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 ガーゴイルとルビカが汗を流して働いているところに冷が現れて、2人の作業現場を拝見しに来た。


(卵の生産の方はどうかな)


「あれ、冷が来ましたもん〜」


「カナリヤの卵の販売店をのぞいて来たんだけど、調子はいいようだよ」


「調子はいいと聞いて安心」


「ガーゴイルが1番心配だろうからな」


「売れなかったら、カナリヤに申し訳ないでしょ」


「そりゃそうだな。今は、カナリヤは?」


「産んでばかりではストレスがたまるから、少し遊ばせてあげてる。ほら森の奥でカナリヤがいるでしょ。リラックスしてる」


 ガーゴイルが指差した方向にカナリヤは群れていて、森の開いたスペースで陽にあたっていた。

 

(ふ〜ん、カナリヤもニワトリみたいに自由にした方が良いのかもな。日本で有名な卵や鶏肉も同じだろう)


 日本でも有名な鶏は狭い養鶏場で育てるよりも、自由に放し飼いしたりしてるのを思い出していて、実際に近くに行ってみようとした。


「カナリヤの近くに行ってみるから」


「カナリヤの近くに? 大丈夫だと思うけどね」


 ガーゴイルから許可をともらいカナリヤの近くに行ってみた冷は、カナリヤの背中を撫でてみたら、その結果は冷の予想外に気にくわなかったようで、冷を後ろ足で蹴り飛ばしたのだった。


(ええっ!!!)


「ああっ、冷!!!」


「冷、飛んで行ったもん〜〜〜〜〜」


 ルビカが言った通りに冷は蹴り飛ばされて、大きく飛んでしまい地に転がりながら止まって、幸いにも大ケガではなかったが、全くの不意打ちだったため、防御もなくそのまま受けてしまったのだった。


(びっくりしたな)


 ガーゴイルとルビカは駆けつけて冷を心配する。


「大丈夫かい!!!」


「死んでるもん〜」


「誰が死んでるもん〜だ、俺は生きてるよ。不意打ちだったから、びっくりしたけど。普通の冒険者の人なら大事故だろう」


「すまん、カナリヤにはちゃんと説明しておく」


「近くに行った冷も悪い、カナリヤが驚いたのだ、だから冷も不注意だもん〜」


「そうだな、俺も不注意だった。気をつけるとする。しかしカナリヤって怖いな。仲間にして良かったよ」


 何も考えずに行動したのが、悪い結果になったが、カナリヤの蹴りの強さを体で受けてみて、強い足腰をしてると感じ、これならたくさん卵を産めるだろうと思った。


(この足腰ならいっぱい卵を産めるな)


 カナリヤの卵はルビカが運ぶ分が、すでに積まれてあり、ルビカは冷に注文をしてみる。


「ちょうどいい所に来た、冷も私と一緒に卵を運ぶのを手伝うもん〜」


「ええっ、俺も?」


「手ぶらで帰ることはないもん〜」


「なんかルビカに使われてる気もするが」


「気にしない、気にしないもん〜」


「わかったよ、手伝うよ」


 なぜか来たついでに卵の運ぶのを手伝うはめになったが、断る理由もないので、ルビカとともにヤリッチのいる販売店に行くと言って、ルビカに完全に使われてる感じに冷は苦笑いするしかなかった。


(困ったけど、これもルビカが町に馴染めればいいさ)


 ルビカが古い貴族のシャーロイ家から新しい貴族のシャーロイ家として頑張っている姿に冷は思わず笑みをしていて、きっとルビカならいい結果を残せるだろうと思い、二人でヤリッチのもとに卵を運んだ。

 


 その日は卵の生産と版はすこぶる良好な結果となり、宿屋にいる全員はとても嬉しく食事しながら、ガーゴイルとルビカやヤリッチを褒めた。

 長女であるルテリが三女のルビカを妹として頑張ってる姿勢を励ます。


「ルビカ、よく頑張ってるそうね。姉として少し心配だったけど、ルビカがあるから卵は評判良いそうよ」


「へへ、当たり前だもん〜」


「姉さん、ルビカは直ぐに調子にのるから、褒めるのはそれくらいにでございます」


「それもそうだが、今日は特別だ。私達の運命はこれからの頑張りにかかってる」


 次女ルクエが三女ルビカを甘えさせないようにしたいのは、シャーロイ家の現在のあり様で、華麗な一族、スタンダード国南部に権力を誇ってきたシャーロイ家の落ち度であって、エルフ国と怪しい取り引きによる利益を長年してきたことが暴かれ、国中に広まったのだった。

 そしてシャーロイ家の地位はガタ落ちし、貴族のランクは落ち、財産も減ることが予想されるし、何よりも信用度は直滑降で落ちるたので、三姉妹は底辺からシャーロイ家の信頼を高める必要があった。

 ルビカの活躍が広まればシャーロイ家の名に新しい名誉をつけることが可能なわけで、ルテリは褒めたのであり、ルビカも単に嬉しがったりせずに、気を緩めずに頑張ると決めていた。

 リリスがヤリッチにどの程度の売り上げ金、つまりは卵の販売額が知りたくなり訊いてると、


「ヤリッチさ、売り上げはかなりあったのかい?」


「もちろんあった。ただ卵の価格は金のない人も買える金額に設定してある、困っている人の為に始めたわけだから、だから利益は無くても良いとのこと。金額的にはたくさんの肉が買えるだけはあったが」


「肉が買える!」


「おいミーコ、お前の目が金になってるぞ!」


「肉が買える……結構な金額だよね」


 ヤリッチの返答に一番最初に反応したのはミーコで、ミーコは金が大好きなのもあり、目が大きく開いていたのをリリスに指摘されたのだったが、冷はヤリッチの言うとおり利益よりと困っている人に渡ればオッケーで、採算度外視とまでいかなくても、儲けはなくてよかったのは確かであった。


(ミーコの前で金の話は禁止だよな)



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