち位置で、生徒たちでもあるから見守ってきた。
さすがに5匹となると相手に歩がある。
このままだと彼女達が瀕死にでなりかねない。
冷はここでついに参戦を余儀なくされた。
(やっと俺の出番てとこか。鳥だけに戦いかたにはあるが、普通にいけばナギナタで叩き落とすのがいい。でも俺はある事を考えついたのだ……)
冷はシーホークとの戦いに向けて、ある事を実行したいと思った。
それは魔人サイクロプスから奪ったスキル。
烈火の拳とインフェルノである。
これは火属性の強力な破壊力のあるスキルであった。
冷が1番よくわかっていた。
戦ってこそわかること。
危なく命を落とす寸前まで追い詰められたスキル。
それをシーホークで試そうというのだ。
「君たちに言いたい。だいぶ苦戦してるだろう。ここは俺が参戦するから君たちはいったん下がっていてくれ」
「冷が……わかったわ」
アリエルが返事をし、続いてミーコとリリスも下がっていく。
いったい何をするつもりなのかと。
「まだ数はいるけど」
「冷氏に任せましょう」
「きっと見ているだけでは物足りなくなったのよ」
「そうだと思った」
「まぁ私たちは、後方に下がりましょう」
冷は考えを実行に移す。
適当にシーホークが1匹いた。
まずは烈火拳から試そうとした。
これは拳に火属性がつくものだ。
「烈火拳!」
冷は自分の腕に熱いものを感じた。
熱いといっても耐えられないわけではない。
冷の拳と合わせた技となる。
(よし、あのシーホークにぶつけてみよう)
シーホークは何も知らずに冷に降下して殺しにきた。
速度は十分にある。
冷はシーホークが近づき寸前で烈火拳を当てた。
ただてさえ、破壊力のある冷の拳。
それだけで恐らくは殺せただろう。
さらに火属性スキルが加わった。
結果はシーホークが見事に吹き飛んでいった。
体は炎で燃えて焼かれていた。
煙がたっていた。
(おお、俺の拳プラス火属性。相手にとったら怖い拳になったな)
「なんでしたか、今のは。シーホークが焼かれていました」
ミーコはあっけにとられてしまう。
苦戦していた魔物がいとも簡単に焼かれたらだ。
「一瞬で焼けたようだわ!」
「あんなの覚えているのかよ!」
「頼もしいを通り越してます」
「これは火属性スキルの烈火拳だ。相手を燃やす効果があるようだ」
烈火拳の力を知ることになった彼女達は驚いて感心した。
「さすがお前……。ちょっと褒めてやろう」
リリスも驚いているが、素直ではない為に強がって言った。
「スキルのテストはわかりました。さすが冷と言わざるを得ないです」
「素晴らしい。この新しいスキルなら無敵でしょう」
「もう十分にみせてもらったよ。帰りの準備としょうよ」
「これで驚いていたら困るぜ。俺のスキルはもう1つあるのだからな。しかも烈火拳よりも上のレベルだろう」
「えっ!! もう1つですと。これでも凄いのに、さらに上のレベル!」
「いやいや、それはないだろう。いくらなんでも……」
「そうだよ冷氏、嘘はいけません!」
「嘘はついてないぜ」
「では本当にもう一つあると?」
「よくみてろよな…………」
烈火拳で赤くなっていた拳はよりいっそう赤くなる。
手からも湯気のような蒸気がたつ。
感覚的には、インフェルノは破壊力があるのとわかった。
それも桁違いに。
(これは凄いスキルかもな。とりあえずシーホークにぶつけてみればわかる。烈火拳と比べるとどうなるかが)
そこでシーホークが数匹向かって来ていたところで、インフェルノを繰り出した。
拳は次々と連発されて全てシーホークに的中する。
烈火拳では少し焼かれた感じであった。
今回は違った。
インフェルノではもはや真っ黒な感じまで焼かれたレベルになっていた。
冷の拳の打撃力とインフェルノの破壊力が合さる。
「ふう……。こいつはマジで使えるスキルだぜ。これからは役にたちそうだ」
(今までに覚えているスキルでフレイムバーンがあった。あれも同じ火の属性魔法。しかしより強力なのは烈火拳となる)
「……冷、これは凄いです。真っ黒コゲです」
アリエルは少しあきれた風に言った。
「確かに凄いなお前……。てゆうか焼き過ぎだ。ここまで焼く必要ないが」
もっとあきれた風な顔のリリス。
「シーホークの丸焼きが完成しました。食べれそうですので食べてみます…………うむ、ちょっと表面はコゲてるが中は美味しい鳥肉でした」
ミーコはシーホークを手でつかみ取り、なんと食べてしまう。
いきなりの行動に周りは止めようがなかった。
「あ……ミーコ、食べて大丈夫なの。それって魔物よね」
「ええ魔物。でも焼いた匂いが美味しそうでしょう。つい食べてみた。大丈夫です、毒など無いし」
「……本当だろうな、どれどれ1口食べてやろう。見た目は普通の鳥肉だがな、味は……美味いぞ、これはイケるな、アリエルも食ってみろよ」
リリスはミーコが食べてる姿をみてて、つられて食べてみた。
食べてみたところ、とても美味しい鳥肉であったのでもう1口と食べてしまう。
オマケにアリエルにも声をかけた。
「わ、私は要りませんことよ。なにせそんな野蛮な物を女神が食べるわけないでしょう。まして魔物を焼いた肉など、女神のプライドが許しませんことよ」
バッサリと否定するアリエル。
見た目がアウトドア過ぎて女神とのイメージが合わないのが原因となった。
アリエルはあくまでもイメージを大切にする。
「そうかよ、じゃあアリエルの分は無しにしとこう。ミーコと食べてしまおうな」
「そうしましょう、モグモグ……」
ミーコも女神など放っておいて食べることに集中した。
それを見たアリエルは、少しだけ後悔。
美味しい匂いが鼻に届いた為だ。
それはとても魔物の匂いとは思えない程に香ばしい匂い。
食べたいと強烈に食欲にかられた。
だが女神絶対にそんな物を食べないと言ってしまっただけに、今さら食べさせてとは言いにくい空気ができていた。
なので、もう一度食べないと言う他ない。
「…………要りませんことよ!!」
「おい、俺にもくれよ。ずいぶんと美味そうにしてるな。どれどれ……美味いな、アリエル、本当にいいの?」
「…………要らない!」
結局は食べないと言い出せずに、アリエルは町に帰った。
柳生 冷
性別 男
種族 人族
ユニークスキル スキルストレージ
職業 無職狂戦士バーサーカー
レベル4401←300アップ
体力 17109←800アップ
攻撃力 17109←800アップ
防御力 17109←800アップ
魔力 17109←800アップ
精神力 17109←800アップ
素早さ 17109←800アップ
剣術レベル2039←200アップ
柔術レベル2039←200アップ
槍術レベル2039←200アップ
弓術レベル2039←200アップ
斧術レベル2039←200アップ
鷹の目を覚えました。
新しいスキルである鷹の目を覚えることに成功した。
術レベルはついに2000レベルを超える。
卓越した術にさらに磨きがかかった。
この程度の魔物なら相手にならない。
成長は止まらずに勢い良く上がっていて、冷もどこまで上がるのかわからない。
(新しいスキルを覚えて、大変に満足のいく日々だな)




