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ピルトの町は危険に陥っていた。
人々は避難してギガースが出現して暴れている地点から離れた。
しかし町の外からはチルフ、リョウシンと巨人魔族が到着し、侵入する。
リョウシンが待ちわびたかのようで、
「こんな小さな町、町ごと潰してやるっす!」
「ギガース様がもうじき現れるよ、全員を倒して」
「相手には2人の魔人がいるから、苦戦を強いられるはずっす!」
「ギガース様は負けません!」
チルフはギガースを信頼して言った。
チルフとリョウシン、巨人魔族の姿を見た人々は絶叫した。
町中に巨人魔族の出現は伝わり、パニックとなる。
ギガースの耳にも叫び声が聞こえて、巨人魔族が来たことを意味しているのがわかった。
「ギガース様、チルフとリョウシンが到着したようです」
「到着したか……、先ずはここにいる奴らを倒してしまいましようサンマル」
「はい、本気でいきます!」
サンマルはニヤリと笑みを浮かべ、アリエル達を見下ろす。
そこでシールドが巨人魔族を気にかけてゴーレムに相談する。
「ゴーレム様、町に巨人魔族が出現したようです。かなりの数ならゴーレム様の魔物の出番では?」
「巨人魔族に私の魔物をぶつけるか……、直ぐに向かおう、シールドは私と来い、ギャンとボーガは残って戦いなさい」
「わかりました!」
ギャンとボーガは残ることになった。
あまりの町の惨劇に人々の安否が心配される。
シャーロイ、ルテリが決断を下して、
「ミーコ、アリエル、私は人々を安全な場所に届けるようにする。このままでは多くの犠牲者が出るだろう。よいか?」
「お願いしますルテリ、ギガースは私達で食い止めますから、早く人々を避難させて!」
「ルクエ、ルビカ、私と人々を避難誘導します。冒険者が逃げているようで、情けない冒険者しかいない。いいですね!」
「わかりましたでございます!」
「わかったもん〜」
三姉妹が率先して避難誘導を行う。
町にいた冒険者は誘導どころか怖くて逃げてしまったので、誰も誘導する人間がいなかった。
ルテリが人々を守ると、
「ルテリ様、ありがとうございます」
「ルクエ様が助けてくれて助かります」
人々はルテリ、ルクエにお礼を言う。
シャーロイ家の名は町では有名であるために、貴族らしいと感謝された。
◇
ゴーレムは魔物を呼びに急いだ。
森にいるゴーレムに忠誠する魔物、サンドマン、イエローウルフ、ロックボールを呼びに。
ゴーレムが来るまではシールドがチルフの前で食い止める役目をおった。
「おやおや誰かしら、シールドかしら?」
「ゴーレム様が来るまでは私がお相手しましょう」
「あなたひとりで? 無理でしょ。ゴーレムに見捨てられたのよ。かわいそうに、巨人魔族よ、シールドをやっておやり!!!」
「全員が背が高い……、それに!!」
巨人魔族は容しゃなくシールドを襲った。
囲まれてしまわないように盾で防ぐ。
シールドの盾に鉄の棒で殴りかかる。
盾に当たるが、シールドの盾は壊れることなく防ぎきる。
何度も攻撃されても盾が守った。
その盾にリョウシンは驚き、
「なんだあの盾は……かなり頑丈な盾だ。防御力が高いっす!」
「シールドの盾は有名なんだよ、壊れたことは一度もないと。でもここまで強いとは思わなかったが。しかし巨人魔族の攻撃にどこまで持つかな、楽しみだ」
チルフはシールドの盾を高評価した。
「負けないわよ!」
巨人魔族からの攻めに防御で対抗したが、いくらシールドの盾の防御力が高くても、数では巨人魔族が上である。
そのうちに、防御も持たなくなるのは時間の問題となった。
苦しい状況にシールドは後ずさりしだす。
「ヤバイですね……盾でもキツイ」
「死ねシールド、さよならっす!」
リョウシンが手を振ってシールドに別れを告げた。
生き残る時間はもうないと思ったからである。
シールドも厳しいと感じた。
リョウシンに言い返すだけの余裕すらない。
巨人魔族の攻撃がついに盾を弾き飛ばす。
「くっ!!!」
巨人魔族の攻撃力が上回り、盾の防御力が限界にきていて、シールドは鉄の棒を背中、腕などに打撃されてしまう。
強力な棒の打撃。
とても体で耐えられるものではなく、シールドは傷だらけになり倒れてしまった。
勝ちが決まりリョウシンは笑った。
「あははははは、シールドは終わった。あんがい大したことない。この程度かゴーレムの配下ならゴーレムもそれ程でもないだろうな。次に倒すのは町にいる残りの者だ、巨人魔族進めっす!」
リョウシンが進むように合図をした時に巨人魔族の一団が叫びを上げて倒れた。
リョウシンが振り向いて何が起こったのかを確認すると巨人魔族の一部が数匹ほど倒れていた。
明らかに攻撃を受け倒れていた。




