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2-1

 冷とアリエルは異世界に着いて早々に、言い争いになった。

 どちらが悪いとかそう言うレベルではなかった。

 森の中にいて冷が気がかりなのは敵に遭遇すること。

 いまだどんな姿でどんな攻撃をしてくるかわからない。

 わからないのは、冷に恐怖を想像させた。


(化け物だったら経験ないから、手こずるだろうな。敵よりも味方の人族に先に会いたい。人に会えば情報も入るし何より不安も減るし)


「冷、何か感じるの? 敵なら魔物よ」


「ああ、何か異様な物を感じる。今までに感じたことのない異様さだ。体がソワソワしてきやがった」


 冷は森の奥から異様な空気を感じていた。

 常に気配をとらえることの出来る冷の能力であった。


「奥に行くのやめたら。危ないかもよ」


「大丈夫さ。俺が戦うから」


 奥の茂みに入るとガサッと葉の音がした。

 冷に緊張が走る。

 

(誰かいるぞ!)


 草木をかき分けて冷の前に現れたのは数人の影。


「誰だ!」


(女の子?)


「お前こそ誰だ、冒険者か。ふふ、このリリスを知らぬとは馬鹿だったなお前ら」


 現れたのはリリスとその配下の魔族であった。

 冷の思っていた魔物と姿は違う。

 リリスはとても可愛いい女の子であった。

 髪は赤くて身長は冷よりやや小さい。

 アリエルと同じくらいであろう。

 ただし違うのは胸の大きさであった。

 アリエルがいわゆる貧乳なのに対してリリスは大きく膨れ上がり、防具がはち切れそうな感じである。

 

「リリスだと、魔物か?」


(それにしても胸が大きいな。アリエルと正反対だ)


「魔物を超えた存在と言っておこう。私は魔物の中でも数少ない特別な存在。魔族のリリス。その名を聞いて怯えない者はいない。運が悪かったな冒険者よ。私は今のところ冒険者を殺そうとして森にいた。楽〜に殺してやろう」


 リリスは詳しく自分を解説し冷を殺すと宣言した。


「聞いたことのない名ですけど」


 冷は本当に知らなかったから素直に言った。

 するとリリスは機嫌が悪くなる。


「私を侮辱すると恐れいった奴だ。先ずは手始めに私の配下の魔族と戦わせてやろう。お前らこのクソ生意気な冒険者を殺せ!」


 リリスが命令すると配下の魔族達は前に出てきた。

 ミニデーモン5匹であり、人の形はしているが背中から黒い羽根が生えている。

 鋭い爪も持っており、接近戦でも爪を活かした戦いができた。

 姿は不気味な姿で、日本では見たこともない姿。

 そして魔族特有の魔力を発していた。

 冷にも魔力は伝わり、生まれて初めての震えを感じた。

 

「大丈夫かしら。敵はいっぱいいるけど……無理よね相手は大勢いるし、強そうだし、死ぬのかしら。嫌〜死にたくない〜」


 アリエルはこの時に死を悟った。

 パニック状態となり辺りにわめき散らす。


「さあ〜どうかな、俺のこの世界に来ての初陣。戦ってやろう!」


(敵は5匹いる。手始めには丁度いいくらいだな)


 冷はナギナタを取り出して戦闘態勢に入った。

 ミニデーモンもいっせいに冷に向けて襲いかかる。

 5匹の鋭い爪が襲いかかると冷は軽々とかわしてみせた。

 数々の敵を退治してきた冷にとっては、この程度の攻撃は怖くない。

 楽に余裕を持ってかわす。


(見た目は怖いが攻撃はさほど怖くない。5匹全員が相手でも見切れるぞ)


 その後にナギナタを旋回させる。

 縦、横にナギナタを振るいミニデーモンの体を斬った。

 1匹目は胴体に刃を食らわすと、1撃で裂けて倒れた。

 冷の異世界で最初の斬った相手となる。

 振った感触は日本にいた頃と比べて変わらない。

 ただ気持ち悪いと言う点が違うだけ。

 冷のナギナタのさばきを目の当たりにしたミニデーモンは狼狽えた。

 爪を軽々とよける身のこなしのよさ。

 あまりの速さで見えなかった刃の斬れ味。

 仲間がまさか人族の1人に殺されるとは、思ってもみない展開である。

 

「何をビビってる。たまたま当たって死んだだけだ。人族相手に怖がるのは許さん。イケ〜〜〜!」


 リリスの掛け声に気持ちを立て直し、再び冷に攻撃を仕掛ける。

 冒険者でも初級のレベルなら即座に殺されていただろう。

 初級者を脱し魔物を倒せるレベルに達している者でさえミニデーモンを倒すのは容易ではない。

 それが一度に4匹同時に襲いかかる。

 冷は決して動揺はない。

 慌てずに相手の動きに目を凝らし、1匹づつ斬った。

 ミニデーモンはあっけなく5匹、地に伏せ死んでしまった。

 冷にはかすり傷1つない。

 呼吸すら乱れてもいない、完勝となった。


柳生 冷


性別 男

種族 人族

称号 

ユニークスキル 

スキルストレージ 


職業 無職狂戦士バーサーカー

レベル101←100アップ


体力  109←100アップ

防御力 109←100アップ

魔力  109←100アップ

精神力 109←100アップ

素早さ 109←100アップ


剣術レベル99←90アップ

柔術レベル99←90アップ

槍術レベル99←90アップ

弓術レベル99←90アップ

斧術レベル99←90アップ


 冷のステータスが格段に上がった。

 ミニデーモンを5匹倒したのが貢献していた。

 一般の冒険者ならレベル1から2が妥当だろう。

 ミニデーモンの強さから多めにみても4というとこか。

 4でもかなり凄い方である。

 それを冷は軽く超えて100もレベルが上がったのであるから、異例といえよう。

 本人も確認後には驚くしかなった。


(レベルが100も上がった。こんなに上がっていいのかな。何かの間違いじゃないのか。普通に考えておかしいよな。ゲームもしたことはあるがこんなに上がるのは見たこともない)


 冷の感じたことは誰でも思う疑問である。

 異常な数値の上昇。

 これではゲームで言えば、いきなり後半戦のボスが倒せるくらいの勢いである。

 明らかに異常と言えるバグ的な数値。

 しかしこれにはちゃんと理由があった。

 冷の職業である無職狂戦士バーサーカーの影響である。

 この職業は歴史上で唯一、冷にしか取得出来ない職業であり、冷も誰もそのことは知らない。

 冷だけに与えられた職業。

 過去に存在したことが無い職業だけに実力も不明であった。

 その無職狂戦士バーサーカーは初期のステータスはそれほどでもない。

 むしろ低いくらいである。

 だが見ての通りレベルが上がると猛烈な上がり方で数値が上昇する。

 本人も驚く程に。

 この職業の特徴と言っていいインフレーションステータスの凄さが開花した瞬間であった。

 インフレーションステータスを獲得する者は歴史上、冷が初めてとなる。

 つまりは全ての約1兆個ある異世界の全歴史を書き換えたのである。

 

「ううううう! よくも私の大事な配下を皆殺しにしてくてたな! 許せん、かくなるうえはこのリリスが相手になってやろう!」


 配下5人をいとも簡単に殺されたリリス。

 予定では冷が殺されているはずであったが、逆になってしまい怒りを露わにした。

 リリスが怒りで自信の持つ最大限の魔力を限界まで放出する。

 するとリリスの体から発散される魔力が冷に届く。


(こ、この気は何だ? 今までに感じたことのない気だ。用心しよう)


 リリスは魔族の持つ魔力で冷を威嚇した。

 そして腰にある剣を抜いて剣先を冷に定めた。

 剣は明らかに普通の剣ではない。

 魔力がこもった剣、魔剣と呼ばれる代物だ。

 冷はリリスの動きに合わせてナギナタを構えた。


「冷、相手は魔力が高いわ!」


 後方で見守る神族であるアリエル。

 アリエルもリリスの魔力を感じ取っており、冷を心配する。


「俺も感じ取ったさ。でも今の俺はアリエルの知ってる俺じゃない」


「どういう意味なのそれって? まるで冷が別人みたいな言い方だけど?」


「うん、別人といって差し支えないだろうな。もはや俺はさっきの俺じゃないんんだ。説明してる時間がないけど」


 アリエルはよく冷の言う意味がわからない。

 しかし冷は伝える暇はない。

 リリスが飛び込んで来たからである。

 

「では、いくぞ冒険者よ!」


「いつでもどうぞ!」

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