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 商業ギルド入店に冷だけでなくゴーレムも警戒感を強めるとパトリシア店員が声をかける。


「こんにちは冷さん、お待ちしていました、ユズハには伝えてあったので、来てくれるとは思ってましたが、早かったですね」


「先ほど冒険者ギルドに行ってて、ユズハさんからゴーレムが評価されてるとかの話を聞きました、いったい何のことか……」


「評価の話ですけど、あれ、わかりませんか……この町の材木屋からゴーレムさん達と仕事をしたと、その際にあり得ないくらいの速さで材木を運び、さらに使える大きさに加工もしたと、とても驚いてました。それを材木屋から聞きまして、ぜひとも今後も継続して仕事をして欲しい依頼がきてます、さらに噂を聞いて他の材木屋からも仕事の依頼が殺到しました。そこでゴーレムさん達に忙しくなければ仕事を受けてもらいたくて」


 以前した材木屋との仕事の件であったが、冷、ゴーレムもすっかり忘れていて、パトリシアの話で思い出した。


(ああ、材木屋の件か)


「材木屋さんの件でしたか、色々あって魔人と戦ったりしてて、すっかり忘れていました。新しい仕事があるならぜひともうちのゴーレム達に引受させてください、いいよねゴーレム?」


「新しい仕事か……やってみよう、スキルを使うのは決して嫌いではない、それに町の人と交わるキッカケになれそうだし。中級魔人として長らく怖い思いをさせてきたのは認める、だから少しでも仕事があるなら引受させてくれ、ギャンやシールド、ボーガもきっと同じ想いのはずだ」


「ゴーレム様の考えに賛同します!」


「同じく仕事は楽しみかも」


「仕事しますっ!」


 ギャン達は快く引受けてくれて冷も嬉しい。


(うん、頑張ってくれよな)


「魔人だからと……私も町の人も怖かったのですが、仕事の話なら魔人も人族も変わらないとわかりました。よろしくです」


 パトリシアはゴーレムに頭を下げるとゴーレムも頷く。

 魔族と人族は仕事を通じて仲を良くすることが出来るとわかった。

 冷ははっきりと確証を得ていなかったのだが、今回の材木屋の話で人族にも魔族を理解する心があるとわかった。


(町の人も魔族に心を開いてくれる人もいるんだな)


「ゴーレムや仲間もヤル気はあるみたいです、その際はよろしくです」


「それでは仕事のあるタイミングで」


 パトリシアとは仕事が入るタイミングで依頼を受けるとして、商業ギルドを後にした。

 ギルド内にいた者は、冷だとわかるとざわめき出していてゴーレムがいるとなると、どっとざわめきが大きくなっていた。

 すでにゴーレムの腕前の噂を聞きつけた者もいて噂していたからであった。

 

「あれだけ大きな道場を1日で作ってしまったゴーレム達に、町の人も驚いたのかもね」


「アリエルの住んでいた神族の家はどんな大きさだったの」


「私の神殿は王都の城など比較にならない大きさの神殿だった」


「アリエルにはいずれ大きな部屋を与えたいよ、宿屋も限界がきてるだろう、新しい家も必要があるよな」


「ゴーレムに作ってもらうという意味ですか」


 ガーゴイルが話しの流れから推察した。


「そうなったら頼むよゴーレム」


「家なら問題ない、魔族風に魔物な好きそうな雰囲気たっぷりに作ってあげよう、コウモリなんかも住んで楽しいだろう」


 ゴーレムがイメージしたのは正に魔族が居そうな邪悪な城であったが、アリエルは大嫌いであって、


「お願いだから邪悪な風なのはやめてほしい、最悪です、鳥肌が立つし、居るだけで気分が悪くなる!!」


「そうかい、アリエルは苦手か」


「魔族だけでしょう好きなのは!」


「俺は問題ないけど」


「冷なんて知らない! 勝手に住めば!!」


 アリエルはダンジョンとかのドロドロした雰囲気が嫌いだった。

 神族のアリエルがそもそも魔族と一緒に暮らしてことがすでに奇跡だった。

 長い歴史でも神と魔族が共同生活するのを人々は想像もしなかった。

 現在は共同生活しており新しい時代といえる。

 これも冷の影響である。


(神と魔族も共同生活させる俺は凄いよな)

  


 その後は町を歩いていたら向こうから冷に手を振っている者がいて、


「お〜い冷さん〜!」


「あ、あれはメドメールですよ、冷!」


「なにっ! メドメールだって!」


 メドメールだと気づくと出会ってこれまでの経緯を全て話す。

 

「エルフの国には行った、そしてタリヌ女王にあってギガースは追い出したよ、ちなみに魔商人ヤリッチは俺のメンバーになった」


「ええ!!! 凄い、信じられない話です、本当にギガースを追い出すとは。やはりあの時に冷さんに話しかけて私の苦悩を打ち明けたのが良かった、本当にありがとうございます!」


「もう露天商での販売はしてないようだな」


「はい、それが少し前から回復薬が送られて来なくなっていて、売るにも売れない状態でした。売らないと後で怒られるとなったいたから不安でした」


 偽回復薬はすでに工場を破壊してあるのでメドメールのもとに送られて来ることはなかった。

 しかしメドメールからしたら状況はわからないので不安が高まっていた。

 偶然に会ったメドメールであるが、またも偶然に会って結果はメドメールを喜ばせる。


(メドメール……良かったな、もう嫌々販売しなくていいからね)

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