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アリエルの成長に歓声と驚きの両方が巻起こる。
少なくてもミーコとリリスはお互いに、邪魔もの扱いされてきた。
弱小魔物にも劣るステータスに冷から呆れられた。
アリエルとギャンが握手をしてお互いに褒めあった。
その光景に強く刺激を受けたのはミーコであった。
アリエルが微笑ましくいるとミーコは、
「私も新しいスキルを覚えた、この場で確認してもらいたい」
「なんだって!」
「ミーコもか……アリエルが絶賛されたから悔しくて言ってるのでは?」
シールドに指摘されてしまうとミーコは否定する。
「いいえ、悔しくてではない。この数日間、わからないかもしれないが密かに訓練していたのです。スキルを完成させるためにね」
「習得したのですか?」
「習得しました、スキル名はソウルブレード。攻撃スキルです。効果は特殊な効果があります」
「どんな効果なの?」
「一度に8回連続攻撃が可能、速度は驚速です。しかも防御属性無効となり、防御系のスキルだろうが、アイテムだろうが関係なくダメージを与えられる」
ミーコのソウルブレードは正にミーコにピッタリのスキルであった。
速度のあるミーコに8回連続攻撃が可能となると素早さを最大限に活かせるからだ。
そのスキルに興味深々の冷は大いに期待する。
(8回連続攻撃とはハンパないな)
そこでアリエルと同様に対戦形式にて試してみることにした。
対戦するのはシールドが選ばれる。
シールドを選んだ理由は、ミーコのスキルを受けるのにうってつけの盾を持っているから。
(シールドの盾にミーコの剣さばきが、どこまで通じるかな)
「シールド、今回はキミに託す。ミーコの攻撃を受け止めて欲しい。むろん、ミーコにすきあれば、反撃して構わない」
「受け止めてみせます」
シールドは一歩前に出てミーコと向きあった。
盾はシールドの体よりも大きな周囲をしていて、通常の攻撃などノーダメージとなる。
シールドは自信がある。
どんな剣をも受け止める自信が。
「シールド、お願いします!」
「はい、どうぞ!」
ミーコの持つ剣、聖剣ヴェルファイアの力を発揮する時だとミーコは感じた。
まだこの聖剣の力を100%引き出せてない。
能力不足だと感じていた。
いまこそ発揮する時。
聖剣ヴェルファイアを構えてスキルを発動する。
「ソウルブレード!」
ミーコは最高速度でシールドに接近した。
接近して聖剣ヴェルファイアを持てる素早さのマックスで、振り抜く。
剣の斬れは連続で8回にも達した。
シールドは接近も速かったが、剣の速さに目を奪われる。
剣の太刀筋が目視できない。
危険を感じて盾を構えて防御に徹する。
すきあれば反撃と考えていたが、それどころてはなかった。
反撃する余裕など全くない。
盾で防御するのが精一杯である。
5回、6回と防御したが、かなりキツイ。
8回目の攻撃。
盾での防御にも限界があった。
大きくのけぞり、後方に弾かれてしまったのである。
「うわわわわわぁ〜〜」
「シールド!!!!」
ゴーレムが叫んだ。
シールドが盾で負けるのは滅多にない。
まさかの展開となった。
ゴーレムからしたら負ける対戦ではなく、シールドが余裕勝ちするとよんでいた。
シールドが盾ごと飛ばされたところで冷は対戦を止めた。
「はい、そこまで! ミーコ良くやったな、そしてシールドも頑張ったな、面白い対戦だったぞ!」
「大丈夫ですかシールド!」
聖剣ヴェルファイアをしまい、シールドを助けに行く。
「ええ、大丈夫ですよ、それにしても凄い速さでした。見たこともない速さ!」
シールドは怪我はなかった。
やはり盾が守っていたからであるが、ミーコには負けを認める。
「あなたの盾と互角に戦えるのなら、とても自信がつきましたよ!」
「盾が無ければ大変なところでした。そのスキルと剣を極めれば、もっと上のランクに到達できると思う」
シールドの高評価に嬉しくなるミーコ。
そこへ冷はもっと嬉しがる。
(俺の道場のおかげだよな)
「ミーコの上達は道場の成果といえるよな、あははははは」
「自分の成果にしてしまう。恐るべきだ……」
「そうよ、やっと気がついたのルテリ。全部自分のおかげとか言い出すわよ」
「貴族は幼い頃から鍛錬されてる。道場など比べ物にならない」
ルテリは道場とは関係ないとしたが、ミーコのソウルブレードを見て恐ろしい悪寒を感じる。
同じ人族とは思えないレベルの剣さばき。
全てを見切るのが無理だった。
もし自分が対戦していたら……。
ルテリは寒けがしてしまう。
しかもソウルブレードとは……。
「ひとつだけ確認したいのだ。ミーコよ、答えるのだ」
「はい、どうぞ」
ルテリが質問する。
確認させたいことがあった。
「ソウルブレードとは……たしか勇者が使っていたスキルだと私の記憶にはある。なぜミーコが使えるのか知りたい。話してくれ」
ルテリの質問にミーコは知ってる限り話すことにした。




