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 その日は食事を済ませて寝る準備に入った。

 冷はギガース、サンマル、チルフが同じ部屋に宿泊するように伝えておく。

 ある理由があってと断っておく。

 先程の服を脱がせた件があるが特に怪しんではいなかった。


(彼女三人には話があるからね!)


 ギガースは冷が仕組んだとは知らずにベッドにいて、サンマル、チルフもすでに寝ていたところに冷はそっと忍びこんだ。

 気配を消して入ったから気づくことなく。


(気配を消しておこう)


 ギガースのベッドに来ると冷は彼女の寝息を聞いた。

 完全に熟睡モードであり、これでは敵が来たらどうするかと心配する。


(中級魔人でも俺が気配を消すと察知は無理か)


 ギガースが気が付かないのをいいことに、ベッドの中に入り込み、ギガースとサンマルの間に入る。

 ギガースとサンマルが寝ぼけているのか、冷に抱きついてきて密着。

 これには冷も思わず気配を消すのを忘れてしまう。


(魔族二人に囲まれるのもいいもんだ!)


 冷が思わず気配を出してと同時にギガースが冷の存在に気づくと慌てて冷から離れる。


「い、い、いつからそこに居た!」

「えっと……さっきね。ダメだな俺が横に寝ているのに気づかないとは。ギガースとサンマル、チルフはまだまだ修行が足りないよ!」

「くそ〜、いつの間に。ギガース様、何かされましたか?」

「いいや、されてはいない。それよりも何用だ? 部屋に入り込んで来るからには理由があろう」


 ギガースは冷に用心深く対応したら、冷はベッドから起き上がり説明をする。


(俺はキミたちに夜の道場をしに来たのだけどね)


「では話そう、俺はキミたちに夜の道場をしたい」

「夜の道場だと?」

「うむ、その名の通りだ。ルクエとした農園の話があった。あれを今から確認を兼ねて実践したい」

「ちょっと待て。確認て、ここは宿屋だ。外にある土にまくのだろ種を。無理でしょ」


 冷の実践と言うのを聞いてチルフが反論したが、チルフの言うのがもっともであり、宿屋には土はない。


「実際に土はない、見れば分かる。この床を土だと思い、種をまいたり、土を耕したりするのをしたい」


 ようするに練習したいと冷は言いたかったのだが、なぜ今からとチルフは首を傾ける。


「土地に行ってからではダメなのかい?」

「せっかくだから練習したい。三人とも練習だ!」

「意味がない!」

「やろう!」

「何の為に!」

「やろう!」

「……わかった。練習すればいいのだろう。眠いが」

「ありがとうギガース」


 冷は何か納得しない三人を無理矢理に起こさせ練習を開始しようと元気づけるのに成功した。


(何とか夜の道場に持っていけそうだ)


「それで、どこから始めるの。ここを農園だと思えばいいのよね。まぁ思えと言われれば思えなくもないが」

「広〜い農園としよう。そしてキミたちは何もない土に立っていると仮定する。最初にするのは土を耕したりする必要があるだろう。まずは耕すところから始める、いいね!」

「耕すとは何か説明して欲しい。始めに言っておくが農作業など魔族がすることはない。農作業などは人族がするものであって、まして中級魔人のギガース様がしたことないのはわかるだろう。耕すのをもっと詳しく解説して」

「なるほど、農作業を知らないのか……。これは大変だな。イメージがないのを教えるのは実は大変だからだ」


 サンマルが全くイメージすらない農作業だとわかり、どこから説明したらいいか困惑してしまうが、口で教えるよりも冷が体でみせた方が早いと思った。


(俺が最初に見本をみせてやろう)


「それじゃ俺が見本をやってみるから、よくみておいてな」

「冷は農作業を知っているのかい?」

「知ってる。小さい頃から親に教えられた経験がある。ひとりで生き抜くために、農作業から山で動物を狩るのもね」

「大変な幼少期を過ごしたのだ。教えてください」

「見ててくれ」


 冷は親から厳しい条件を与えられて育って、それは野菜から米の田植え、熊や猪の狩り方を教えられる想像を超えた厳しい日々だった。

 そのおかげで現在の冷の基礎が出来て、冷も今では感謝しているわけで、ギガースには教えられる範囲で軽くみせてみることにしたが、本格的に農作業をしていたわけではないから、教えるほど詳しくはなかった。


(農作業が専門じゃないから俺も素人なんだけどね実は)


 お手本となるように前かがみになって、土を耕すイメージで動作をし、農作業っぽくしてみたところ、ギガースは頷くようにした。


「今のようにすればいいの。特別難しくはない。誰にでも出来る動き」

「三人とも同じようにやってみて!」


 冷がギガース達に農作業をまるで土にしてるようにやらせてみたところ、ギガースは前かがみの状態になり、冷に胸の谷間をみせてしまう。


(おお〜〜、胸が見えそうで見えないのがいいね!)


 ギガースに習ってチルフも始めると、冷に胸をさらす形になって前傾姿勢が冷の視線を釘付けとさせる。


(チルフもいい眺めだな!)


 続けてサンマルも開始していくとチルフの横で並んで胸を拝見させてしまう失態になるが、冷からしてみれば大いに大歓迎であり、彼女らが寝る衣服は下着姿なので、谷間が素晴らしくのぞけたのだった。


(夜の道場はこれが目的だったんだよね!)


 本来の農作業の練習などと言うのは大嘘とまではいかないが、言ってみれば冷の楽しむために考えたのであって、たいした効果はなく、それでも効果があると思い込んだ三人は農作業の練習を続ける。

 しばらくして三人は不思議に思っていて、まだ続けるのかとなり、サンマルが作業を止めて冷に確認する。


「まだ続けるの? けっこう練習したけど」

「うん、もうちょい続けてみよう!」

「何か楽しそうに思えるが、気のせいか?」

「ええっと……俺はしっかりとキミたちの為を思って指導しているのだよ!」


 本当は指導しているのではなく三人の胸をチラ見しているのを楽しんでいたわけで、サンマルの指摘は当たっていた。


(もう少しだけ眺めていたい!)


 しかしサンマルの指摘で不思議に思ったチルフがギガースの胸がさらけているのを発見してしまった。

 ポッカリと胸が下着なので見えていたのだった。


「ギガース様! 大変です。あの〜胸が思いっきり見えてますけど!」

「なんだと……胸が……」


 ギガースは指摘されたのでよくよく自分の胸を見てみると、確かにはっきりと下着から胸がのぞけたので、冷のいる方向に視線を送ると、冷と完全に視線が一致した。


「おい……もしかしてずっと胸を見ていたのではないか?」

「違う、違う、俺は指導していたのだ」

「おかしいと思ったのです。私だけでなく、サンマル、チルフにもチラチラと見ていたから変に感じたが、まさか胸をチラ見していたとは!」

「誤解だギガース、俺は無実だ!」


 冷は完全に嘘がバレてしまい慌ててごまかすが、もはや彼女三人は前かがみになるのをやめて農作業の姿勢ではない。

 冷に対して怒りを感じている風に冷には感じる。


(バレてしまいましたね!)


「こちらは真剣にしているのに、まさか変態的にチラ見をしていたとは!」

「出て行きなさい!」

「もう信用ありませんから!」


 こうなると三人に農作業どころの騒ぎではなくなり、冷を信用しなく練習は中止にしろと言い出した。

 チルフに至っては部屋から出て行きなさいと叫んだので、冷は困ってしまいしゅうしゅうがつかないと判断する。


(まずいな、これはひとまず逃げよう!)


「これで、夜の道場は終える、三人ともよく寝るように……」

「冷こそ、早く寝ろ!」


 最後は説教されて彼女達の部屋を後にし、自分の部屋に帰った冷は失敗したが、かなり楽しめたから良しとする。


(三人の胸を見れてから良しとしよう!)


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