表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
248/351

246

246


 買い物した荷物は全員を総動員してもやっと持てる分の量。

 誰もが不満を言いたい気分になるのは冷も認める。

 

「魔物は50匹はいたんだよな、これで足りるだろう」


「…………どうかな」


「足りない?」


「与えてみればわかる、恐らくは腹が減ってるだけに、足りないこともある」


 ガーゴイルは与えてみないとわからないとした。

 いくら忠誠した魔物といえ、どれくらいの量の食料を食べるかなど考えたことがない。

 せいぜい、肉を食べるだろうぐらいしかわからないのだった。

 森の奥に進み隠れて配置してあるガーゴイルの魔物50匹の姿がお目見えした。


「じゃあガーゴイル、頼むよ。食料は渡すから」


「はい」


 ガーゴイルが前に進み魔物に手をのべる。


「今日はみんなにご飯を用意しました、さぁ食べて」


 ガーゴイルは魔物との間には魔物の言語で会話して、なおかつ冷にもわかるように人族の言語でも言った。

 すると魔物がゆっくりとであるが歩いてきて、食料を食べる。

 肉の臭いが直ぐにわかり、肉は真っ先になくなる。

 野菜類は調理はしてないが、そのままかじりついて、飲み込んでいった。

 誰も見ていないとして、魔物が50匹も集まり肉や野菜類を食べる光景は中々見れないだろう。

 もし町の誰かが見てしまったのなら、騒ぎになるのは確実。

 ガーゴイルは国王から危険視されてしまう。

 発見されない奥に隠したのは正解であった。

 凄い早さにルビカは、


「凄い早い、よっぽどお腹が空いていたんだ、丸飲みしてる魔物もいるもん〜」


「動くなと私が言っていたのを忠実に守った証拠、褒めてあげたいわ」


「腹が満たせて良かったな、俺は魔物が暴れるのが心配だったから。これだけ食べてくれれば購入してきた甲斐もある。どんどんと食べてくれ!」


 冷は勢い良く食べる魔物に嬉しさを感じた。

 重要な戦力となるだろう魔物は生き物だとわかった。

 ある程度は維持費が掛かると。 つまりは数が増えれば増える程に食料費いう維持費も増えるわけだ。

 森に連れてくるまでは良かったが、維持費が掛かるとまでは考えが及ばなかった。

 

(けっこう維持費が掛かるなこれ)


 みるみるうちに食料はなくなっていった。

 シールドがその早さに、


「このペースだと足りないペースですよね?」


「…………足りないよなこれ…………どうするか」


 全員で買い込んだ食料はもうなくなっていた。

 さすが50匹もの魔物。

 なくなるのも早かった。 

 森には先に生息している魔物がいるが、あまり近くに寄ることはなかった。

 数も多いし、殺気だった雰囲気に魔物に食べられるかもと感じて。

 そもそも町の付近の魔物はレベルか引くく、ガーゴイルの魔物と比べようもなく弱かった。

 完全に食料がなくなる。

 もう一つもない。


(まいったな、かなりの大食いだぞ)


「50匹にこの程度は足りないようです、次からは往復するかしないとね」


「ガーゴイル、魔物に直接訊いててよ、どの程度いっぱいになったのかを」


 リリスがまた運ぶのが嫌なのか、ガーゴイルに訊かせると魔物との間で交信した。


「リリス、どうやらあなたの察しのとおり、空腹のようです……。で多少の肉が胃に入ったから、動けるとのことです」


「どんだけ食うんだよ、少しは自分でエサを取らせてくれっ!」


「どうですかね、冷にも訊いてみないと判断はできないわ」


「ええっと……魔物達は自分でエサを取るようにか……」


「あんまり暴れると人々から警戒されて怖がらる。そうなると魔物を置くのはダメダメとなる」


「毎日は無理でも何日かに一回は届けに来るようね」


 そうなるとゴーレムも黙っていなかった。

 なぜならガーゴイルだけでなく、ゴーレムの魔物も同じ数がいるから。


「私の魔物も忘れられては困る、向こうには50匹いるのだから」


「そうだったわね、ゴーレムにもいたのよね」


「ゴーレム様の魔物だって空腹になる。次はゴーレム様の分のエサをお願いする!」


 ボーガが冷に忘れないように言いきたせた。

 この風景に絶句したのがルクエであった。


「な、な、な、なんなのですかこの魔物は……。魔物を飼いならしてるのでございますか?」


「飼っているとは違うけど、まぁ近いものがあるわよね」


「魔人と戦うには力強いもん〜」


「ルビカは怖くないの?」


「怖くない、魔物を飼育していくの楽しそうだもん〜」


「楽しむな!」


 三姉妹の中でルビカは魔物には偏見はなかった。

 魔物にあげる食料は尽きたところで帰ろうとした時にルテリが異変を感じて、


「あの、ガーゴイル、あなたの魔物が卵らしき物を大事そうにしてる、あれは何かしら」


 ルテリの指摘にされるまでガーゴイルは気づいていなかったが、よく観察してみると、


「本当だ、卵だわ、卵を産んでいるみたい、カナリヤは卵を産む習性がある。しかも頻繁に早いペースで」


「卵! 大きい卵だわ!」


 アリエルもびっくりしていた。


「卵か……どれくらいカナリヤが産んでるかな……」


 冷はカナリヤの卵に興味を感じた。

 食べられるかはわからないが、ガーゴイルが許可すれば食べられるかもしれないと思った。


(ニワトリみたいで面白いかもな)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ