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カナリヤは攻撃性にかけても定評があった。
冒険者がどれだけ苦しんだか数え切れない数であった。
「カナリヤの卵について尋ねたいです……」
「どうぞミーコ、何でしょう」
ガーゴイルはミーコに質問された。
「その卵は私でも食べれます? 食べれるのなら、みんなも食べれるとなる、問題なければ卵を町で売ることも出来るわけで」
「食べたことはない、カナリヤを卵を産んでくれと考えたこともない。ミーコが食べてみればわかる」
「ええっと……私がですか……」
万が一のことを考えてミーコは悩む。
もし食べてみて腹痛、食中毒、最悪には毒があることで死となるのを避けたかったため、返事をにごした。
「こ、こ、困る、死んだらどうする!」
「死にはしない、不味いか美味いかでしょう」
「ガーゴイルが食べてよ!」
「嫌よ」
「どけ! 私が食ってやる、お前らじゃ面倒くせぇ」
リリスはミーコがノロノロとしているのでイラッとした。
ミーコを退けて自分が食べるとして、ミーコは逆にどうぞと譲った。
カナリヤの卵はニワトリと卵のような形であるが、大きさはかなり大きかった。
リリスは抵抗がないようである。
そこで冷に調理させる。
「お前、火の属性のスキル使えるだろ、卵を熱してみろよ」
「ふ〜ん、熱してか、熱しておけば食べても美味いかもな」
冷は火属性のスキルを使うことで熱してみる。
(つまりは目玉焼きみたいな感じか)
「烈火拳!」
「大丈夫か、割るなよ!」
烈火拳は熱を帯びている拳である。
しかし勢いあまって割っては意味がないので、卵に当てない程度に寸止めしてみた。
少しの間、熱してみると卵は熱くなり湯気が出る。
湯気をみてギャンが近寄り、
「割ってみたら食べ頃だろう、割ってやる!」
「頼むギャン、しかしどうやって……」
持ち出したのは得意の特大スピア。
スピアを振りかぶってみせる。
「スピアなら割れる!」
「頼む」
ギャンは卵めがけてスピアを叩いた。
卵にピタリと的中し、卵にヒビがはいる。
ヒビは大きくなると卵は2つに割れた。
「見事な腕前だギャン!」
中から卵が出てきて冷は感動した。
(目玉焼きよりもゆで卵だな)
「卵を割ったのは初めてだ!」
「よし、リリス、食べてもいいぞ」
リリスは卵が割れて中から焼けた卵を見た。
卵は目玉焼きよりも、ゆで卵に近かった。
まだ熱いのでリリスはゆっくりと食べてみる。
「うん!! 美味いぞ、問題なく食べれるだろうこれ!」
「そう! カナリヤの卵が食べれるのは知りませんでしたから驚きです」
ガーゴイルは不安であったが、リリスのいい反応に喜ぶ。
「それなら私もひと口頂く」
「私も……」
リリスの後に続きひと口ずつ食べてみると、口々に美味いの言葉が出た。
最も警戒感が強かったのはアリエルである。
「……女神が魔物の卵を食べるなんて汚らわしい行為ですこと!」
「食ってみろよ女神!」
「黙れリリス、女神は神聖な存在ですことよ」
「食ってみろ!」
「うががががか!」
リリスがアリエルの口に無理矢理に卵の欠片を突っ込んだ。
アリエルは不意なことで避けられない。
あんぐりと口に入ってしまい飲み込んでしまった。
「馬鹿もの!」
「どうだよ、美味いだろ女神さんよ」
アリエルはリリスに怒鳴ったが、口の中では芳醇な味わいとなっていて、一瞬であるが固まってしまう。
「…………こ、これは、何というか、意表をつかれた。神の口をうならせる食だこと!」
「アリエル、ヨダレ垂れてるぞ」
「ヨダレっ……、ヨダレではない、女神がヨダレなど出すものか……」
「いやいや、ヨダレ出てますが」
アリエルは卵を食べてヨダレが出てるのに気づかないでいた。
女神がこんなに魔物の卵に食らいつくとは誰もが予想もしなかった。
冷は卵を食べてみたがとても良い味だと感じた。
(卵として美味いよね)
カナリヤの卵が美味しく食べれることがわかった時に、ヤリッチが魔商人のヒラメキを発揮して、
「卵を町で売ったらどうだろうか、この味わいなら十分に買う人もいるだろうから。もちろん魔物の卵だと最初は抵抗がある。けども食べてもらえば、きっと買うのではないかな。そうなればカナリヤの卵で卵を生産販売のレールがうまれる。どうかな?」
ヤリッチの考えに冷は頷く。
(なるほど……卵を販売していくか、面白いかもな)




