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話し合っても無駄な時間となった。
ゴーレムがいくら説明してもギガースには通じない。
あくまでも冷は敵となって、必然的に残りの選択肢は決まり、冷以外は倒す。
ガーゴイルとゴーレムは救うと。
「これ以上話し合っても無駄なようです、邪魔な者は始末します!」
ギガースとサンマルは完全に戦闘の構えに変わり、押さえていた魔力は開放されて、本来の魔力がおびただしく辺りに広まる。
ミーコは聖剣ヴェルファイアを構えると戦うしかないと決めて、リリスは魔剣グラムを抜きギガースに向けて魔力を込め、アリエルは賢者の杖を構え、いつ攻撃が来ても防御できるようにした。
シャーロイ三姉妹ルテリ達も、防御の姿勢に変えて、戦う姿勢とし、ガーゴイル、ゴーレム、ギャン達もギガースと戦う意志をみせる。
同じ魔人でも、昔の魔人仲間だろうと関係ないとし、戦うのは避けられないと決めた。
しかし問題は出会った現場が町のど真ん中、人々は行きかい、子どもたちが歩く姿もあり、簡単にスキルを使えば被害が出てしまい、最悪犠牲者が出かねないので、アリエルは町の人々に声をかける。
「みんな!!! 逃げてください! ここは危険です、ギガースがいます!!!!」
「ギガース!!!」
「大変だ!!!」
人々はアリエルの注意に気づいて遠くに離れていき、アリエルもホッとして、周りから人がいなくなるとギガースに動きがあった。
ギガースから攻撃を仕掛ける。
中級魔人、巨人魔族を治めるリーダーの魔力が膨れあがる。
長身だけにより大きく見える。
長身から繰り出された豪腕のパンチが前列にいたアリエル、ミーコ、リリスに炸裂した。
3人とも防御はしていたが、軽く吹き飛ばされ、ギガースの力を早くも知った。
「……これがギガースか……なんてパワーだ」
「防御してても破格の力です!」
ミーコとアリエルは吹き飛ぶと家屋の壁にぶち当たり、ダメージは受けた。
その後にサンマルも続けて攻撃を出すと、シールドとギャン、ルテリもダメージを負った。
激しい音が町に響くと、悲鳴に変わり町は騒然となった。
王都にミノタウロスとの話から、今度はギガースが現れたら、逃げるよりもどうしていいか途方に暮れるのだった。
「くぅ………サンマルも強さはある、気をつけろ」
「巨人魔族の恐ろしさを今から味わせてやろう」
ギガースとサンマルは立て続けに攻撃を放つとガーゴイルも加わり防御、攻撃にまわる。
ゴーレムも参加してカウンター攻撃に出る。
「グランドシェイカー!」
ゴーレムのスキルが炸裂した。
地面は大揺れに揺れ、ギガース達は足場を悪くし、攻撃のタイミングを遅らせられた。
「ちぇっ、ゴーレムか……」
さらにガーゴイルが上空からサンマルに、
「ウインドキル!」
「うっ……」
ガーゴイルの攻撃がサンマルにヒット。
かろうじてギガース側にダメージを与えることで、アリエル達の戦える準備を整える。
中級魔人対中級魔人のバトル。
通常ならあり得ない対戦カードである。
ギルドにいる冒険者でもこのカードは見る機会はなかった。
それだけに町並は凄まじい勢いで破壊されていく。
◇
直ぐに冒険者ギルドにも報告が入る。
ユズハにもたらされた情報は魔人対魔人の戦いが始まったとの報告。
自分の顔面が青ざめていくのがユズハにもわかった。
しかし立っているわけにはいかない。
人々を避難させる義務がある。
外に出て避難を誘導した。
◇
攻防はお互いに譲らず一進一退のまま時間が経過した。
アリエル側のメンバーは数で圧倒的に有利であるが、ギガースのスキルに手を焼く。
「トルネードスネーク!!!」
「またか……この竜巻みたいなのがやっかいだな……」
竜巻が乱立するほどに連続で放つ。
巨大な竜巻が町の一部を飲み込み、地面から引きはがす。
町は突撃起きた竜巻にボロボロにされてしまう。
「あははははは、トルネードスネークの破壊力をみたか!」
「この風の勢いでは飛行は無理……」
ガーゴイルの飛行も竜巻には勝てない。
地上に降りたつしかなくなる。
「ガーゴイル……、どうやっても我ら魔族と戦う気だな。反逆者と決めて戦うぞ!」
「初めから言ってるだろ、私は奴隷じゃないって!」
「嘘つけ、奴隷だよ、人族に従う魔族さ!」
強みを削られた形になり、あらためてギガースの凄さを知るガーゴイル。
やる前からギガースの強さはわかっていたが、やってみてわかる。
中級魔人との戦いなどするものではないと思ったが、今は敵の立場、戦いを避けるわけにはいかない。
ここで避けたら、メンバーからの信頼を失うことになるから。
絶対に退けないと決めた。
サンマルがある思いを告げる。
「ギガース様、そろそろ来る頃でしょう、アレが」
「やっと来るか、早く来い。来ればアリエル達だけでなく、町ごと破壊してくれよう!」
◇
ギガースが待つのはチルフの応援部隊。
チルフに森に行かせてあった。
そこには最初から待機しているリョウシンと巨人魔族の一団。
チルフは期待されて通り、すでに町の手前まで到着。
巨人魔族を大量に引き連れ現れた。
冒険者ギルドは冒険者に頼み、町の外に人々を誘導していた。
そこで発見した巨人魔族の大軍。
「…………」
「なんだこれは……巨人か……」
言葉をなくした。
絶句しその場に立ったまま動けなくなる冒険者もいた。




