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ルテリはゴーレム達の所から商業ギルドに向かい、作業計画の案を修正するのを伝えに行って、ギルドに居た職員パトリシアにゴーレム達の作った件を伝える。
「もう作ったのですか……それならば家のない町民に伝えて住んでもらえるように移動させます。明日からさっそく移動しても大丈夫なのですね」
「大丈夫だ、それに……残りもゴーレム達の案で作ってもらうように頼んだが、よろしいか」
「ルテリさんが良ければ問題ないです。住民が住めればいいのです」
パトリシアはゴーレム達の作った物件を見ていないため、ルテリはどう説明していいか迷った。
「まぁ、明日にでもパトリシアも見ればわかるけど、計画なんてほとんど形もなくて、町がとてつもない町になってるレベルだわ」
「はぁ……とてつもない……ですか。実際に見るのを楽しみにしてます!」
ルテリはパトリシアとは別れて商業ギルドを後にし、宿屋に帰ることにしたが、パトリシアと住民も驚くだろうなと思った。
翌日になり、ルテリは商業ギルドに出向いてにいて、すでに商業ギルド側が大勢の住民希望者を集めて待っている状態であった。
「ルテリさん、もう皆さん新しい住居が与えられるとあってとても楽しみにしてます。その場所に向かいましょう」
「大勢いますね、まぁびっくりするとは思うけど、出発しましょう」
ルテリとパトリシアは大勢の住民を連れてゴーレム達の作った物件の地まで誘導した。
到着したパトリシアはあ然おなったのは言うまでもなかった。
「な、な、な、な、な、なんですかこの建築は!!」
「これが昨日話したゴーレム達の作った物です」
「家というか、もはや王都レベルの町並みでしよう。巨大都市にでもする気ですか?」
パトリシアはルテリの話した内容からこれだけの建築とは思いもせず、絶句し、巨大さに圧倒された。
「さぁ、ゴーレムに任せてるから、この先も大都市になる可能性が高い」
「凄い迫力満点の町並みです。どうぞ皆さんの住む新しい家ですよ!!!!」
「ええええ!!」
「これが、新しい家なの!!!!」
「いいのですか、こんな贅沢な家に住ましてまらって?」
「どうぞ、住んでください。さぁ中に移動しましょう」
パトリシアが誘導して住民を次々と家に移動させ、住民達はあまりの違い、壊れる前の家とは格段に違った豪華な家に戸惑うも、中に誘導されて大変に喜んでいた。
「大都市のようです〜〜〜〜!」
「家賃が高そうだな〜〜〜!」
「いいえ、家賃は要りません」
「本当にですか!!!」
「はい、無料です。この家を作ったのは中級魔人として有名なゴーレムさん達です。皆さんのために必死に作ってくれたそうです」
「あ、あ、あ、あの魔人ゴーレムだって……怖いけど我々のために頑張ってくれたのなら感謝します」
「ゴーレムには今度会ったら感謝しなきゃな!」
大勢いた住民は全員がもれなく部屋をもらい、それでも余るくらいの巨大さであった。
ゴーレム達によって作ったのを知ると、誰もがゴーレムに感謝すると言って笑顔になった。
パトリシアはルテリに感謝してお礼を言って、
「ありがとございますルテリさん。住民も大変に喜んでますし、感激してます。ゴーレムさん達に感謝すると言ってます」
「そうですか、ゴーレム達にも後で感謝の話はしておきます。きっと彼女達も喜ぶでしょう」
「魔人と人族が混じり合う、そしてお互いに感謝し合う時がくるなんて嘘のようですが、現実に起きてるのですね」
「魔人と人族がお互いにケンカなしで生活していくのは、冷の考えです。彼は魔族を仲間にして人族達と一緒に暮らせるようにする考えを持ってます。最初は信じられない気持ちだったが、今になって彼の考えが間違ってなかったということ。冷は歴史上にない大事業をしているのかも。それは人族と魔族と神族が一緒に暮らすという、誰もが思いつかず、誰もが成し遂げられない、大事業を」
「そうかもしれません。冷さんを見てると不思議と不可能を可能にしちゃう気がする。不思議な人です」
「不思議な人か……実際はとてつもなく裸が……」
ルテリが裸と言いかけて途中で言葉を閉じるとパトリシアはなぜとなり、
「裸? 今、裸って言いましたか?」
「いや、なんでもない、なんでもない、気にしないでくれたまえ」
ルテリには不思議な人というよりも、女の子の裸が好きな単なるスケべ男であって、あぶなく言いかけたのであった。
別に冷の本性をパトリシアに教える必要はないし、控えることにした。
「そういえば冷さんはどうしたのですかね、この新たな町並みを見にこないのですか」
「冷は確か忙しいらしい。王都から封書が来て、内容は王都でこれから開催する友好食事会に参加する要請がきたらしい。だからここには呼ばなかったのだけど、帰ってきたら見せてやります」
「ええええ!! 友好食事会に参加ですか!!」
「私も貴族出身だが、シャーロイ家は今の国王と仲悪いから呼ばれることはなかったな」
「普通の人は参加できません、参加できるのは限られた人で、国家の中枢にいる王族や軍師レベルだけでしょう。シャーロイ家もそのレベルでしょうけど、まさか冷さんがそこまでの地位にまでなったとは、凄い出世です」
商業ギルドの職員であるパトリシアからしたら呼ばれた冷は手の届かない程に出世したように思えた。
「冷は出世とか権力とかに興味ないらしいがな」
「興味ない……ますます尊敬しちゃいます!」
「いや、いや……わかったパトリシア、冷には尊敬してるようだと伝えておくよ」
パトリシアが冷に目を輝かせて尊敬してると言ったので、ルテリは本当の冷を知ったら尊敬できるかと悩んだが、深く考えずに伝えておくとした。




