表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
252/351

250

250

 材木屋が引くくらいの早さで完結し、完成度も高かったために、評判はまたも上がるのが確実になった。

 商業ギルドではパトリシアがゴーレムに、


「ゴーレムさん、とても信じられませんが、本当に終えたと聞きましたが?」


「ええ、終えた。これくらいなら私達には簡単だろう」


「か、か、か、簡単ですか……、私のギルドにいた経験からですと、この材木の量的にいってベテランの職人に依頼したとして、数週間はかかる量の仕事量でした。それを1日で終わらせてしまうなんて……。ありえない……」


 パトリシアは驚いて冷や汗をかいていた。

 それも当然であって、量がハンパない量であり、前評判以上の出来栄えであった。

 完成度はとても高く、超一級品にもなっていた。

 ギルド側もあまりのレベルの高さに、次も依頼が来ると確信した。


「今回の件の成功で、かなりの量の依頼が来るかもしれないです。その時はまたよろしく」


「任せなっ!」


「あ、あ、あ危ないから!」


「どんどん持ってきな、このギャンが引き受けてやるっ!」


「だから、スピアを振るな!」


 ギャンはスピアをぶん回して喜ぶが、危なくスピアでギルドを破壊しそうになり、シールドに止められる。


「ギャンさん……元気ありますね……」


 パトリシアはギャンのスピアの大きさに圧倒されたが、これが依頼の早さの理由なのかと思った。


 ゴーレム達が商業ギルドでの依頼をしていた時に冷はその期間は道場にいた。

 残りのメンバーで訓練となっていた。


「さぁ、みんな、訓練としよう。俺が居ない間も訓練していたみたいだった。ゴーレムが依頼があって数日か、または数週間いなくなるとのこと。残りのメンバーは訓練としようか」


 道場に集まり、冷を前にして並ぶメンバー。

 普段はだらけているが、訓練だけはピリリと緊張感が走る。

 冷が身守るなか訓練は開始された。

 独りで訓練する者。

 二人で対戦形式をとり訓練する者。

 冷が指示しなくても各々が考えて行動していて、冷は見ているだけで良かった。


(だいぶ道場らしくなってきた)


 自発的に訓練できる。

 冷の持つ道場のイメージであった。

 イメージと同じとまでいかなくても、近いところまできていて嬉しい。


(リリスも頑張っているようだな)


 リリスはいつもサボりクセがあるが、頑張っていたのが目につく。

 ゴーレムとガーゴイルの後から加わったメンバーの活躍が刺激したとも思えた。


(ガーゴイルも頑張っているから刺激されたのかもな)


 道場は熱気でむんむんと湿度が増していた。

 汗をかいている女の子を見ている冷は道場の指導者としての貫録さえ生まれてきていた。

 それをミーコから指摘されて、


「冷氏を見ていると、教師というか、指導者というか、深い貫録が現れてきてるように見えます」


「そうか! 俺が指導者の貫録か……嬉しい意見だな!」


 素直に喜ぶ冷。

 指導者の立場に気をよくするも、甘やかすことはしないでいきたい。

 甘えは彼女達の訓練の妨げに繋がる。

 心を鬼にしてでも厳しい態度がいる。

 

(厳しい時も彼女達には必要になるな)


 道場での訓練は日を重ねるごとに熱くなる。

 毎日欠かさずに道場は使われた。

 町の人々からはこの見たこともない形式の建物は何なんだ。

 いつ出来たのか。

 誰が作ったのか、と話題になった。

 やがて冷が使っている。

 魔人も出入りしている。

 中で声が聞こえてくるなど、不思議に思われていた。

 


 宿屋でのとある1日、ゴーレム達の依頼があった日、アリエルから、


「ゴーレム、依頼の方はどうなの、聞いた話では何週間もかかる程の大仕事だとか。そうなると大変なんじゃない?」


「依頼なら終わった。商業ギルドに終わったのを報告をしてある」


 依頼をあっさりと終えていたとは誰もが思わなかったのでゴーレムの一言を信じられない。


「ええっと……なんて言ったのかな今、私にはもう終わったと聞こえたけど」


 するとボーガがアリエルに、


「ゴーレム様と私達で1日で終わったのよ。多いといえば多い量でしたが、フル回転して完成させちゃったわ」


「このスピアがあればっ、森の木を全部ぶった切ってやるわ、あはははは!!!」


「いやいや全部切ったら、ダメでしょう」


「凄いなギャン、よく頑張ったようだな」


「当たり前よ、魔族の力を低く見過ぎ、パトリシアとか言ったな派手な女、あれは驚いていたぞ」


「別に派手じゃない。怒られますが……」


「その派手な女からだと、また依頼が入るとか。今回のが評判されればな。まぁこのギャンの名が知れたのは間違いなしだ!」


 ギャンは得意そうに自慢した。

 実際にギャンの働きは素晴らしかったのは本当である。

 ゴーレムもそこは否定しなかった。

 逆にギャンの代わりはいないとわかった程。

 冷はギャンの表情が活き活きとしていることに感激した。

 魔族のギャンにも喜びを感じる感情があったとわかったから。


(ギャンにも喜びの感情があるのだな)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ