表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
330/351

328

328

 オーガの命令は失敗に終わる。

 ビスカリクラスのレベルでは敵ではないのを知らなかった。

 アリエル達の強さは、以前にも実証されていた。

 中級魔人ギガースとの対戦で、互角に戦った経験から。

 それも普段から道場での厳しい訓練と、夜中に冷から裸にされて激しい運動をされられていたのが大きい。

 特に夜中の内に膨大な体を消費させられて、彼女らのステータスは異常上昇。

 彼女達もわからない程にレベルアップしていた。

 最初にこの世界での冒険を始めた頃のレベルは超低レベルであったが、現在は恐ろしいくらいにレベルアップしていた。

 そのため世界でも恐れられるオーガの魔族は全滅させられてしまったのだった。

 彼女らの急成長は冷にも匹敵する。

 ごく短期間での成長は彼女の基礎力の高さがあった。

 アリエルはミーコに近寄り勝利を告げる。


「やったわね! 私達の勝利よ!」

「うん、頭の形からして大鬼魔族でしょう。オーガの魔族です。こうなるとオーガがする前に帰りたい」


 大勝利に二人は抱き合って喜ぶ。


「早くこい冷の奴!」


 喜ぶよりもリリスは先に空に向かって文句を言う。

 

「リリスも良い戦いだったわよ。半分はリリスが倒したのだから」

「我らもいつの間にか強くなったものだ。魔族相手にしてもこうして大勝できるのだからな」

「あとは冷氏が来るのを待つだけね」

 

 彼女達は思ってる以上に成長していてのを実感する。

 魔族相手にでも恐れることはなかった。

 この戦いでの経験でのレベルアップがあったのを知らないが、知ったら驚くだろう。

 褒められるとそこは嬉しくなるリリス。

 大鬼魔族の大軍に勝利し、冷が来るのを待つことした。




 

 オーガとの対面で逃げると判断した後にスタンダード国に差し掛かる。

 急いで国王とビジャ姫、コロナを飛行して王都まで運ぶ冷。

 速度を上げて運ぶ理由はアリエルらを心配してのこと。

 

(アリエルらが心配だから急ごう!)


 ユフィール国の国境に迫る。

 国境を抜けてスタンダード国の上空に。

 もうここまでくればオーガは来ないだろうと思った。

 王都に近寄り着地した。

 王都では冷の突然の着地に騒然となる。

 兵士が国王の姿を発見し、しかも冷と上空から来たのだから、ただごとではないのは明らかであった。

 国王に姫も抱っこしているのだから、慌てて近寄り声をかけるのは当然だった。


「こ、国王様にビジャ姫、どうされしたか、馬車は?」

「ある事情があって冷に上空から運んでもらったのだ。だから冷は攻めなくていいぞ」

「はい国王様」


 兵士は冷に厳しい視線を送るが、国王からの説明で冷を攻めないことにした。

 ユフィール国で何かあったのを詳しく聞くまでもなく。

 ハンマド国王は冷に礼を言う。


「スマンな冷よ。オーガがああなるとはな。オーガが暴れたのなら逃げるしかない。助かったよ」

「いいえ、俺が出した卵が原因だったみたいで俺こそどうしていいかなと……」


 冷は卵が原因なのを気にしていた。


(オーガの卵好きは予想外だったな)


 ビジャ姫もオーガの激怒に強張っていた。


「大丈夫ですかビジャ姫。もうオーガは来ませんから安心してください」

「ええ、冷が居なければ、大変になってたでしょう。ありがとうございます冷」


 ビジャ姫は冷に軽く抱きついてお礼をした。

 さすがに冷もこのお礼には嬉しくなり、顔を赤らめる。


(オーガさん、感謝します!)


 兵士達はビジャ姫の行動にも動かず見ていた。

 本来ならビジャ姫に触れるのはご法度だろうが、国王から特別な扱いを受けた冷だけ見逃すしかない。

 軍師コロナはオーガの激怒に困惑していて、スタンダード国の将来を懸念する。

 もし上級魔人オーガが暴れだしたらと考えると、頭痛の種となった。

 災害レベルのオーガだからで、コロナは緊急で幹部を集めて会議を行う予定とした。

 ハンマド国王も会議には賛成で、直ぐに開け命令した。

 内容はオーガが攻めてきた場合にどうするかだった。

 上級魔人ミノタウロスの件では冷が解決した。

 しかし今回も解決できる保証はない。

 冷が負ける可能性の方が高いだろうと話し合う。

 ミノタウロスに勝ったのは偶然の勝利だろうと。

 そうなると国の全兵士、騎士団を集めておく必要が出てくるし、高レベル冒険者も集めるしかないわけで、国が滅ぶか存続するかの一大事にまで話は発展した。

 そんな国の大事な会議があっても冷は関係なく王都から去ることにした。

 なぜならアリエル達の安全がもっと大事だからである。

 

(直ぐに戻ろう!)


 兵士達は冷がガーゴイルの翼で飛行する形に変わると、大声でわめき出す。


「ばばばばば、化け物だ冷は!!!!」

「鳥に変形したぞ! あれは人族じゃないぞ!」

「いやいや俺は人族ですから。そんなに怖がらないでね!」


 冷に対して人族以外の種族だと騒ぎ出す兵士に人族だと説得するが、誰も冷の説得に頷く兵士などいなかった。

 どう見ても今の冷は人族を超えているだろう。

 実際にスキルは神級を超えてレジェンド級だし、冒険者レベルはレベル125万まであり異常な数値で、人族だと言い張るには無理があった。

 

(みんな俺が魔族みたいに言ってるけど人族ですよ!)


 飛行して再び上空に登ると来た通りに飛び立った。

 

(誰もアリエルの所に来てなければいいけどな。魔族を向けられてたらヤバいから)


 オーガは大鬼魔族をおくっており、冷の感は当たっていた。

 途中で落としてしまったのは自分のミスでもあるから、彼女達に何かあったら自分の責任になってしまう。

 万が一、彼女達の身にと考えると、自分の取った選択は失敗だったかなと悩んでいた。

 嫌な予感がする冷は最速で飛行して戻るとした。

 

(待ってろよ!)


 スタンダード国とユフィール国の国境沿いまで来ると通り抜けてユフィール国の領土に入る。

 本来なら国の国境を無許可で超えるのは違法となる。

 しかし誰も超高速での飛行する冷に気づく人は居ない。

 無許可で冷は入国し彼女達を落下させた辺りに着地した。


(確か……この辺に落下したはずなんだけどな……居ないな?)


 着地して冷が見た光景は、冷が思っていた光景とは程遠い光景であった。

 まるで災害にでもあったのかと思う程に、魔族の大軍が横たわっていたからだった。


(なんだこの魔族の数は……。化け物級の何かに殺られた感じだよな!!!)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ