表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
286/351

284

284


 ギガースの言い分に町の人々の反応が変化していき、ギガースを追放するよりも居てもいい雰囲気になってきた。

 冷はその雰囲気に期待を持つ。


(最初は批判的だったけど、良くなってきたな)


 そこでギガースは人々にピルトの町に住むことの許可を求める。

 これが許可されれば、申し分ないが、そう簡単ではないのはギガースもわかっていた。

 しかし決めるのは町の人である。

 決めてもらうためにギガースは問いかける。


「皆さん、中級魔人である私がこの町に住むのを認めてください!!!!」


 声明は終わったが反応は何もなかった。

 これにはルテリも心配する。

 ダメなら終わりである。

 二度とギガースはピルトの町に来ることはないし、入れないという意味。

 緊張が高まる中、声がわきあがつた。


「ギガース!!! 居てもいいぞ!!」


「上級魔人を蹴散らしてくれ!!!」


「上級魔人を倒すのが条件だぞ!!!」


 ギガースもルテリも予想を超える反響があった。

 決め手はなんと言っても上級魔人の言葉で、上級魔人の恐ろしさが、人々の気持ちを変化させた。

 世界を震撼させる強さを持つ上級魔人。

 誰でも上級魔人と聞けば恐怖する名前である。

 ギガースなら役に立てるだろうと期待をもたれたのだった。

 冷も嬉しくなった。


(いいぞ、成功だな!)


「ありがとう皆さん。必ず皆さんの期待にこたえられる否が来ることを誓います!!」


「頼むぞ!!」


 ギガースとルテリは顔を見合わせて見つめ合う。

 お互いに笑顔になった。

 求めていた結果が笑顔を持ってきたのだった。


「どうやら、ピルトの町に住むのは認めてもらえたよう。しかしこれはまだ認めてもらえただけだ。今後のあなたの行動が重要になる」


「わかってるルテリ。きっと役に立てるはずだ」


「良かったですねギガース様!」


「ギガース様なら上級魔人も怖くないです!」


 サンマルとチルフも笑顔で喜び、ギガースに抱き合う。

 3人で抱き合うのはこれが初めてであった。

 人々からも拍手が起こる。

 冷は3人の肩を抱いて、喜びを分かち合った。


(俺も嬉しいぞ!)


「良かったな3人とも俺のメンバー入りだよ!!」


「うむ、今後は新メンバーとして飛躍をしたい。必ずや強くなりアリエルやミーコを見返してやりたい!」


「その調子だギガース!」


 冷とギガースもお互いに意見があって頷く。

 目標は今よりも強くなりたいという気持ち。

 アリエル達に負けたのが、それだけ悔しかったのである。

 中級魔人と呼ばれていたのに、冷に負け、さらにアリエルらにも敗北をきっした。

 中級魔人にある誇りが著しく傷付いたのは確か。

 そこで終わらないのがギガースで、負けず嫌いな性格もあり、冷の道場に入門し、さらなる成長を約束した。

 冷は中級魔人の本気を感じとり、凄みも肌にヒリヒリときた。


(中級魔人の本気は、こんなものじゃないだろうな。楽しみだ)


 ピルトの人々はギガースの件しか知らないが冷はもっと強烈な知らせを報告したい。

 それはミノタウロスもメンバーに入ったこと。

 この事実は町の人々はまだ知らないだけにとてつもなく強烈である。

 ギガースだけでもインパクトは凄いのに、その上のインパクトとなるのは避けられない。

 よってユズハ、ルテリからはミノタウロスを隠しておくように言われていた。

 冷は反対して、隠して良いことないと言い切った。

 ミノタウロスを公表するとし呼んだ。

 冷は聴衆の前に出ていき、


「皆さん、俺は冷です。俺の話を聞いてください。ギガースのメンバー入りが決まり、このピルトの町に住むのは決定しました。皆さんの判断に感謝します。しかしもう1つだけ頼みがあります。上級魔人のミノタウロスとその弟子リョウシンをメンバー入りさせたいと思ってます!」


「…………………………………………」


 広場は沈黙に変わった。

 ギガースに期待していた明るい雰囲気から一転して暗く重い空気に。

 それもそのはず上級魔人のミノタウロスと聞こえたからだった。


「あれ、皆さん大丈夫ですか?」


「……………………ちょっと待て冷……上級魔人ミノタウロスて…………あのミノタウロスかよ!!!!!」


「そうです、こちらがミノタウロスです!」


 冷に促されて表にでたミノタウロスに笑顔はない。

 上級魔人の偉人をかざして、堂々と現れた。


「我は上級魔人ミノタウロスだ。文句はあるか?」


「ばばぱばばば、バカな、本物のミノタウロスが!!!」


「しかしなぜミノタウロスがここにいる?」


 上級魔人の突然の出現に驚くと、なぜ居るのか疑問点が起こる。


「理由を説明しますと、上級魔人ミノタウロスは王都を攻めました。俺がたまたま王都にいたので、対決しまして倒しました。そしてピルトの町に連れてきたわけです。安心してください、彼女は暴れませんから、それは約束します。そしてピルトの町に住むのを認めてやって欲しいのです!!!」


 すると聴衆からは反対意見が。


「ふざけるなっ、人族魔人だぞ!」


 当たり前だが、ミノタウロスを敵対する。

 誰が喜んで人族を好きになるか。

 誰も仲良くなどなりたくない。

 会いたくもないし、増して一緒に住むなど考えられない。

 冷のミノタウロスの紹介は失敗したかに想われた。

 ルテリからも、


「冷……ミノタウロスは無謀ですよ」


「わかっていて俺は紹介してるんだ、もう少し試したい」


「わかりました、しかし、失敗したら冷が責任を取り、ミノタウロスを追放すると約束しなさい」


「うん、わかった」


 ルテリから追放と言い渡されて厳しい顔に変わる冷。


(厳しいな……)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ