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料理に手をつけ口に運ぶとリリスは料理の味の感想をもらす。
「な、な、な、なんだこの肉料理は……食ったことない旨みだぞ!」
「またまたリリスったら大げさなんだから」
「大げさじゃない、アリエルも食ってみろ!」
リリスの感想にアリエルは疑ったが口にしてみると、
「あ、あ、あ、あははははは、まいったな、美味しいですこと! 肉がこんなに柔らかいなんて信じられませんことよ! ミーコと食べてみなさい、女神に誓って嘘ではないから」
「女神に誓ってね……………………と、と、と、と溶けました……口にした途端に肉が溶けました!!!! もう無いです!!! どうなってるの」
「いくらなんでもあり得ないだろ。肉が溶けるなんてさ」
冷は彼女らの感想には疑問を抱いた。
(俺は肉は山で野生の肉を食べてきたからわかる。溶けるなんて嘘だよ)
「それなら冷氏も食べてみな、私の言ってるのが本当だから!」
「ああ、食べるよ、もし嘘だったら、もう肉料理は食べさせないからな…………な、な、な、ななんだ、本当に肉が溶けちゃったよ……口に入れたら柔らかくてさ」
「だから言ったでしょ、凄い肉です!!!」
結局、冷も疑ったが口にしたら彼女らの言ったのが真実であったため、余計にびっくりする。
驚いたのは冷達だけではなかった。
一緒に食べたハンマド国王までも絶賛する。
「す、素晴らしい肉料理ですよこれは……、奇跡に近い」
「ありがとございます、褒めて頂きハンマド国王。我が国が誇る最高の料理人に肉料理を任せました。肉を知り尽くした料理人で、肉も国中から最高の肉を用意しました」
「凄いです……、芸術的です」
ビジャ姫は感動して言葉につまる。
最初に出された料理にスタンダード国側は圧巻のひと言で、予想以上のレベルに舌を巻いた。
料理を食べながらお互いの友好を楽しむのが目的であるが、料理バトルの一面もなくはない。
母国の料理を味比べしてしまう側面はどうしてもある。
高レベルな料理に敗北感が訪れるのは仕方なかった。
冷もドレス姿のビジャ姫に美味しい料理が食べれて大変に満足した。
(美味しい料理に美人な姫に最高だな。やはり食事会に来て正解だった)
食事会はユフィール国の料理で大いに盛り上がる。
絶賛の声にユフィール国側も気を良くしており、友好的な和やかな雰囲気ですすんだ。
このまま友好的な食事会が続くと思われた時に空気は一変する発言をアカク国王が口にする。
その言葉はそこではふさわしくない言葉であったから。
「ええっと……皆さんにお伝えしなければならないことがあるのです……」
「アカク国王、どうぞ言っていいです、まだ料理があるのですね、デザートでしょうか」
「いいえ違いますハンマド国王、残念ながらデザートではない。もちろんデザートの甘い料理は後ほどありますが……実はもう一人参加者がいるのですが、まだ呼んでない参加者が」
「ええっと…………参加者はこれで全員いるはずです。私の手元の資料では全員足りてます」
アカク国王の言うのを失礼ながらも軍師コロナが確認をしたが数は合っていた。
「それが今日になって急きょ参加することが決定しました。まだその参加者をハンマド国王にはお伝えしてませんでして、参加者を呼びたいのですが?」
「……」
ハンマド国王は誰なのかわからないため、沈黙をして軍師コロナとビジャ姫に相談した。
ビジャ姫は特に問題ないと言い、軍師コロナはルール違反だとした。
ハンマド国王はルール違反と言うとせっかくの良い感じできた食事会がもり下がるのではと心配した。
参加者がひとり増えたところで問題はないと決める。
この時冷はハンマド国王がどうするのかをじっと見ていた。
冷には参加者を拒否するような権限はないためであった。
(誰だろうか……気にはなるが)
「…………相談した結果ですが、新たに参加者が増えるのは問題ないです、どうぞお呼びください」
ハンマド国王が許可するのはアカク国王ほある程度確信を持っていて、断るのなら食事会の雰囲気が悪くなるとわかっていた。
最初からオーガを席につかせるのは不味いので、後から呼ぶように決めた。
オーガは料理が食べたいのを我慢することになるが、スタンダード国の料理を食べられるのならと我慢するとした。
別室で待機していたが匂いが鼻に届き、ウズウズしていた。
「…………それでは呼びます、オーガよ、席について……」
「…………」
アカク国王の言葉をハンマド国王側の人間は理解できなかった。
オーガと聞こえたが、それがあのオーガなのかと、いやあのオーガのわけないと頭で混乱したので沈黙した。
「……待ってたぞ、呼ばれるのを!!!! オーガです、皆さんよろしく! さぁ私の分の料理を持ってこい!!!」
オーガは席について、さっそく注文をした。
「お、お、お、お、オーガ!!!!!!!!!!!」
軍師コロナは椅子から転げ落ちて驚いた。
オーガと言ったら上級魔人しかいないのは軍師なら誰でも知ってる事項である。
「な、な、なぜオーガがここに?????」
ハンマド国王も意味がわからないで混乱した。
突然に現れたのオーガは頭に角が生えており、胸は放漫でテーブルについた時に、大きくて胸が揺れる程であったのを冷は見逃さなかった。
「あの…………ちょっと聞いていいですか、皆さんはオーガさんを知ってるような言い方しましたが……俺はわからないのですよね……」
(とても大きな胸だな……オーガて言ったが……みんな知ってるのかな)
「知らないのか冷は! この、この、オーガは最大級の危険な上級魔人であるオーガだ!!!!!!」
軍師コロナが床に尻もちしたまま冷に教えた。
しかし冷はオーガが上級魔人だと知っても特別に驚くことはなかった。
なぜここに来たのかが知りたかった。
(なぜ上級魔人が食事会に参加したのだろう、意味があるのかな……)




