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 数日後、良く晴れた日のこと。

 道場は熱気が充満していて、彼女達の訓練模様を眺める冷。


(今日も頑張ってるな)


 いつにも増して熱い視線で彼女達の姿を眺めていたらアリエルからスキルに関することで話があり、


「スキルなんだけど、新しいスキルを覚えた。訓練の成果か、またはクエストの成果か、とにかく覚えたのをみて欲しい……」


「なんだって! 新しいスキルを覚えたかい、それは早く言って欲しいぞ、それでどんなスキルなんだい?」


 新しいスキルの習得に思わず聞き返してしまった。


(新しいスキルなら大歓迎です!)


「ご覧になりますか、ここで良ければおみせしましょう」


「ぜひ披露してみてくれ、みんなっ、集まるんだ、今からアリエルがスキルを発表する!」


「アリエルの新スキルだとよ」


「女神っぽいスキルかな……」


 冷のかけ声に集まると全員がアリエルに注目した。

 女神という存在。

 極めて貴重な種族。

 期待感は嫌でも高まる。

 アリエルは前に並ぶメンバーに向かい、


「新スキルは女神属性のスキルになる。まぁ私にしか使えない特別な価値のあるスキルだから」


「自慢はいいから早くみせろ」


「うるさいですリリス……、まず名前はビーナスホーリー。女神属性上位スキルになる」


「能力は?」


「主に支援系のスキル。私の場合は支援が多いのが特徴でもある。このビーナスホーリーもメンバーの役に立つとみていいと思う」


「それじゃわからない。もともと持ってたスキルなんでしょ」


「神族の世界にいた時は戦う機会がなかったから、自分のスキルの情報がない。それで自分で数日間試してみた結果は、体力の最大値が30%アップ、防御力20倍アップ、状態異常回復だ」


 アリエルは独自にメンバーとの訓練のなかで試してみていた。

 この数値は普通のスキルと比べたら高度なレベルであり、上位種スキルであった。


「体力最大値が30%アップとは凄い。しかも全員な適応とは……」


「それに防御力20倍アップもケタ外れだ。格下の相手の攻撃程度なら無効に近いな」


「さすがは女神ですアリエル!」


「偉いでしょう女神は! 当たり前です、本来なら最上位に位置するわけです。それをこの男にこの世界にこさせられたわけで、その時にスキルは失ってしまった。初めから、スキルを習得しているのだ」


 メンバーから賞賛されて照れるアリエル。

 メンバーが驚いたのは当然で女神の持つ真の実力が現れたのであり、本来なら最上位に位置する能力者。

 冷に無理矢理に引っ張られてこの世界に来た時にレベル1、スキル無しとなった。

 

「かわいそうに、初めからはキツイな」


 メンバーが冷に冷たい視線を浴びせた。

 反省しろとばかりに。


(俺が悪いのかよ)


 そこでスキルの能力を実証してみて欲しいとなる。


「アリエル、実際に能力を実証してみようか。まずギャンに出てもらうぞ、いいかなギャン?」


「はい、私がアリエルのスキルを試してあげます。このスピアでね!」


 スピアを高く掲げてみせたギャン。

 魔族のなかでもこれだけのスピアを使うのはギャンをおいて他にいないとされてる。 

 アリエルの能力をはかる上で適任とされた。

 ギャンをみてアリエルは逃げるわけではない。

 以前のアリエルなら逃げていたのだが、今の彼女は真っ向から勝負する。

 冷はアリエルに対して精神的な成長をみた。


(あのアリエルが逃げないとは驚きだな)


「ギャンからの攻撃をアリエルが受ける。この組み手でいこうか」


「はい!」


 両者がガッツリと向かい合い、ギャンからスピアを受けることになった。

 冷は不安もあった。

 魔族であるギャンのスピアは強力。

 破壊力は経験済みであり、刺し違えたらアリエルは重症を負う。

 それを覚悟で試した。


(アリエルの上積みがこれではっきりする)


「どうぞ……ビーナスホーリー!!」


 アリエルがスキルを唱えた。

 自分にビーナスホーリーの効果を。

 ギャンのスピアは空気を割くようにして音をたてると、アリエルの体に向かった。

 危ない場面にアリエルは動じない。

 賢者の杖で構えてスピアと合わせる。

 今までならこの一撃で終わっていても不思議ではないのに、アリエルはギャンのスピアを受け止める。

 スピアを手加減していないギャンは驚き、


「……アリエル、防御するとは私のスピアを……」


「私の方がびっくりしてます……」


 手に強い衝撃が伝わってきたが、賢者の杖で受け止めるのに成功していた。

 一瞬は沈黙したが、周りからは拍手が起こる。


「やるなアリエル!」


「素晴らしいでございます!」


 あちこちから絶賛されてアリエルも照れ笑い。

 その受け止める様に冷も頷く。


(まぐれではない、これが防御力20倍アップなのか……)


「今のが防御力20倍アップの能力かい?」


「20倍だとスピアも受け止められるようです。ちょっと手が痛いけどね」


 アリエルのステータスの防御力はまだ低いが上がれば上がるほどに20倍の効果は大きくなる。

 道場での対戦形式の結果はアリエルがしっかりと結果を出して、メンバーに強烈な印象を与える。

 冷だけは心配事が生まれた、それは……。


(俺にビーナスホーリーしたら、防御力20倍になれるのだろ、俺って強くなり過ぎねぇかな)


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