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 道場での訓練はとても成果があった。

 厳しい指導を冷が自ら行った。

 短い時間でもかなりの体力を消費した。

 激しい体力、魔力の消費に伴い空腹もあり、宿屋に帰るとした。

 買える途中に町の人に声をかけられると。


「あの〜冷さんですよね……」


「はい、冷です」


 険しい顔で話しかけられて冷は何事かと考えじた。


(町の人の様子が変な気がするな)


「噂で聞いたのですが、王都にミノタウロスが現れたようです。そして王都は壊滅的なダメージを負ったとも」


「なんですって! 本当ですか」


「町の人々はみんな言ってます。しかし冒険者ギルドはまだ本当かわからないとも……」


「それならギルドに確認しに行きますよ俺は、ありがとう」


 宿屋から冒険者ギルドに足を向け直す。

 リリスから慌てて、


「腹が減っているが、それどころではないな、早くギルドに確認しに行けよ!」


「わかってる、急ぐ!」


 ギルドに到着して店内は慌てた様子であった。

 ミノタウロスと名を聞いたら、冒険者など落ち着いていられない。


「ユズハさん、ミノタウロスの件をたった今、聞きました」


「ミノタウロスが王都に出現したとのことです。しかし確認してはいません。ミノタウロスなら一大事です、上級魔人とされてますから、騎士団も結集する必要がある」


「俺が行きましょう王都に!」


「本当ですか! 冒険者ギルドに登録されて冒険者は上級魔人との戦いは想定外です。クエストレベルではなくなります。誰も戦えませんし、どんなにお金を積んでも戦うのは避けます。冷さんが行けば戦力アップはもの凄い、相手は上級魔人となり、危険度レベルは最高になる。それでも行けるならお願いします!!」


 冒険者ギルドにおいても上級魔人との戦いは避けたい。

 冒険者は全員が身震いしていた。

 そこへ冒険者が話しかけてきて、


「冷さん、辞めとけよ、相手は上級魔人だぞ。死ににいくようなもの。ミノタウロスは避けろ」


「ご忠告ありがとう、でも俺は王都に行きます、誰も行かないからこそ俺の出番でしょ!」


「……気をつけてな」


 冒険者は念のため冷に忠告した。

 結果は冷は戦うと言ったのを受けて、店内はどよめいた。

 いくら冷でも無理だろう。

 冷の強運もここまでか。

 残念にまだ若いのに。

 冷の死を残念がる声があちこちから出る。

 ゴーレムも冷を止めに入り、


「あの冒険者の言ったのは嘘ではないぞ冷。死を覚悟して行くしかないぞ」


「わかってるよゴーレム。キミが心配してくれて嬉しいさ。王都には俺ひとりで行く。みんなは宿屋に帰っていいよ」


「わかったよ、帰りを待つ」


 ゴーレムは冷を止めても無駄だなとわかっていて忠告したのだった。

 冷らしいと感じた。

 ルテリがゴーレムに上級魔人について訊く。


「ゴーレム、ミノタウロスに会ったことはあるのかい。あるのなら冷に情報を教えてあげたらいい」


「ミノタウロスの姿は知っている。牛頭魔族の魔人だ。頭に角がある、だが所有スキルや能力のデータはない。ほとんど姿を表さないからだ。魔人が姿を合わせるのは少ない。増して上級魔人となると謎が多い。わかっているのは、破格の強さだということだ。悪いが、その程度しか教えられない」


「ゴーレムでさえ知らないか。冷が自分で生きたいのなら行け。私は止めない。それでいいのだろ?」


「ああいいよルテリ」


 ルテリは冷ひとりで行けと言ったが、不安はあった。


「ミノタウロスが動くならもう一方のギガースも気になる、王都に出現する確率もあるでございます」


「ギガースが一緒なら面倒が省ける。ミノタウロスた一緒に倒してきます!」


「冷氏……事の重大さがわかっているのかな……」


 ミーコはまたかと呆れてしまう。


 メンバーは冷が生きて帰ってくるのか心配したのが冷本人にも伝わり、あえて笑顔でこたえた。


(ミノタウロスか……けっこうヤバイらしいな)


 ギルドを出てガーゴイルの翼に変形し、王都に飛ぶ準備は整う。

 

「それじゃ、王都に行ってくる。」


「飛行なら速いですね!」


 メンバーに見送りされた冷は上空に飛び立つと、王都の方角に向けて一直線に飛び立った。

 冷が心配したギガースがやはりミノタウロスを呼んだのは間違いなかった。

 魔商人ヤリッチの言っていた通りである。

 王都には騎士団がいて、ギガースとミノタウロスの交戦に備えてナニが指揮していると決まっていた。

 冷は騎士団がいればミノタウロスと戦えるのだろうと考えた。


(騎士団なら数は圧倒的に多いから俺が行くまで大丈夫だろう)


 冷が飛び立つのを遠目に確認したのは変装していたギガース達。

 驚速で飛び立ち、その速度には驚いていた。

 実際に冷の飛行速度はステータスアップに乗じてアップしていた。

 最初の速さなど比べものにならない速さまで。


「ギガース様、冷は飛び立ちましたが、凄まじい速さでした」


「何だあの速さは……。まるで光の速さかよ。我らの作戦は成功したと言える。冷はもう居ないから怖さは大幅減。注意するのはガーゴイルとゴーレムだ」


「どうしますか、ここでやり合いますか?」


 チルフの質問にギガースは目を輝かせた。

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