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冷達は大金を稼いで気持ちよく歩いており、宿屋に帰る途中であった。
宿屋にはネイルが待っているが、契約で調理場が作られるとの話をしていたのが気になった。
そこでアリエルにきいてみると、
「アリエルさ、部屋に調理場が作られるとしたら楽しみか?」
「えっ、ええそりゃ楽しみなことよ。私だって女の子だし」
「そうか、なら部屋に帰ったら調理場が完成してたらいいな」
「そ、そうね。ちょうどお腹も空いたし、あるといいね」
アリエルは笑ってはいるが、調理場など面倒くさいと思っていて、外食でいいだろと言いたかった。
転生の場にいたころは、料理は全て周りのものに任せっきりで決して自分ではしてこなかったからだ。
宿屋に到着するとエクセリアが待っていた。
「あら冷さん、今ちょうど工事をしているところなのよ。調理場を作る工員の方が作ってくれてます。ネイルさんは危ないので別の部屋にいてもらってますので」
「そう、工事中でしたか。見てみたいけどいいかな、もちろん邪魔はしないから」
「ええ、冷さんの資金で作るわけですからご自由にどうぞ。また意見があればそこで工員に言ってくださいね」
そこで冷達は部屋に行ってみることにした。
部屋では新しい調理場の取り付け工事が終わったところであった。
工事の作業員にきいてみると、
「完成したのですか?」
「ええ、これで完成です。いかがですか、きっと美味しい料理が作れると思いますよ」
「どうもです」
工員は調理場を完成させると部屋を出ていった。
綺麗な調理場であって高そうな感じもしたが、冷はどうせならと高い金を支払ったのだ。
(思ったより豪華な感じしていいかもな)
「これは立派な調理場ですよ。お店並みの豪華な感じする」
「思ったより立派で驚いたよ俺も」
「調理場ができたことだし、食料品を買い物に行くのはどうですか?」
「そうだな。食料品は全くないから買い物に行く必要があるな」
実際に今までは外食メインであったので買い物など必要がなかったのだった。
(町に行けばスーパーとかあるのかな)
ただし買い物自体の経験値がない冷は、何を買ったらいいかわからないでいたので、ミーコなどに任せることにした。
そこへネイルが現れて、
「ご主人様、おかえりなさい!」
「ネイルか。もう調理場が出来てるぞ。中々の物だろう」
「凄いですねこれは。レストランみたいな感じしますが」
「まぁいいだろう」
そこでみんなで買い物に出発したのだった。
買い物は商店で適当な食料品を買う。
「肉が欲しいのですがよろしいですか」
「ミーコは肉料理が好きなのを買えばいいさ」
「私だって肉料理が好き」
「ネイルもか。獣人族だけに肉食が好みかな」
「肉料理なら何でも食べますから」
ネイルは肉をガッポリと掴み購入した。
他には野菜なども買い揃えておいたら、縄が目に入った。
何かをくくるのに使えそうな縄であり、冷はみんなが見てない内にそっと購入することにした。
(この縄は使えそうだな……)
商店を出て帰る途中。
「ご主人、何か縄のような物をお買いになってましたが、料理に使う縄でしたか?」
ネイルがキッチリと見ていて、不思議そうに尋ねてきて困った。
「ああ、その、なんていうか、ほら何かをまとめたりするのに使うだろ。その為の縄なのさ」
「なるほど今後の準備でしたか、さすがです」
一瞬ギクッとなった冷は平常心を心がけて平静さを作ったてみせた。
(よく見てるな。危ない。もう少しで失態するかもだった)
「よしこれでいいな。部屋に戻り調理としよう」
買い物した品物はみんなで手分けして持つことにしたが、結構な量となっていた。
買い物など無職であり武術の訓練以外はニート状態だったから日本にいた頃からは全く経験値がない為に新鮮な感じが良かった。
(初めての買い物が女の子4人とするとは嬉しい限りだ)
冷も初の買い物には満足したが、ネイルからすると周りの視線が痛かった。
冷はもうピルトの町では有名人だから、町を歩けば当然のようにわかる。
ネイルは一緒に買い物したときに規格外の人物と歩いてる感覚が楽しかったのだ。
それはスターと歩いてるような気分といえよう。
ついこの前までは奴隷商館にいたのが嘘のような変りようであった。
宿屋に到着すると早速調理場で調理をしだした。
もちろん冷はその調理場の風景を見学させてもらう。
(う〜ん、女の子4人にご飯を作ってもらえる日がくるとは。夢のようだぞ)
はっきりいって味は二の次といったところだ。
なにせこんなハーレムな私生活は想像もしていなかったし、どう楽しんでいいのか手探り状態なのが本音でもある。
ひとりの女の子にも手料理など経験値がないのだから、4人となるとお手上げとなっていた。
「待っててね冷!」
アリエルが調理場から手を振ってくれるので、手を振り返した。
「よそ見をすると危ないぞ。手を切るからな」
「大丈夫、大丈夫よ、痛っ!」
言ってるそばから切ったようであった。
「だから言っただろう気をつけろってさ」
(大丈夫かなアリエルは)
「だけですかアリエル。軽いケガだから大丈夫そうですよ」
ネイルが止血をしてあげる。
少し血が治まったようだが痛みは消えるわけではない。
そこでリリスが思い出したようにアリエルに提案する。
「そうだ、アリエルはさ新しいスキルを覚えたろ。それを使ってみろよ」
「[聖なる治癒]よね。まだ覚えたてだからできるかな。てゆうか以前は使えたから使えるはずなんだけど」
「なに! 新しいスキルを覚えたのか。なら試してみなよ」
「やってみます。[聖なる治癒]!!」
アリエルは女神限定のスキルを発動してみた。
治癒効果があるので傷は治せる。
すると手の切った傷はみるみる内に消えて無くなった。
見事に成果があって驚く一堂。
「傷が消えたわ。成功です」
「まぁ女神のアリエルならもっとすげースキル使えるだろ。今は情けないくらいだよ」
「リリス、あんたも同じような物でしょ」
お互いにけんせいしあっていた。
冷はツッコミは入れずにおいた。
アリエルが治癒効果のスキルが持てたのは大きいのは間違いないだろう。
「今後はケガしたらアリエルに頼むとするかな」
「いいわよ」
愛想よく返事する。
そこで冷に反応があって新しいスキルを習得した。
[聖なる治癒]
女神にしか使えないスキル。
残念ながら女神の職業を得ていないと無意味のようで残念であった。
スキルについては残念であるが、料理はどうだろう。
それも気になったら完成したようである。
「はい。冷、肉料理とパンとスープですよ」
「おお〜、これは美味しそうだぞ〜。うん美味いぞ!みんな!」
「だから言ったじゃない出来るんだからね!」
アリエルは自慢気にナイフを振ってみせて冷にドヤ顔を作ってみせたが、それが失敗であった。
「痛っ! また切った!」
アリエルは調子に乗りナイフでまたも手を切ったのだった。
「あちゃ〜。もう知らないよ。自分のスキルで治しな!」
周りからはアリエルにナイフを使わせるのは危険だとなったのはこの日からだった。




