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 リリスがシャワーを浴びているのを見ながら、シールドをのぞき見て、さらにミノタウロスの立派な体を拝見する。

 どこを見ていいやら、冷は混乱してまう程だった。


(早朝道場は毎日しよう!)


 ミノタウロスの体を少しだけ触りたくなってしまい、つい触ったら、


「何をしておる、我の体が変か?」

「いやいや、たくましい体だよ。しかしまだミノタウロスはタルんでいる。ほら、この腰のあたりが!」

「な、な、なんですって、タルんでいると!」


 ミノタウロスは冷に腰を触れられ、ぜい肉が付いていると指摘されて恥ずかしくなり、慌てて石鹸で泡立てて隠す。

 上級魔人にも体のラインが気になるのは人族と変わらないところであった。

 恥ずかしくなるのを楽しく眺めてる冷はシャワー室の偉大さを実感した。


(シャワー室は偉大だ!)


「隠すことはない!」

「ダメだ、触るでない!」

「ほらほらっ!」

「ダメだと言ってるだろ!」


 ミノタウロスの体で遊びに入ると、周りからは冷がフザケてるのがわかる。

 シャワーを浴びていたのを停止して、ミノタウロスを同情し出す。


「ちょっとミノタウロスが嫌がっているじゃない!」

「そうよ! 変態ですかあたなは!」

「今すぐに手を離しなさい!」


 冷に浴びせられる言葉。

 しかし冷は全く止める素振りはなく、ミノタウロスの腰からお尻にまで手を出した。


(やめられるかよこれが!)


 疲れ切った体を温水で綺麗に流している最中にしでかした冷に、頭にきたリリスがシャワーのお湯を冷に向けて発射した。

 シャワーは日本の世界と同じ構造になっており、自由に向きを変えられたので全員が冷に向きを合わせる。

 それもお湯の温度を下げて真水にしての発射。


「お前なぁ〜いい加減にしな!!」


 真水が冷に放水された。

 冷はいっせいに放水されたため逃げるわけにいかず、全部を体に受けた。


「うわ〜わわ冷たい!!!!!!」

「その手を放せ!」

「わかった、わかった! 放すから水は止めてくれ!」


 冷はリリスの真水の攻撃力にストップを要求した。


(急にかけられたら冷たいだろ!)


 リリスだけに留まらなかった。

 シールドも真水を冷に放水したのは、指導者として不純だと思ったから。


「冷! 不純ですわ!」

「うわ〜わわ〜!」

「ミノタウロス様に無礼っす!」


 弟子であるリョウシンもぶっかけ始めて、大量の真水が冷に集中する。

 これだけの方向から真水が来たら、狭い空間では逃げようがなく、全身に受けてしまう。


(ちょっと触っただけなのに!)


 冷はミノタウロスから距離を取り、リリスの意見に従ったら、放水は緩められた。


「ようやく理解したようだな。お前の悪態。汚らわしい行い。道場への出入りを禁止するに値する!」

「待て待て、出入り禁止はないだろ。俺は指導者だから!」


(まさか出入り禁止を口にするとはな)


「私も賛成する!」

「私もです!」

「我も賛成だ」

「ミノタウロスもかよ! 反省するから出入り禁止はなかったことにしてくれリリス」


 冷は出入り禁止の廃案をお願いするもリリスに笑顔はなかった。

 むしろまたかと言う顔で冷を見ていた。

 これまでに何度も聞いたことのある冷の言い訳にあきれていたからである。

 リリスだけでなく、アリエル、ミーコ、ガーゴイル、ゴーレム、シールド、ギャン、ボーガ、ギガース、サンマル、チルフ、ヤリッチ、ルテリ、ルクエ、ルビカ、ミノタウロス、リョウシンが冷を見ていた。

 シャワー室では当然に衣服は着けていないのだから、この光景に冷は思わず感激していた。


(いい眺めだな!)


「みんな冷は裸を見ているわよ!」

「ダメだな反省などしてない!」

「速く出ましょうシャワー室から!」

「おいおいみんな出てっちゃうの!」


 冷が反省せずにジロジロと彼女達を眺めてるのか発覚したのがまずかったのか、彼女達はシャワー室から撤退してしまう結末に。

 残念ながら冷のお楽しみはここで終了となったが、とても有意義な午前となり満足する。


(今日の午前中は大変に良かった!)


 

 

 早朝道場の終了となり、疲れがピークになった者もいて、ランチを取ることになった。

 昼食のランチは近くのお店で軽く取る。

 人数の多さに席を確保するのは大変であった。

 客の中にはアリエルの姿を見て驚いている男性客もいた。


「アリエルさん……握手して欲しい……お願いします……」

「握手ね、どうぞ!」


 アリエルは食事中にも関わらず男性に握手をしてあげると、男性は真っ赤になって喜んで去っていった。

 この町のアリエルファンだった。

 日増しにアリエル、ミーコ、リリス達のファンは増えていっていた。


「アリエルはファンが増えたようだな」

「まぁ当然よ、女神なのだから。私が一番ファンが多いでしょう」

「そうかしら、昨日は甘いお菓子を貰いましたけど」


 アリエルの話に乗ったのはミーコであった。

 ミーコは特別に対抗したわけではなかったがアリエルはミーコに対抗心を出す。


「甘いお菓子ですって! 私だって何人も貰いましたことよ! 食べ切れない程に!」

「100個貰った」


 100個というのは本当でミーコは嘘をついていなかったのでありアリエルは困った。


「ひゃっく! 私は200個よ!」

「嘘つけ、話を盛り過ぎだろテメエは。それに甘いお菓子は太るから食べないとかいってたろ!」


 そこへリリスが嘘つき呼ばわりした。


「盛ってません!」

「盛ってるよ!」

「まあまあ三人ともファンがいるのはわかってる。女神、勇者、淫魔として国中に広まっているらしいからな。でも一番ファンが多いのは俺だよ。俺は国中の女子を彼女にしようと思っているからね!」


 冷は自慢げに話すアリエル、リリスに釘を指して、尚かつ自分が最強だと自慢した。


(俺が最強にモテたい!)


「お前は単にエロいだけだろ!」

「そうですわ、冷! 私という彼女がいながら、まだ欲しいなんて!!!!」


 ガーゴイルは冷の顔にキスを連発して言った。

 ギガースやヤリッチなどはもう見てられないとばかりに食事に集中すると冷は助けてくれと求める。


(ガーゴイルはキス魔だな!)


 その一部始終をのぞいていた周りの男性客は、あまりの冷のモテっぷりに大変な嫉妬をしていたのだった。

 


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