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朝になった。
昨晩は4人の水着姿を拝見できたからだろうか、ぐっすりと睡眠もとれた。
一方、着せられた4人は服を返してもらい、自分の服に着替える。
冷に見られるのが恥ずかしいのだった。
もう裸は見られてるのだが不思議なことに、水着となるとどうにも照れてしまう。
特に驚いたのがネイルであろう。
他の3人と違い、まだ冷が夜になると急変してしまうと知らなかったのだから。
奴隷商館からやって来たまでは良かった。
驚愕の強さで自慢のご主人となる予定であったのに、この変態っぷりにはついていけない。
仲間の先輩方はよく毎日一緒にいられるなと感心せざるを得ないのだ。
朝になると不思議と優しいご主人に戻っていたので、ネイルは困惑していた。
毎日こんな人と夜を過ごせるのかと。
冷はふと思ったのは朝食はいつも外食であった。
しかし外食でははっきり言って面白くない。
これだけの可愛い女の子と同居しているのだから、ご飯をつくってもらえたらいい。
外食よりも確実に楽しめるだろう。
「1つききたいことがある。君達は料理は出来るのかい。アリエルは?」
「料理ですか、えっと、できます」
やや驚いて答えたあたりが怪しく感じられたが、見た目は清楚な感じで包まれているので信じた。
(アリエルは出来そうだな)
「リリスは止めておこう。何せ魔族だけに毒でもはいっていたら困る」
「ふざけるな。毒を入れるわけないだろうよ。こう見えても女の子な面もあるんだから。料理くらいするわ」
実は料理は得意ではなかった。
両親に料理など任せっきりであったのだ。
ただ作ったことはあるので、嘘ではないと決めつけた。
「私も拒否する」
間髪入れずにミーコも同調した。
「ミーコまで侮辱するとは、こうなったら美味しい手料理をごちそうしてやるわ」
「だから、拒否します」
「わ、たしは、魚だったら食べたいことよ」
ネイルもご飯の話になると加わってきた。
「ネイルは魚料理が好きなのかい」
「魚は大好きです。猫耳だけに猫の血をひいてのもあって、ただ商館にいたころはパンが多く、魚はめったに食べれないこと。でも無理ですよね」
尻尾は降りていて、元気はなかった。
「無理じゃないさ。じゃあ朝ご飯は魚を食べに行こう。俺も魚は好きだし、ミーコはどうかな?」
「良いですね、お腹空きましたよ」
「アリエルは、女神だから生き物は殺さないとか?」
「えっと、むやみに生き物を殺すのは良くありません。ただ食べるのは、仕方ないこと。食べましょう冷」
女神といえ、食欲は旺盛で結局は食べたいと言い切った。
食欲となれば女神もなにも関係ないのであった。
「私の手料理はどうなった、放ったらかしかよ?」
リリスは話が勝手に違う方にいったのが不満であった。
だれも食べたくないと聞こえるからだ。
イラったとしたので、腹が空いたきていてリリスも魚が食べたくなってきてはいた。
「リリスさん、ここには調理場がありませんから、もそもそ料理ができませんことよ」
「あっ、それもそうだな」
ネイルが指摘した通り、この部屋には調理場はなかった。
リリスは言い出した分、恥ずかしくなっていた。
宿屋には調理場のある部屋があるかは知らない。
今まで泊まった部屋はいずれもなかった。
今泊まっている部屋は寝るのが基本となっており、ここよりも大きな部屋があるのかが重要となった。
(調理場は必要だよな)
「調理場のある部屋が必要だ。エクセリアさんに相談してみようと思う。もしあれば移動していいだろう」
「冷が調理場付きの部屋がいいというなら構わないけど」
アリエルが返事をするとリリスらも同じ意見であったので反論はなかった。
受付けにはエクセリア宿屋店員が立っていた。
「ギルドにお出かけですか?」
「ギルドには行きたいですが、部屋の件で教えて欲しいことがあるのです」
「どうぞ」
「無理かもしれませんが、調理場の付いた部屋はありますか?」
たぶん無理だろうと半分は思いながら言ったのだった。
「調理場ですか、残念ながら調理場付きの部屋はありません。ですが、冷さんが資金を出資して部屋に調理場を設置するのは可能です。現在使用中の部屋を改築できます。その為の資金は冷さんが支払うのであればの話ですが」
「改築していいのならお願いします。長い目でみて必要なので資金は払っておきます」
改築案があるとは思ってもみなかった。
あると楽しめそうだし、なにしろ女の子の作る手料理を食べたいというのが1番の理由であった。
そのことは彼女たちには黙っておく。
(リフォームだと思えばいいか)
「楽しそうです。お料理はお連れの女性が作ってくれるのですかね、冷さんのために」
「それがまだ作れるのかわからないんだ、作ってくれると嬉しいからさ」
アリエルとリリス、ミーコ、ネイルを順に見ながら言った。
目が合うとなぜか目をそらすのだった。
料理に自信がある者はいないのではと、エクセリアには映ったが深く聞けない事情があるのだと思った。
「好きな男性に料理を作るって素敵ですわ」
「そんな大げさなことじゃないですよ。エクセリアさんが料理が出来るなら部屋に来て作ってくださいよ」
「ええ……そう願いたいです」
部屋に誘われてエクセリアは胸がドキドキした。
誘われると思ってもみなかったからである。
「ネイルはまたお留守番になるぞ」
「はい、お留守番してます」
ネイルを残して外に出たら、まず試したいことがあった。
習得したスキルの件である。
「ギルドに行く前に、スキルを試したいのだがいいかな」
「また、エロいことをする気か、それも公衆の前で女神をエロくさせて楽しむというのか」
アリエルはスキルと聞くと反射的にエロだと認識するようになっていた。
「違う、そんなことするか。俺をまるで変態の扱いするのはやめてくれよな。仲間である君達のために戦ってるのだぞ、もっと大切に見て欲しい」
「どうみても変態だろお前は。昨晩の水着の件。変態じゃないならなんだって言うのだ、見たことない程の変態だろう」
「リリスの動物の水着は可愛いかったけどなぁ。もう一度見てみたいから、また気絶してもらおうかな」
「止めろ。それこそ淫魔への冒とくだ。許さぬ」
自分だけ可愛らしい動物の水着で、いっそう恥ずかしい思いをしたから止めるように強く言う。
「でも可愛かったかもリリス、いつもは魔族ぶってるけど昨日だけは女の子って感じした」
ミーコまでもリリスが女の子っぽいと絶賛した。
「ミーコ〜〜〜、お前まで女の子扱いしやがって、私は以前は淫魔としてたくさんの下僕を従えていたのだぞ。それを可愛いなどとぬかしおって、二度とそんな言い方するでないぞ!」
「アハハハ、怒るともっと女の子みたいだな〜〜」
「お前なぁ〜〜〜!」
淫魔として名をとどろかせたリリスも今は普通の女の子なのであった。




