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 ヤリッチの話にはある種の説得力があった。

 ガーゴイルはヤリッチの指摘に頷く。

 正に言われた通りだったからで、自分には役に立てる物がないとわかり、残念がる。


「残念です、私には冷の期待にこたえられない、役に立てる能力がないよう」


「別に気にすることはない、この男の言いなりになる必要はないんだよ、ガーゴイルは戦力としては1級品、戦いの時に活躍すればいいのさ、この男の為に何かしたいとか考えるな、ガーゴイルが思ってる以上に頭悪いから」


 リリスがガーゴイルをなぐさめる形で言い切ったが、ガーゴイルはリリスが思ってるほど冷を悪者に思っていないので、余計に困ってしまう。


「……そ、そこまで冷は悪くないです、私がダメなのよ」


「気にしなくていい、リリスが言った通りにしてれば。ただ冷氏が頭悪いのは言い過ぎだけど」


「ありがとうミーコ」


 冷はミーコに頭を下げる。

 そこで重要なのはガーゴイルが戦力として活躍してくれるかであった。

 冷はまずガーゴイルの魔物に期待する。

 魔物は飛行も出来るし、数の多い相手には効果は抜群だろう。


(ガーゴイルには戦力を期待してるからね)


「ガーゴイル、まず俺が知りたいのはキミの魔物達だ、現在はどんな感じかな?」


「私の魔物達は近くの森に待機してます、全員が静かにしてて、今のところは町の人族の人を襲ったりしてません」


「戦える状態はどう?」


「もちろんいつでも戦える、しかし彼らにも食料はいる。ずっと与えてないからお腹が空いてる可能性もある、そうなると忠誠心が薄れて暴れたり人族を食べたりするやも」


 言われるように魔物にも食料は必要があった。

 今まで冷は気が付かなったが、考えてみれば納得してて、魔物だって生きてる以上、食料がいるとわかる。


(魔物だって生きてるからな)


 魔物の食料を知らないミーコが、


「魔物は何を主食にしてるの、まさか人々が主食とかなしよ……」


「いえいえ、普段は森に生息する生き物、例えば鳥やネズミ、イノシシなども食べたりしてる。しかし私が現在も絶対にそこを動くな、勝手に移動するなと命令してある、だから何も食べず、飲まずで生きてる。まぁ魔物は生命力が人族よりも強いからちょっと食べないでも死ぬことはない」


「なるほど、生き物ですか……」


 ミーコが納得しているとアリエルが、


「持っていってあげましょうよ森まで。いざという時にお腹が空いて戦えないとなったら意味ない」


「町で買い物したら、私達も運びますから」


 食料がいるとなるとシールドが手伝うと言った。


「ありがとうシールド、そしたら町で食料を大量に買い込もう、肉や野菜も多く買っていこう!」


 冷が言うと買い物が決まった。

 いつもなら簡単な量の買い物だが今日は違う。

 魔物の食料であるから、量が圧倒的に違う。


(どれくらい買ったらいいのかな、わからないよな)


 とりあえず食料が売ってる店を周り、片っ端からから肉や野菜を買い込んだ。

 さすがに店の店主が驚いて、


「ずいぶんと買い込むね、お兄さんよ!」


「うん、俺たちが食うのじゃないんだ、ガーゴイルの魔物に餌を与えるんでね」


 周りにいた女の子をガーゴイルとは知らない店主は仰天して、


「ガーゴ……ガーゴイル!! この子はガーゴイルでしたか、驚いたな」


「ごめんなさい店主さん、驚かしたくて買ったのじやないのよ、私の魔物に餌をね」


「はぁ……魔物ですか……」


 店主はあらためて魔物が近くにいると知り驚いたが、ガーゴイルに文句は言えないでいた。


「全部頂くけどいいかしら店主さん?」


「どうぞ、どうぞ、ガーゴイルさん、あははは……好きなだけどうぞ」


「ありがとうね!」


 ガーゴイルが店主にウインクした。

 店主は可愛いが同時に恐怖もあり、固まってしまった。

 買い物はそれから何店舗かまわり買い込むのだが、同じように店主を脅かしていた。


(店主、驚かしてごめんなさい)


 実際に集まった食料はかなりの量となる。

 持てるギリギリの量を買い込んだ。


(これだけ買えば問題ないよな)


「冷、もう十分よね」


「ああ、これ以上は持てないしな、とにかく森に運んでガーゴイルの魔物にエサを与えようか」


「そうしましょう」


「運ぶの面倒だ!」


「リリスもだぞ!」


 リリスはいっぱいあって運ぶのが面倒だと言うとミーコに突っこまれた。

 リリスのヤル気のなさにヤリッチも笑っていて、このメンバーに来て初めて笑った。

 冷はヤリッチの笑顔に微笑んだ。


(ヤリッチも何とかこのメンバーに溶け込んでくれそうだな)


 リリスは笑い事ではなくプンプンと怒りながら荷物を持って歩いて行った。

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