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 ミーコが手探りで触れたら、なにやら柔らかい感触の物に触れる。

 何の感触だろうかと考えてもわからず、一瞬であるが手が止まった時に女の子の声があがった。


「や、やだ〜〜〜〜〜〜〜!」


「その声はアリエルか!」


「はい!」


「誰かいたとか?」


 冷は急に悲鳴とは違った、でもなにやら異変があったものと察知し、その声の持ち主がアリエルであるともわかり、確認した。


(テントに何かの不信な物があったか?)


「……冷ね、この暗闇を利用して触るなんて、初めからそのつもりだったんだわ。許せないですことよ!」


「痛っ!! 何すんだ! 俺を勘違いしてねぇか!」


「この期に及んでしらをきるき!」


「だから! なんの事だよ!」


 冷は突然に顔面の皮膚に物体が当たった感触、よく見えなかったからわからない、のせいで顔を横にふっ飛ばされ、ほおに激痛が走ったので痛いと口走った。

 冷のいつもの能力なら、察知して避けることは不可能ではないのだが、テントの中は魔物もいるわけないし完全に不意を疲れた形であり、まともに食らったのだった。

 その衝撃を与えたのはアリエルであり、暗闇に入った途端に自分の大事な胸、これは女神のシンボルでもある、それを突然に鷲掴みされ犯人は冷だと判断し、こんな仕業は冷しかいないと独善的に判断したのはリリスとミーコが触る理由はないし、冷の声のする方に全力で平手打ちをおみまいしてあげた。


(痛いなぁ〜。俺は何もしてねえぞ)


「女神の胸に触った罰よ!」


「ちょっと待てよ俺はキミの胸に触ってないぞ」


「この暗闇で触るなんて男として情けないわ」


「待てアリエル、少しは落ち着けって! 意味がわからないから!」


 意味がわからない理由で殴られたとわかった冷は必死に弁解する。

 全くの誤解であって触るわけない、いや触りたい気持ちはなくはないがこのタイミングでは考えてなかった、にしても平手打ちはないだろうと思った。


(暗闇を利用して触るか。そういう方法もあったのか。いやいや俺は何もしてねえけど)


「触ってないですって? 嘘つきは通用しないことよ。私の両胸を揉んだでしょ!」


「揉んでない」


(俺じゃない誰かだろうが誰だ?)


「えっ……そうなると誰かしら……」


「最初に俺を疑うのなら後で謝ってもらうからな!」


「で、でもね、冷しかいないわよね……」


「さぁな、俺以外の誰かにきいてみなよ!」


 未だにテント内は真っ暗である、きっぱりと否定した冷にアリエルは、自らの早とちりだとこの瞬間にわかったのだが、わかったにして冷以外にエロい考えを持った者がいるかと言えば、思いつかない。


「ほ、他のって誰よ!」


「そんだな、例えば……正直に言えリリス!!!」


(この際リリスのせいにしてみるか)


 勝手に自分の名前を出されたリリスは、


「ふざけるな! なぜ故にこの女の胸を揉む必要がある。たいしてない平べったい胸をだ!」


「いや、違うのか。例えばの話だよ例えばの」


「いつも私のことを疑って見ていたんだろ。それで私の名前を出したとしか思えないぞ!」


「誤解だ、誤解です。俺はリリスを犯人だと言ってない。犯人を見たかって聞こうとしたのだよ!」


 冷が疑ったのはリリスであったのは、普段からいがみ合いがある2人だけにこの暗闇を利用してイタズラを仕掛けたと、ミーコが触る理由はないので、判断し追求したらリリスは冷の考えとは逆に反論された。


「どうも嘘くさいけどな、その言い訳じみた謝りかた」


 リリスに振って反撃されたので、残りのメンバーからしてミーコが浮かび上がる。


「リリスっ! 胸が小さいってのは余計です!」


「ああ、すまん。ムカっときてつい本当のことを言ってしまったのだ!」


「私もムカっときますから!小さいとか!」


「では、リリスではないとなると、残りは……ミーコか?」


(ミーコがするかな?)


「あっ、えっ……と、そ、そうかなぁ。もしかしたら暗いから間違って触ったとしたら悪い悪い、あはは」


 ミーコは最後まで自分から触った事実は明かさず黙っていて、いつ言い出したらいいかのタイミングを失ったのもあり、すでに冷が被害が出たのがわかり不味いと思い、最後に追求された形となったあげく照れ笑いでごまかした。


「あはは、じゃないだろ!! 俺はおかげて平手打ち、犯人扱いだぜ」


(ミーコには、おしおきだな)


「う〜ん、早く明るくしないからです。直ぐに明るくしてればこの様な事態は避けられたはず。つまり悪いのは冷氏となります!」


 最後に来てミーコは全責任を冷に無理矢理な理由で押し付けて、自分に否はないとしたのだが、自分でもこの理由はかなり無理があるなと思っていても他に思いつかなかった。


「なっ! 俺が悪いてか」


「そうです、冷氏は普段からエロいことするから、先入観が働いた。早く明るくしてれば良かったのです。つまりは冷氏の失態です!」


「な、な、な、な、な、な、なんだそれ……まぁ謝るよ、俺が悪うございました。とにかく明るくします」


「謝ればよろしい。そして早く明かりを!」


「ああ、わかりましたよ! つけりゃいいんでしょ!」


 冷はもう反論するのはあきらめて謝罪したのは、これ以上言い争って勝ち目がないとみえたのが最大の理由であるとして、普段からエロいことという点には異論はなくその通りだけに敗戦することに決めた。


(それは否定できないか。明るくするとは……ダンジョンライトが使えるかな)


 そこで以前に習得したスキル[ダンジョンライト]を使用してみるとテント内は一気に明るくなり、全員の顔がハッキリと映し出され、アリエルは怒った顔であり、リリスはどうでもいいやという無表情に、ミーコは冷に照れ笑いとなっていた。


「ミーコ、今度からは素直に言い出してくれよ!」


「わかりました!!」


「ミーコ、私も被害者なんだけどよ!」


「すいません! リリス!」


 明かりがつき落ち着いたところで冷は腹が減ったとなり、出発から何も食べたないと気がつくと途端に腹がなり始め、腹の音を隠そうとしてもこれだけはどうにもならずに周りに聞こえてしまった。


 ぐぅ〜〜〜〜と。


「あらっ! 音がしたような!」


「ああ、ごめん、どうやら腹が減ったようだ。何も食べてないからかな、アハハ」


(まだ夕飯を食べてないからか)


「私もかな。テントには置かれてないみたい。ねぇミーコはどう?」


「我慢するしかないでしょう」


「参ったな、テントはあっても食料がないとは。ギルドも気が利かねえ!」


 リリスが機嫌が悪い感じで言ったので、冷は食料を探した。


「……無いようだ。我慢しよう」


 冷はテントを見渡すとアリエルが言うように食料品らしき物は見当たらないので、仕方ないとあきらめて明日まで我慢し、明日にはなにかしら食料品をギルドの付き添いの人に貰えるのではと考えていた。


(我慢も大事。俺は空腹を耐える訓練はしてあるし)


 そこへタイミング良くギルドの付き添い人がテントにやって来て手には何かを持った様子で現れたから、皆の視線はいっせいに付き添い人に集まり見つめた。


「冷さん、こちらは食料品となります、どうぞお食べください」


「あっ、どうもです!」


 付き添い人は保ってきた袋を冷に預けて、冷は嬉しさを隠しきれず礼を言って受け取り、そのままテントから去った。


(グッドタイミングです!)

 

「早く袋から出してちょうだい!」


「そう慌てるな、みんなの分はあるだろう」


「本当にあるの?」


「あるよ」


 アリエルは急かせるようにして冷に言うと、彼は決して慌てずに袋から取り出したら中からはパンとコーヒー、チーズであってとてもいい匂いがテント内を充満させた。


(これは美味そうだぞ)


「ミーコの分は無しにする!」


「な、な、な、な、なぜ?」


「俺を犯人にした罰だ!」


「す、す、す、す、すいません! もうしません! お願いします!」


「ダメだな!」


「お願いします! 何でもしますから!」


「……今、何でもしますからと言ったな」


「えっ……はい、言いましたが」


「よし、それは楽しみだ」


 冷の微笑みにミーコは何やら怪しいものを感じざるを得ない。


「冷氏のその言い方が気になりますが」


「ふふふ……」


「それよりも早く食料をくれよ!」


 リリスが急かすように言った。


「わかった、わかったリリス。えっと、これはパンとコーヒーとチーズだな。とても美味そう!」


「ちゃんとみんなの分はありそうね、食べてもいいですか?」


「もちろんだ、食いな!」


 冷は最初にミーコに手渡すとパンをかじりついて食べ出したら、アリエルとリリスにも配り、2人も食べたら美味しいと絶賛していたから、自分も食べてみた。


(全員の分はあるからケンカにはならないで済みそう)


「このパンはうまい!!」


「チーズも美味しい、長旅だと疲れるけどまだサイクロプスがいる場所は遠いのかしら」


 アリエルがチーズを口に運びまだ食べ切らない内に冷に話しかける、もうそろそろ着いてもいい頃だろうと思ったからで、単純に馬車に乗ってるのがつまらなくなったのもあった。

 

「明日には到着予定だそう。俺は3日でと4日でも馬車に乗って移動は構わないが、旅してるみたいで愉しいじゃんか」


(日本では、国中をまわったものだ)


「それはお前だけだろう。旅だと思ってるのは!」


「みんなは旅って思ってないの?」


(俺だけ?)


「冷氏だけでしょう緊張感がないのは。少なくても相手は魔人。私は怖くて地獄行きの馬車に乗ってる気分ですから」


 ミーコは笑いながら言ったのだが、本当は足が震えていてそれを隠しながら知られない様にしていて、冷の気楽さには本当に参ったとしか良いようがなかった。


「俺だけ……か」


(それもそうかな)


「緊張感ないのも程がある」


「俺にも緊張感はあるんだぜ。ただ君たちを不安にさせたくない優しさからだ!」  


「まさか、お前から優しさなんて言葉がでるとは! 変態に優しさはないだろう」


「普通にあるから。ていうか変態とか決めつけるなって!」


「それに3日も4日もいたら今度は本当に触ってくるかもしれませんので、早く到着して欲しいことよ」


「おい、まだそれ言うかよ!」


「本当のことでしょ!」


「いい加減に君たちは俺を信用しなさい!」


「出来ません!」


 アリエルは胸を両手で隠して冷に触らせないとアピールすると、冷は触るもんかと意地になって言い放ったが、なぜかその視線はアリエルの胸の谷間に注がれていたので、やはり触る気だなと思ったのだった。


(あれ、俺の考えがバレてる?)


 食事を終えてお腹がいっぱいになったところで、寝ることにして、布団は無いために雑魚寝の状態となって、4列に並んだ形で寝ることになるも、問題はその列の順番である。


「冷は1番端っこに行ってね、私も逆の端っこに寝るから、おやすみ!」


「そこまで俺を信用できぬとは……」


「えっ……、今頃になって信用されてないてわかったの?」


「悪いか!」


「変態に加えて鈍感も持ち合わせてますか」


「悪いか!」


「あの鈍感さん、食べて眠くなったので寝ます。ただしここからコッチには近づかないで!!」


 アリエルが冷を警戒区域として1番端の列に送り自分は安全性を確保したら、さっさと寝てしまった。


「うう、完全に俺を危険視してる」


 アリエルに見放された冷。

 ミーコが追い打ちをかけるようにして、


「ある意味魔人より危険」


「全然安全ですよ俺!」


(嫌われてるのか俺)


 それを見て冷は、仲間にそこまで信用されていないと知るも、よく考えたら触っていればいないことに気がついて、触ったのはミーコであり、それなのにと思いつつこれ以上考えても無意味とわかり寝ることにした。


(ミーコのせいだぞ!)


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