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 牛頭魔族が停止した後、冷は安心してまた地上に降り立つ。

 牛頭魔族からしたらあってはならない光景であって、見たくないボスの姿。

 冷はそのボスよりも強いとなる。

 魔族には逆らえない状態となった。

 冷の策は予想通りに成功した。


(ミノタウロスを連れてきて正解だったな)


 魔族と戦うことなく一瞬でしずめると、ナニは二度びっくりし、戦いの神様を見た気がした。

 上級魔人を倒せる人族がいるとは思わなかったし、人族を超えた神様にも近い存在感を発していた。


「凄いです冷さん……まさか牛頭魔族を全く戦うことなく、大人しくはさせた。今のはまるで神が現れたのかと思いました」


「いやいや、俺が神様だなんて褒めすぎだよ。もう牛頭魔族は攻めてこないから安心していいよ。安心といっても城は壊しちゃったけどね」


「えっと……城を壊しちゃった……本当に壊したのですか」


「我との戦い際に壊したのだ」


 ミノタウロスは小さく言った。


「国王には怒られたけどね、それと俺にはまだやることがある。急いでピルトの町に行ってくる、そこにはギガースが現れたらしいから」


 ギガースの話をするとナニは冷の気持ちを理解して頷く。

 冷のピルトの町がホームタウンだと知っていたから。

 止める理由はなかった。

 むしろ応援したかった。

 飛行して、ミノタウロスを再び上空に。


「なぜ我もピルトの町に行くのだ!」


 ピルトの町に向かうとしてなぜかと問う。


「必要がある。キミを連れていき、ギガースに攻撃をやめさせくれ。ギガースはキミの言うことならわかるだろう」


「またも我を使うか、魔物とは違うだろギガースは!」


「とにかく、連れて行く!」


「だから触るな!」


 ピルトの町に向かって急発進した。

 噴射でもしているかのような速さであって、ナニはあっけにとられた。

 王都の戦いはミノタウロスが負け。

 城の外の牛頭魔族も負けと結果はなった。


*



 ピルトの町の戦況は、町の外でチルフ、リョウシン、巨人魔族にシールドが負け。

 それを見たゴーレムがチルフとリョウシンを負かす。

 ルテリ三姉妹は人々を避難誘導した。

 ギャン、ボーガ、ガーゴイル、アリエル、ミーコ、リリスがギガースとサンマルと対面していた。

 すでにギャンとボーガは傷つき負傷。

 戦意を失うまでに傷は深かった。

 ギガースのトルネードスネークがギャンとボーガを巻き込んだ。

 竜巻並みの破壊力に防御も無効となる。

 町の半分はトルネードスネークによる竜巻で失っていた。

 ギガースは勝利の確信を得つつあった。

 

「あははははは、冷さえ居なければ、ご覧の通りに。結局は冷だけだろ。その冷も今頃はミノタウロスに血祭り地獄さ」


「ギガース様、片付けてしまいましょう!」


 サンマルは勝利に近づけるのをためらわない。

 アリエル達を一掃する計画をすすめる。

 ギガースとサンマルのペースで戦いはすすみ、苦戦していた中でアリエルはあきらめてなく、ギガースを負かす術を考えていた。

 中級魔人でも豪腕で知られるギガースは評判通りにパワフルであって、トルネードスネークを破るのは困難。

 しかしそれも今までのアリエルであったらで、今のアリエルは成長し、魔族とですら戦え、新しいスキルも習得しており、決して悲観的になる必要はない。

 むしろチャンスであり、ギガースを練習台にしたらいい。

 道場での訓練では使用したが、実践では未使用。

 それならギガースに試してみたい。

 アリエルは女神の本来の潜在能力が発揮されてきたのを実感する。

 神族は中級魔人と比べても負けない。

 それどころか頂点に立つべく存在である。

 女神の持つ天性の能力は、この世界に来たと同時に失われたのであったが、ついに本来の潜在能力が復活しつつあった。

 つまりはもともと持っていた能力を取り戻しつつあると言えて、スキルはその良い例である。


「リリス、ミーコ、新しいスキルを試してみたい」


「お願いするわ」


 ミーコも同じことを考えていて、アリエルはスキルを使う。


「ビーナスホーリー!」


 ビーナスホーリーを自分に唱えた。

 効果は道場で実証済みであり女神属性上位スキル、1人に対して有効、体力最大値30%アップ、防御力20倍アップ、状態異常回復の効果がある。

 使用後のアリエルは防御力が驚異的にアップした。

 アリエル自身もステータスのアップを実感する。

 自分の体ではない気がしたから。


「おい、そのビーナスホーリーを私にもしろよ!」


「わかってる、けど問題は魔力を異常に消費するの。だからリリスとミーコにするのが限界なの」


「それだけ効果はあるということだろ、お願いする!」


 リリスが偉そうにお願いする。

 消費魔力量は確かに大きかった。

 ミーコとリリスが精一杯となるので、2人に対してもビーナスホーリーを。


「ミーコとリリスに、ビーナスホーリー!!!」


 ビーナスホーリーを受けてミーコは感激した。

 まるで体が別人に感じられたから。

 リリスも同じで、体力が一気に増えた気がした。

 実際に大幅に増えていた。

 3人がビーナスホーリーの効果持ちとなってギガース戦に備えた。

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