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 冷の存在があまりの規格外している点に会議のしようがなくなる。

 話し合っても答えが出るわけがなく、逆に聞けば聞くほど意味がわからない。

 どこを目指しているのか、いつか攻めて来るのか。

 そこが話の焦点となる。


「それで、密偵から冷はどこを攻める気だ。そこが最も知りたい点である?」


「わかりません。現在のところは、他国を攻める動きはないと。しかし注意深くみていないといけませんから、密偵には厳重に警戒させております」


「そのまま密偵は続けなさい。そして何かあったら直ぐに報告しなさい」


「はいアカク国王」


 軍事会議は終わったが、今までにない異様な雰囲気で終わり、アカク国王は厳しい顔を崩さなかった。

 アカク国王の考えは当たり前であるが、とうのスタンダード国はそんな気はなくて、とても他国を攻める余裕などなく、王都を作るので精一杯であった。

 もちろん冷も同じで、ユフィール国を攻めることなど全く考えてないし、そもそもユフィール国を知らないのだから、攻めようがなかった。

 

 アカク国王は国の最大限の危機に面していると直感的に感じ、最後の手段を考え、しかしそれは冷と同じくらい危険さを持つので、触れたくないが、国の危機には、かえられないとの判断が優先されて、ある判断を決めた。

 アカク国王は兵士を集めて、ユフィール国の王都を馬車で走ること数時間が経ち、周りには兵士も馬に乗り走る。

 兵士達は馬に乗りながらも顔はとても険しく、誰もが青ざめている顔で、綱を持つ手も震えていて、逃げ出したい気持ちになる。

 しかしアカク国王からの命令であり、国王を置いて逃げるわけにはいかないので、震えて馬に乗っていた。

 問題は馬の向かう先、そこは普段は誰も近づかない土地、アカク国王が近づくような土地ではなく、兵士ですら絶対に近づかない所で、異様な雰囲気に包まれていた。

 馬車が到着した地は立派な城が立っていて、周辺は美しい森に囲まれ、湖もあり、綺麗な庭園もあった。

 知らない人が見たらなんて美しい城なのかと思うだろう光景で、さぞかし高貴な貴族や王族の住む城だろうと驚くに違いない。

 しかし兵士は美しい城に恐怖心で怯えていて、誰も口をきく者はおらず、緊張感が張り詰めるとアカク国王が馬車から降りてきて城に歩いていった。

 城に入る手前、扉の前には魔族が2匹立っていて門番役であって、アカク国王に質問する。


「お前は……アカク国王か?」


 門番は少し考えてから訊き返した。

 門番の顔には牙が生えており、豚の顔をしており、剣を持ちアカク国王に威かくする。


「そうだ、私はアカク国王である。いきなりだがオーガに話があって来た。会って欲しいと伝えてくれないか」


「わかった、今、オーガ様にお伝えをするから待っていろ」


 この国の国王に対して失礼な口の仕方に兵士はイラッとしたが、誰も門番に手を出すことはしないのは、オーガの城を守る門番だけに手を出せないのだった。

 手を出したら終わり、その兵士の命はなく、たとえアカク国王が言っても無駄、確実に殺される。

 そのため、静かに待っていると城に案内され、オーガとの話し合いの場を作ってもらうことになった。

 城の中央にある部屋。

 部屋には多くの大鬼魔族の家来がアカク国王と兵士達を待っていて、ジロリと注目した。

 家来達はテーブルに次から次に皿を運んでいて、皿は食べ終えた後の皿であった。

 中央の椅子に家来達のボスである上級魔人、大鬼魔族オーガが座っていた。

 待っていたと言うよりは、テーブルで食事をしている最中と言え、テーブルには数多くの豪華な料理が大量に、人が食べる量をはるかに超えた量の更が並んで、テーブルを埋め尽くしし、ナイフとフォークでオーガが全ての料理を一度に食べていたところであった。

 アカク国王は目が合うと全く動けなくなるのは、オーガの食事中に訪ねてしまい、オーガの機嫌を損ねてしまったのではと思ったから。

 

「よぉ、アカク国王、ひさしぶり。今日は何か用事があるのかい?」


「ええっ、オーガ、今日はとても重大な話があってきた。ぜひ聞いて欲しい。いや、すでに知ってるかもしれないが……」


「重大な話なら聞こう。食事は続けていても構わないか」


「構わない、食事を続けていて、話を聞いてくれればいい。先ほど我が国に入った情報によるもの。我がユフィール国に隣接している国にスタンダード国がある」


「知ってる」


「そのスタンダード国にあなたと同じ上級魔人のミノタウロスが牛頭魔族を率いて王都を攻めました」


「ミノタウロスがか、ふんっ、あいつは頭が固いからなぁ〜〜〜〜、なんだって……ミノタウロスが攻めただと!!!!」


「そ、そ、そ、そ、そうです、上級魔人ミノタウロスが突然に王都を攻めたとの報告を受けたのは今」


 ユフィール国のアカク国王が入った情報を盛らずに正確に説明した時にオーガはフォークとナイフの手を止め、アカク国王を疑う口調で言ったため、アカク国王と周りの兵士は背筋をピンと伸ばして殺されるかと思った。

 オーガは別に兵士を殺す気などないが、ミノタウロスの単語が出てくるとは思っていなくて、最初は聞き流してしまうも、ミノタウロスに違いないなら、食べてる場合ではないと、フォークを止めたのだった。


「もっと話せ。知ってる情報を全て話してくれアカク国王。嘘なら殺すからな」


「嘘ではない。密偵から入った情報だから確証は高い。ミノタウロスは王都を攻めた時に、噂に天才とされる冒険者の冷が現れたと。そして冷と激しくバトルの末、冷が勝利をして決着した」


「嘘ついたなアカク国王、そんなに殺されたいのか?」


「本当だオーガ、信じてくれ、真実だからこそここに伝えに来たのだし、今後のことを話し合いたくて来た。冷に負けた後に奴隷となり連れて行かれたらしい。さらにスタンダード国南部にあるピルトの町に巨人魔族ギガースも攻めたが、冷の奴隷であるゴーレム、ガーゴイル、それ以外にも女神や淫魔族らで倒したとされ、ギガースも奴隷にされたとある」


「なんだとっ、ダンっ!!!!!!!!!!」


「ひぇっ!!!!!!!」


 アカク国王の報告を知ったオーガ、まだ知らない話であって、とても信じられない内容に激怒しテーブルを叩きつけたのだが、その迫力にアカク国王並びに兵士は悲鳴を上げたのだった。


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