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 ミノタウロスが先制攻撃して来ると同時に飛行姿から元の人の姿に戻す。


(飛行では戦えない)


 ミノタウロスは剣術で勝負に出た。

 剣を冷の体を的確に捕らえて切り裂いてくるあたりは冷はさすが魔人だと感じた。

 ナギナタでの応戦となって、速さ、腕力ともナギナタで防御できたが腕がしびれるほどの強さであった。


(口だけでなく、腕前はあるな)


 剣とナギナタが火花を散らし、どちらも譲らない戦いになった。

 ミノタウロスは手始めに剣術で勝負したが、直ぐに冷の実力は把握した。


「剣術はよく鍛えられてるのは認めよう。人族の域を超えてる、魔人、神級レベルと言ってもいい。人族でそこまで鍛えるのは困難であったろう」


「褒めてもらいて嬉しい。俺の実力はこんなものじゃないけど」


「本気ではないと言うのか」


「剣術ならこんなのはどうよ……アイスドラゴンブレード!!!」


 ミノタウロスに対して水属性スキルを使う。

 アイスドラゴンブレードはナギナタに冷気を帯びて、あらゆる物を凍らして斬れる。

 プラスしてアリエルからもらったナギナタは神級の武器であり、世界最高級レベルの武器。

 合わせて使えば攻撃力は倍増していた。


(剣術は俺の最も得意です)


 使う前にナギナタから声がして、バアちゃんからであった。


((敵は強い、はっきり言って、今までの相手とはレベルが違うぞ))


(バアちゃんか……体にビンビンと感じるよ、ハンパなく魔力を)


((今回は微妙だぞ、生きて帰れる保証はない!))


(バアちゃんには世話になるぜ)


 バアちゃんから要注意を指摘されるも、言われる前にすでに冷は体で膨大な量の魔力を感じていた。

 立っているのも危ないくらいのレベルだとわかる。


(これがミノタウロスか……聞いた話以上だな)


 ミノタウロスにアイスドラゴンブレードでの剣術を挑む。

 ナギナタが青く輝く。

 ミノタウロスの剣と切り合う。

 切る度に地面を切り裂き地割れが起こる。

 家屋にまで亀裂は伸びる。


(アイスドラゴンブレードを防ぐとは、やるな……)


 ミノタウロスも負けじと剣を冷に浴びせた。

 体まで剣が届くことはなく、ナギナタで防御された。


(凄い剣なのは受けてみてわかる)


「先ほどよりも切れ味、攻撃力とも上がっている。スキルか……我の魔剣と互角に切り合える武器があるとはな。しかしこの魔剣には勝てまい。いかにスキルがあろうと剣そのもののレベルが違うからだ。この魔剣は魔族に伝わる伝説級の魔剣のひとつ。かわいそうだが、その程度のナギナタでは勝ち目はない」


 実際にミノタウロスの持つ魔剣は魔族でも恐れられる剣であった。

 剣のレベルでも上級の位置に属する。

 値段のつかない一品である。

 ミノタウロスは魔剣を振り下ろす。

 

「残念だったな冷……これで終わりだ!」


 魔剣は冷の体に一直線で振り下ろされた。

 ミノタウロスは手応えはあった……、しかし魔剣はナギナタに受けられて冷にダメージはない。


「残念なのは魔剣の方だったな!」


「魔剣を防ぎきるなんて……」


 思った以上にナギナタが耐久力があると感じざるをえなかった。

 通常なら魔剣の圧力でほとんどの武器は粉々に壊れる。

 それが無傷で防がれたのは多少なりにもショックはあった。

 

「言っただろ、俺はまだ本気じゃないってな!」


 アイスドラゴンブレードを高速連打でお返しし、ミノタウロスの魔剣の防御を繰り返し連打したことで弾くのに成功した。

 ミノタウロスの防具にはいくつもの傷がつけられており、上級魔人としてのプライドにも傷をつけさせる。


「我の防具に傷をつけたな……、上級魔人の体に触れるとは、それが何を意味するか知ってるか?」


「知らないな……」


「教えてやろう、我は上級魔人、この世界の魔族の最高峰に位置する。魔力の違いを知るがいい。我が魔力を最大限まで上げたら、その時は死しかない。魔剣は楽しめたからもういい。剣をおろさせたのは褒めてやろう。さぁ地上最強種の力……猛獣の追撃!!!!」


 ミノタウロスは魔剣をしまうと、魔力を最大限にまで引き上げ、これまでは半分も使っていなく、頭の角を前に出した。

 冷は角を使うのだろうと予感がした。


(頭の角がヤバそうだな……)


 追撃が始まった。

 冷の体を標的にして、一直線に突進を開始。

 激突した時には爆発したかのような音がして、インパクトは冷の想像を超えていた。


(うっ……かなり凄い)


 冷は受け止めてみせたがミノタウロスの追撃が上回っていて、冷の体ごと押し込んでしまう。

 押し合いの形となったら、ミノタウロスの有利な戦いとなり、冷は押し合いに負けて、後ろの壁に突っ込む。

 しかも壁を突き抜けてもまだ止まらないで、次の壁、次の壁や、家屋、木、看板、さらには商店までも突き抜けて冷の体は押しこまれて行った。


(どこまで押し込む気だよ!)


 王都の人はミノタウロスの追撃の破壊力に悲鳴する。  

 通り道の地面には押しこまれ後ずさりする跡が長く残された。

 突き抜けた家屋の数は10、20、50を超えていき、止まる勢いはない。

 猛烈に町を破壊しながら突き進むミノタウロスに冷は無抵抗となった。


(これじゃ町はめちゃめちゃだ!)

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