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 冷は疑いがかけられてるのを何となくだが感じて、チルフに警戒されないように笑顔を作り、なるべく柔らかな態度で接する。


「こんばんはチルフ、まだ起きてましたか?」


「起きてはいたが」


「俺はチルフ達にお風呂に入ったらと思って声をかけたんだ。もうお風呂には入ったりしたかなと……」


「いや入ってない。誰も入ってない。入るのに冷の許可がいるとは聞いてない」


「それがアリエル達の部屋のお風呂に一緒に入るのはどうかなと。今ごろアリエルも入ってるからさ」


「そうかい、入れる準備があるなら入ろう、ギガース様やミノタウロスにも伝えておく」


「うん、そうしたら良いさ」


 冷が誘ったらチルフは問題なくお風呂に入るのに頷いて、他のミノタウロスなども入ることが確実に、冷はそっと扉を閉め、アリエル達の部屋に。


(これでギガース達とのお風呂が満喫できそうだな)


 チルフは返事をしたが、まさか冷も一緒に入るとはこの時は思ってもいないし、ギガース達とアリエルの部屋にやって来て、待っていたネイルにお風呂に連れていかれ、脱衣所で衣服を脱ぐようにと。

 ミノタウロス、リョウシン、ギガース、チルフ、サンマル、と次々に脱衣所で入浴する準備に取り掛かると、衣服を脱いでいき、魔族の裸が露わになっていくと、人族を恐れさせたマ魔人の面影はなく、むしろ可愛いらしい女の子の集団となっていた。

 ギガースがチルフに訊く。


「お風呂に入るのはいいが、なぜ冷が誘ってきたのだろう……」


「さぁ、そこは考えてませんでした。あまり深く考えるよりもお風呂を楽しみましょう」


「それもそうだな」


 ギガースは一瞬、冷を疑いはしたが、結局は楽しみのほうを優先させて、湯に向かっていき、ミノタウロスとリョウシンも同じく入浴する。


 湯にはすでにアリエルやガーゴイル、ゴーレムなどがいて、ルテリやヤリッチまで裸の状態、総勢で14人も入浴していることになり、リョウシンは驚いて声を出してしまった。


「な、な、なんですかこの人数は……、まさか全員でお風呂に入るとは思ってなかったっす!」


「我も驚いてしまった。暑苦しいだろこれじや」


「ようこそ、リョウシン、ミノタウロス、ギガース達、みんな俺の新しいメンバーなんだから、気軽にお風呂に入って親交を深めよう!」


 そこに後から冷が入ってきて、ミノタウロス達をより驚かせると、冷はミノタウロスと弟子のリョウシンのほぼ裸に近い状態をまじまじとみすえる。


(う〜ん上級魔人の体は素晴らしいな)


「れ、れ、れ、れ、冷! なぜここに、女子が入ってるのを知ってるだろう!!!」


「知ってますけど、俺のお風呂はこんな感じに全員で入るのだよ、言ってなかったけど」


「見るなっ!! ミノタウロス様の裸をみるなんて、失礼な奴っす!!!」


「熱いっ!!!」


 リョウシンが冷に対して怒りの声をあげ、冷にお湯をかけると、熱いお湯がかけられて、冷はびっくりしてしまう。


「あ、あ、あ、あのリョウシン、お湯をかけたらダメです!」


「放せっ、ネイルっ! この失礼な男を追い出すっす!」


「まあ落ち着け、落ち着け、リョウシン、ここはお風呂場だ。騒ぎは良くない」


 ゴーレムがリョウシンを落ち着かせるもリョウシンは納得いかない様子は変わらないし、ミノタウロスも同じくなぜ不満を言わないのかと不思議に思う。


「なぜ、なぜ、アリエルらは平気なのだ。この男と一緒にお風呂ひ入ることに?」


「……入るなって言っても、無駄だから。入ってくるの。だから誰も言わないの」


「そんな、よく平気だな」


「平気よ、だって私は冷の彼女ですもん!」


 そこへガーゴイルが冷に抱きついていくのをミノタウロスはあ然となって見物し、なぜガーゴイルが冷に抱きつくのか理解できないでいた。

 考えられる理由としてはガーゴイルとゴーレム、魔族連中は全員が冷の奴隷となっている、奴隷ならば冷の言うことを忠実に従うしかないし、あり得ないわけでもない。


「やはり、ガーゴイル、ゴーレム、あなた達は冷の完全な奴隷となっていたようね。だから冷に従うしかない。お風呂でも無理矢理裸にさせられてる、そうでしょ?」


「違うのミノタウロス、私は好きで冷と抱き合ってるの」


「嘘をつけっ、嘘に決まってる!」


 そこでギガースもガーゴイルに言い寄って、嘘だろうと疑問をぶつける。


「嘘じゃないの。魔人を奴隷にしようとか冷には全くないの。信じてもらうしかない」


「信じられるか、魔人、魔族が奴隷でもないのに人族の男と抱きあうととか、裸をみせあうとか、普通には考えられん!」


「でもみんな楽しそうにお風呂に入ってるでしょ」


 ガーゴイルに言われて冷静に見渡すと、確かに嫌がっている様子はギガースには見えなくて、無理矢理に入っているわけでもないのが見受けて、だとしたら本当にガーゴイル、ゴーレムも自分から一緒にお風呂に入っているとなり、そこはギガースには理解できない。


「確かに……楽しそうだな」


「ギガース、俺を誤解してるよ。俺には魔族を奴隷にしようとか考えはこれっぽっちもない。むしろ逆だ。魔族も人族も神も淫魔も、獣人だろうが、誰も同じ扱いだし、楽しく暮らしていきたいのだよ。そしてギガース、ミノタウロスも遠りょなく裸の付き合いとしたい!」


「裸の付き合いだと……」


「さぁっ、ミノタウロス、リョウシン、ギガース、サンマル、チルフ、みんな入浴しようかっ!」


「きゃあ〜わ〜」


 冷はミノタウロス達を呼ぶと同時に湯に入浴させてお湯が溢れてしまって、びっくりしてネイルも頭からお湯をかぶり、大量のお湯が外に出てしまうという残念な結果にリリスが怒ってしまう。


「冷っ、お前のせいで、お湯がみんな外に出てしまっただろっ!!!!」


「ああ〜、悪かった、悪かった!」


 冷は照れ笑いで謝るが、メンバーからはいい加減にしてという風に言いまくられる。


(とりあえずミノタウロス、ギガース達をお風呂に入れるのは成功だよな……)


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