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「町に到着した、さぁ巨人魔族よ、好きなだけ暴れてこい!!!」
チルフが巨人魔族に命令した。
2倍から3倍はある者もいる巨人魔族が直進した。
ギルド冒険者達はまず人々を避難を優先させて巨人魔族から逃れるようにした。
そして自分達が盾になって、逃げるだけの時間を稼ぐ。
「きょ、巨人!!!!!」
「みんな、こっちに来て、我々が盾になりますから!」
集まった冒険者の数は100名。
巨人魔族が直進してくるのを防ぎに行く。
◇
ピルトの町が危機に陥ってる頃に冷はもう王都に到着する直前まで来ていた。
(もう王都に着く頃だな)
冷の心配とは別にまだ王都にはミノタウロスはいなかった。
王都の手前で様子を伺い、ギガースからの合図で突入すると決めていたからである。
牛頭魔族の部隊もゆっくりと近づき控えていた。
そこにミノタウロスの視界に猛烈な勢いの物体が上空を通り過ぎるのを発見。
「なんだ今通ったのは?」
物体は冷であったが、飛行する人族の話は聞いたことがない。
飛行するとなるとガーゴイルが頭に浮かんだが、それにしても速度が異常な速度であり、ガーゴイルとは思えなかった。
王都の城はまだ平和そのもので中庭に飛び降りた。
ミノタウロスの件はどうなのか知るには国王に会うのが早い。
(国王に会えばわかるだろう)
そこへ兵士が冷に気づいて、
「あれ! 何者だ!」
「冷です。国王に会いたいから、伝えて欲しい。今すぐに!」
「ええっ……わかりました!」
兵士はよく話はわからないが、冷の慌てぶりから急いだ。
国王と会うと冷は急いだ理由を話した。
(意外と落ち着いてるな国王……)
「どうしたのだ冷よ、慌てて何かあったのか、まさかミノタウロスとギガースが現れたのか?」
「それはこっちが訊きたいですよ。ピルトの町にいて話があったのですが、王都にミノタウロスが襲撃したと、それで俺は慌てて王都に来たのです。そしたら何も起こってないし、ミノタウロスの姿もないし……」
困ってしまう冷に国王は状況を説明して、
「現在は王都に敵襲はない。その様な情報は入ってない。きっと間違った情報だったのだろう。よくある事だ、人々も魔人に怯えているだろう。だから変な噂が大きくなると間違った情報となって伝わることはあること。しかし余談は許さないのは同じだ。騎士団は国内から集めてきて、相当数が集まった。それに国内にいる高レベル冒険者を多数集めてある。ボニータ、ナーべマル、ラジッチも王都に滞在し、敵襲の準備は出来てる」
騎士団の備えの数は万単位で揃えていた。
冒険者は最高レベルにある者を呼んでいて、そのため金はかかるが、王都の危険を考えたら金は使うしかない。
「そうでしたか〜、俺の勘違いで良かったです。そしたら俺は帰ります」
冷の反省した話で終わるかと思ったが、ビジャ姫が現れて、
「せっかく来てくれたのです王都に、数日は滞在してもいいでしょう。城には宿泊施設があります」
「えっと……いいのかな」
ビジャ姫の提案に国王は頷くと、
「まぁ良いだろう、冷がいてくれた方が、王都も安心なのだしな、宿泊していきなさい」
「はい、宿泊していきます」
ビジャ姫がニコリと笑みを浮かべると冷もニコリとなる。
(ビジャ姫が宿泊していいとは嬉しいです)
宿泊が決まり話し合いは終わる。
国王は安心していたが冷は、ひょうし抜けしていて、ビジャ姫のお願いとあれば喜んで宿泊するとした。
以前にも部屋は使用したことはあったが、休憩程度でしかなかった。
メイドが来て部屋に案内されると、
「ごゆっくりお休みください冷様」
「どうもです〜」
メイドに優しくされて気を良くする冷。
以前にあったメイドと同じ子で覚えていた。
(名前は何て言うのかな)
ミノタウロスとの戦いに備えていたのにメイドを見るや、このあり様であった。
完全に緊張感が切れてしまった。
少しの間、部屋で休憩していたら扉を叩く音がし、またメイドが来たのかなと扉を開けると、
「メイドさん……何か用かい……あれ……ビジャ姫?」
扉を開けると立っていたのはメイドではなくビジャ姫。
突然のビジャ姫の姿に戸惑う。
(どうしたのかな?)
「今日はわざわざ王都を心配して来てもらい感謝してます」
「いえいえ、俺の勘違いでしたから、あははははは」
照れ笑いでごまかす。
冷が笑うとビジャ姫も笑顔になる。
「新しい仲間のシャーロイ家の三姉妹はどうですか?」
「シャーロイ三姉妹には色々とやってもらいたいこともある。貴族の出だから俺にはわからない領土や土地、財産的な管理など経営を任せたいと思ってる。もちろん戦力としても大いに期待してる。それと言ってないとこがまだある。ピルトの町にある建造物を建てたんです。それは俺の元いた世界の道場を真似して作った」
「道場?」
ビジャ姫は初めて聞く名に興味を持って冷に近づく。




