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その日は部屋で過ごすとして、ギガースがいつ来るかを考えてしまい、落ち着かない空気になった。
そこで食事を取りに外食をした。
大人数での外食は店主もぎようてんしていて、さらに周りの客は魔人が2人もいるわけだから、酒も肉ものどを通らずにむせる客もいた。
(他の客が俺を見てる、緊張するな)
「ねぇガーゴイルって、地下ファンがいるらしいって聞いた、男性がガーゴイルを好きになっているらしいよ」
「まさか私は冷の彼女、他の人族など興味なし、それに言われるほど可愛いとは思わない」
「いいや、噂ではガーゴイルの姿を見たくて宿屋に宿泊する客もいたりするとか」
実際に客の中にはガーゴイルという魔人にひかれて、宿泊する者もいた。
「でも女神の私が1番ファンが多いです、なんてったって女神だから、うふふふふ」
「そんなの聞いたことない、誰から聞いたのアリエル?」
「えっと……町の噂よ、みんな話してたわ」
そんな噂はなかった。
単に女神が魔人に負けたくないだけであった。
「へぇ〜ガーゴイルにもファンが出来たのか、俺もうかうかしてられないな、ガーゴイルを監視してないとな」
「何てことを言うのっ! 私は浮気はしませんから」
ガーゴイルはちょっと怒った顔になるも、
「悪かったよ、冗談だよ」
冷は謝ったが、ガーゴイルの顔に可愛いらしさを感じた。
(魔人がちょっと怒るのも悪くないな)
アリエル、ミーコ、リリスには以前からファンがいてファンクラブが立ち上がっていた。
そこにガーゴイルとゴーレム、ギャン達にも注目が集まるようになる。
男性達の中には最初は怖かった魔人、慣れてきてよく見ると可愛いとわかると、密かに近寄る男性もいた。
新しいメンバーを加えると、アリエル、ミーコ、リリス、ネイル、ガーゴイル、ゴーレム、ギャン、シールド、ボーガ、ヤリッチ、ルテリ、ルクエ、ルビカ、となり総勢13人にもなる。
席には男性は冷ひとり、周りを女性に囲まれて食事をする。
はた目には王様か大貴族にしかみえない光景であろう。
(王様みたいだよな)
食事を終えて再び宿屋に戻ると、それぞれが自分の部屋に入った。
満腹になったので休みたくなっていて、ギガースのことなど忘れ平和が訪れる。
メンバーが全員集まって冷はお風呂に入るのを夢見ていた。
エルフの国から帰ってきて、このまま寝るのはもったいないと感じる。
(お風呂に入ったら楽しそうだな)
そこで全員をひとつの部屋に集めることにした。
リリスからは不満の声が上がり、
「集めるからには重要な理由があるのだよな、もう寝ていたのだからよ!」
「あるよとても重要なことが」
「はっきり言ってみろ」
「お風呂に入りたいんだ」
重大な発表をするかのように言った。
冷にとってはものすごく重大であるが彼女らにとっては、
「…………ひとりで入ればいいでしょうお風呂くらい、なぜ私達を起こして呼び出したの?」
「そうよ! 非常識です!」
「貴族は寝る時間が決まってますでございます!」
「眠いもん〜」
何人もの不満が冷に向かっていったのを聞き普通なら反省するだろうが冷は違った。
「みんなが文句を言いたいのはわかった、しかしひとりでお風呂に入るよりもキミたちと入りたいのだ、だからこうして無理に呼んだ、もう用意は出来てるから、入ってしまおう!」
「……ちょっと待て……この者たちはいつも風呂に入るのは一緒になのか」
ルテリが疑問を感じて質問したのは、貴族ならひとりで入る、または雇いのメイドなどが体を洗ったりする。
男性と一緒に入る習慣はなかった。
「シャーロイ家ではひとりだったのかい?」
「当たり前でございます、体を洗わせるためのメイドならいたもん〜」
「なるほど、シャーロイ家のお風呂事情は異質てことか」
「違う、異質なのは冷氏でしょう」
「よし、今日はシャーロイ家のしきたりを変えるお風呂にしよう、ルテリ、ルクエ、ルビカも入浴てもらう、ヤリッチもだいいね」
「はしたない! 貴族に混浴風呂をさせると……」
「そうだよ」
結局は冷とのお風呂に付き合わされた形のルテリ達は裸になり、入浴した。
「じやあルテリは人生初めての混浴風呂なのね」
「そうなる、シャーロイ家に混浴風呂はない」
「これはけっこう楽しいだろ」
「冷だけ楽しいのでございます」
「あははは、まいったな、確かに俺だけ楽しいのかもな」
13人もの女性の体を眺めると爽快であり、格別な風景であった。
ルクエはまだ慣れていないせいか、恥ずかしがる。
魔商人ヤリッチは意味がわからないまま入浴させられた。
「普通こんなハーレム混浴風呂ならお金を取るぞ、それも大金を払わないと入れないお店」
「へぇ〜お金を払えば女の子と混浴風呂できるお店があるのかい?」
ヤリッチの情報に耳をすませて聞いていた。
(まるで風俗だなそれは、まさかこの世界にもあるのかな)




