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「武器を出してきたとして、はっきりと言おう!! 割が合わないだろ。そんなパチもんで俺を釣ろうとしても無駄」
サイクロプスには源泉がなくなれば資金を稼ぐ手段がなくなる。
この源泉は始まりに過ぎない。
人族を支配する為の一歩である。
まだこれから支配を広げていくつもりだけに、手放す必要性はない。
その代わりにしては、ごく普通のナギナタにしか見えない。
価格的には100マリも出せば購入できそうな品物。
つまりはパチもんをとんでもない値段で取り引きさせる詐欺。
「そうかい、それは残念だなぁ〜。このナギナタは嘘偽りない物だったんだけど。あんたが要らないならこの取引は中止か。取引は中止となったら俺の意見は取り入れてもらえないと思っていいのだろう、もう温泉を手放す気はないったことだろサイクロプスさん」
(かなりサイクロプスが特する話だと思うけど、無理でしたか)
「無意味な提案を持って帰りたまえ。それとも無理矢理にでも押し付けるか。買わんぞ」
「このまま帰る? 冗談だろう。俺は帰るつもりはないし、温泉は手放す気がないなら、手に入れるまで。最初からそのつもりだった。あんたが簡単に俺の提案にのるとは思ってなかった。だったら俺は強行手段に及ぶまでさ。あんたが言った通りだよ。ここであんたを力づくで認めさせる。それが俺の考えだ」
冷は椅子に座ったままだが、手にはナギナタを握りしめ、いつでも戦闘できるようにしていた。
(やはり戦うしかない。こうなったら一騎討ちだ)
「へスティを倒したのは冷、お前だな?」
「なんだ、バレてた? だったら話は早いよな。俺から行くぜ!!」
冷はナギナタでテーブルを上から振り下ろして叩き割る。
(バレてたとは、失礼なことだ。早く言えよな)
「危ない男だな……やはりピルトの町で見た時に殺すべきだった。俺の判断ミスだ。だからこの城でお前を殺してやろう!」
「やはり魔人、怒るとこうなるよな」
サイクロプスは体勢を起こし、テーブルから離れてナギナタから回避した。
後方に素早く移動し冷を見据えた。
両者はわずかの間見合ったが、即座に攻撃に移る。
お返しにサイクロプスが冷に接近し体に蹴りを食らわした。
冷は寸でのところでかわしたのでかすり傷程度で見切った。
(接近戦は出来るなサイクロプスは)
サイクロプスが武器を持たず接近戦で応戦したことで、サイクロプスの戦い方が見えた気がした。
接近する速度、蹴りの切れ味を1度見ただけで判断できる。
冷の持つ数多くの対戦経歴からわかる眼力とも言えよう。
(サイクロプスは格闘タイプの魔人か。魔法も使うのか見定める必要があるな)
冷がナギナタを腰に付けて、素手の格闘戦に持ち込んだ。
途方もなく速い拳闘。
(俺の拳が見えるかな)
サイクロプスは冷の拳が完全に見きれない程に速く、自身の体に傷を付けていったのには驚いた。
かつてサイクロプスの体に拳で傷を付けたのは記憶にない。
防御に回るのが精一杯にまで押された。
椅子が吹き飛ばされると、部屋にあった美しい彫刻品に当たり破壊された。
「う、う、う、う…………その拳闘術。どこで覚えた?」
「俺は家系が武道一家。生まれた時から訓練されているのさ。それよりもあんたの腕も大したものだ。俺の拳闘についてこれるのだから。褒めてやろうと言ったら上から見過ぎだけど、この冷こと俺は拳闘術においては世界最強だ。その俺と拳闘で挑戦するとは分が悪いなサイクロプスさん」
実際に部屋はめちゃくちゃに破壊されたおり、サイクロプスも苦しい戦況と言えた。
(さぁ、まだ拳で勝負するかい?)
それはサイクロプスも重々承知していて、ここまでの技量があると思わない。
次なる手はいったんは戦況を変える手に出た。
「分が悪いか。随分と舐められたもんだ〜。それもたかが人族の者に。長く生きてきたがお前ほど強い拳闘術を持つ人族は初めて見た。次はこうはいかないぞ!」
「褒めていただきありがとう!」
「喜ぶな!」
サイクロプスは扉を蹴破り部屋の外に出た。
(逃げる気か……)
姿が見えなくなると冷は、相手が城から居なくなる、つまり撤退したのか、それとも隠れて攻撃の機会を伺っているのかのどちらか判断をする。
逃げた思わせて背後から来る行動は経験があった。
勝ったと油断した矢先に襲われ抹殺されるのもあり得る。
冷はサイクロプスの魔力を追った。
部屋の外は誰も居なく、殺気もない。
(どこに行ったんだ……)
冷が通路で立ちサイクロプスの気配を探していた時に別の部屋の壁が突然壊れた。
壁を破壊したのはサイクロプスの腕。
(クソッ!)
冷はとっさにかがみ込み難を逃れた。
しかし気配を察することができず負傷してしまった。
背中の一部の鎧が壊れて傷を負う。
(背中が!)
その傷からは湯気がたっていた。
一瞬のことではあるが、痛いと言う感じよりも熱いと言う感覚であった。
背中を打撃されたのに、衝撃は火傷に近かった。
(なぜか熱い、火傷に近い!)
「ほお〜この火拳、烈火拳をよくぞかわした。まぁまともに食らっていたら今ので死んだだろうが」
[烈火拳]
灼熱の温度を拳に与え、強烈な打撃力を持つ。
「烈火拳だっ……なんて熱い拳なんだ! 火傷じゃ済まねえぞ」
(熱したフライパンみたいだ)
「この拳は炎で包まれ熱せない物はないんだよ。わかったかい。お前の人族には出来ない素質。違うんだな」
「う〜ん、こんなに熱いのは俺の不利ってことか」
「要するに拳と拳では勝てませんよってことだ。おまえの拳が熱さで溶けちゃうから」
「……厄介だな」
壊れた壁。
その壁から聞こえる声はサイクロプスの声であった。
壁をぶち壊して姿を見せると腕は赤く燃えているようにも見える。
「それがあんたの秘技か。確かに危ねえ技だ。話に聞いた王都軍10万人を殺したとか。嘘だと思っていたけど烈火拳なら可能だな。あの話はリアル話かい」
(普通には無理だろうから)
「10万人殺した話は本当だ。それを聞いて尚戦いに来たのは驚きというしかない、いや馬鹿と言ってやろう冷。この烈火拳を食らって未だ生きてかえった者はいないのだけは教えてあげよう」
「次から次からありがたい情報をくれるよな」
背中を抑える冷に痛烈な一言をいった。
しかしその一言は決して嘘ではない。
人族をこれまでどれほど殺してきたか、サイクロプスですら数え切れない程に達していた。
「怖いなら、帰っていいぞ」
「怖いだって? 逆に俺が最初のひとりになってやろう。その時はあんたは最後だがな」
(要は当たらなければいい)
「ふふ、どうやら早く死にたいようだな。受けてみな、烈火拳!!」
冷が言い終わりきると同時に烈火拳が放たれた。
業火のごとく腕は冷を捕らえる。
空気は熱で霞んで見える。
烈火拳が衣服に触れた。
(うっ……。当たるか)
たったそれだけで蒸発し衣服は触れた部分がなくなっている。
今まで冷が互角以上、むしろ押していた戦いは烈火拳によってサイクロプスが有利になり、冷は後方に逃れるのがやっとであった。
(防御できない攻撃とは、マイッたな)
防御しようにも烈火拳を腕で防ぐのは、絶対にさけないと腕を失うことに繋がる。
防御できないとなると、冷は直接的な打撃戦から戦い方を変える。
(アレに当たったら、おしまいっぽいな。それなら俺も奥の手を出すか)
「もう終わりかい、思っていたよりも弱かったな」
「まだまだですがサイクロプスさん。ここからが俺の凄いところさ」
「ほお〜強がるな。その気もちだけは認めてやろう」
冷はサイクロプスから距離をとることで、ダメージは受けないようにしたが、その結果苦戦は避けられない。
その間サイクロプスは烈火拳を繰り出して、腕に触れた物を焼却した。
洗練された食器や花瓶もことごとく壊して燃やした。
(何でも燃やすかよ、こいつは)
部屋の扉も開けるのではなく、殴り壊しながら部屋を出るという豪快な行動に。
少しでも遠くに行かないと不味いなと、サイクロプスから遠ざかった。
(距離をとって攻撃のチャンスをみつけよう)
「ふふふ、隠れても無駄だぞ冷」
「……」
(こっちもスキルで対抗するとしよう)
冷は相手の烈火拳に対してスキルで対抗する。
(火には水って言うから、新しいスキルの出番とするか)
そこで水竜斬りを選択した。
水属性のドラゴンブリザードと斬鉄斬りを組み合わせて世界でたった一つのオリジナルスキルを創作した。
まだ見体験だがこれに賭けてみることにした。
(はっきり言って、通用するかは使ってみてのお楽しみと)
サイクロプスは一歩ずつ歩き、怖くて逃げたと思う冷を探していた。
へスティと自分とでは格が違う。
所詮、本気を出せば逃げるのは仕方ない。
もう少し骨のある相手かと思ったがとサイクロプスは冷に弱さにガッカリした。
その時であった、冷は距離にして10メートル、サイクロプスの前に姿を表した。
(サイクロプス、スキありだぜ!)
「逃げてばかりでは勝てないぜ冷!」
「もう逃げない。こっちも反撃としますか。俺のスキル水竜斬り!!」
[水竜斬り]
斬った相手に水属性の巨大ダメージを与える。
斬鉄斬り+ドラゴンブリザード
ナギナタはスキルの効果で水色に変色した。
「さぁ、来い。決着をつけようぜ。烈火拳が上だと思い知らせてやろう!!」
サイクロプスはナギナタがスキルで効果されたのを知っていて、上等だとおもい腕に今まで以上の力を込めて冷に向けた。
「言われなくても攻撃しますっ!!」
燃える腕と水竜のナギナタが交差した。
(どうなるかな!)




