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 ミノタウロスはメンバーに加えると上級魔人達と敵になるのを嫌がる。

 同じ上級だけに相手の怖さもしっているのが原因だ。

 人族を滅ぼすという最大の目標を共通として、結束してきた。

 それを変えるのは無理がある。

 ミノタウロスにアリエルが説明する。


「もしメンバーに加わらないとしたら、国を破壊した罪に問われて重罪となる。冷のメンバーに入るなら、冷の監視下にあり安全が保たれるから、国王も見逃してくれる。今のままだと絶対に国王は許さないです」


「重罪を受ける覚悟はある。我はミノタウロスだぞ、プライドがある。死刑にするならしろ、その代わり他の上級魔人を刺激するが、いいのか。我は上級魔人だ、他の上級魔人が我を救いに大軍で攻めて来るだろう。その覚悟が逆にあなた達にあるのかどうか。我を重罪にしたらお主らは終わりとなる」


 上級魔人どうしの繋がりはミノタウロスの言うのが最もであった。

 固い絆で結ばれており、人族を倒すことが全てである。

 必ず助けに来ると思うべきで、ミノタウロスの忠告にアリエルはたじろぐ。


「上級魔人が動くと言うのね。脅しですか?」


「脅しじゃない、本当に来るだろう。もし他の上級魔人がピンチなら我は助けに行く。それが魔族の結束力だ。あははははは、どうしたアリエル、女神なら上級魔人なんて怖くないか?」


「…………」


 ギガースと戦いを演じたアリエルも上級魔人が相手となると、引き下がるしかない。

 とても戦える相手ではなく、想像しただけで顔色が真っ青になっていた。


「さぁ冷、我をこのままハンマド国王に差し出せよ、その時が地獄の始まりだ!」


「どうしますか冷氏。ミノタウロスは国王に差し出すしかなさそうよ」


「差し出すなんてしないよ、ミノタウロスを取り返しに来ても渡さない。俺はある考えが浮かんでいるんだ。アリエルから聞いた話で、人族と魔族は大昔は一緒に暮らしていたと聞いた。原因はわからないがケンカして、仲が悪化して現在に至ると。魔人と戦ってきて、きっと一緒に暮らせると思い始めているんだ。ガーゴイルとゴーレムだって出来てるだろ。だから他の上級魔人とも戦って、その後に一緒に暮らせるようにしていきたいと思ってる」


「妄想だろそんなのは、我は騙されないぞ」


「キミを取り返しに上級魔人が来たら来たらで構わないさ、なぜならやって来る上級魔人もまとめて全員俺のメンバーにしちゃうから!」


 ミノタウロスの前で他の上級魔人とも戦うと宣言をして、さらに仲間にする計画を宣言。

 さすがにミノタウロスは冷の考え、思考に驚いた。

 こんなとっぴょうしもないことを言い出す者を初めて見たからであった。

 頭が悪いのか、それとも世界を変える救世主なのか、どちらにも思える。

 救世主にしては甘く見すぎてるとミノタウロスは思う。

 周りにいた者も絶句した。


「…………」


「…………ちょっと冷、いつからそんな構想を持っていたのよ?」


「えっと……ガーゴイルを仲間にしたあたりからかな。これは可能性があるなと。ミノタウロスに関しては一緒に、このピルトの町に暮らしてもらうとする。そして町の再建、見てわかる通り、めちゃめちゃだろ、新しく町を立て直したり開発したりするのを手伝ってもらう、いいね!」


「勝ってに決めるな、町を再建するなら自分たちでしろ、我は手伝ってやる義理はない。人族のために力を貸したら恥も良いところだ」


 縄で繋がれたまま冷に反抗した。

 見動きはとれなくても魔人の意地であった。

 町を見渡すと1面ががれきの山となっており、住む場所もないところも数多い。

 トルネードスネークの影響は町を崩壊寸前まで破壊していた。

 再建するにしてもとてつもない労力がいる。

 片付けからして作るのも大事業だろう。

 そこに後から傷付きやって来たのはギャンとボーガであった。

 2人はギガースのトルネードスネークの餌食となった。

 ギャンが痛そうにして、


「うう……どうやら勝ったようね……」


「ギャン! それにボーガ! 2人ともかなりやられた。その感じだと直ぐに回復系の魔法が必要ね、こっちに来て、私が魔法スキルを使うから!」


「アリエル、お願いします!」


「お願いします!」


 ギャンとボーガがアリエルの近くにまで行くと2人に聖なる治癒を使う。


「聖なる治癒!!」


「…………ふう〜かなり体力は回復して傷も治ったみたい」


「助かりましたアリエル」


「ギャンとボーガも揃ったか。残りは……ゴーレム」


 そこに居るはずのメンバーでゴーレムの姿が見えないのが気になっていた。


(どこに行ったのかな)


「お〜〜〜い、ここだ!」


 遠くから声が聞こえて、声の方に向いてみるとゴーレムの姿があった。

 ゴーレムに抱きかかえられたシールドもいた。

 

「ゴーレムかい、無事のようだが、シールドが心配だ、早く手当てをお願いする」


「わかってます、聖なる治癒!!!!」


 聖なる治癒を受けてシールドは息を吹き返した。

 自分と立ち上がり、問題ないことをアピールする。

 

「町の外にチルフとリョウシンがやって来て、巨人魔族の大軍団が迫ってきたのだ。それをシールドが初めに防いでいて、体力を消耗させられた」


「シールド、よく頑張ったな」


「いえいえ、申し訳ないとしかいえませんです」


 シールドとゴーレムの帰りにサンマルが疑問形で、


「しかし我々の巨人魔族は相当な数は居たはず。軍団を集めて外からも攻撃を仕掛ける作戦であった。いくらゴーレムがいても、そう簡単には巨人魔族団を防げるものではないはずだが……」


 巨人魔族が大軍団できた時にゴーレムも向かっていた。

 しかしシールドを犠牲にする形になっていた。


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