237
237
ピルトに到着する冷は少しずつ陸に近づく、かなりの人数なため安全には安全をとした。
なかには暴れる者もいるので、着陸するのが難しいのだった。
「おいルビカ、着陸するからな」
「失敗するなもん〜」
「大丈夫だ、俺にしっかりと抱きついていればね」
「調子にのらせるなルビカ」
アリエルがひと言ルビカに忠告しておくと冷は着陸した。
ピルトの町の中に突然に現れた、しかも女の子が5人もである、町の人は騒然となった。
「何者ですか?」
「失礼しました冷です、驚かしてごめんなさい、彼女たちは悪者ではありませんから、あはは」
心配させないように人々を落ち着かせるが、驚くなというのが無理なのである。
「宿屋に戻るの?」
アリエルから言われて、他のメンバーにも合わせたいのもあるから宿屋に決める。
「宿屋に戻ろう、みんな集まっているかもな、心配しているだろうから早く帰ろう」
「あなたを心配しているかしら……」
「俺がいないと不安だろうよ」
「むしろ、みんな冷が居ないほうが、リラックスしてるかもよ」
夜は冷がいなかったから安心して熟睡できるのを示していたが、冷は勘違いしており、
「う〜ん、もっと道場でビシバシ鍛えないとな」
「いやいや、違うから、そこじやないです」
とりあえずヤリッチもいて、ルテリ三姉妹もいるから、みんなに紹介する必要があって、早く会わせたかった。
宿屋の受け付けでは店員エクセリアが待っていて見たことない女性に気づくと、
「あらおかえりなさい冷さんアリエルさん、あれ、また違う女性がいますが」
「はい、今日からお世話になります魔商人ヤリッチとシャーロイルテリ、ルクエ、ルビカの三姉妹です、これから宿屋に宿泊していきますから」
「ありがとうございま……………………えっと……魔商人ヤリッチて、言ったらけっこう有名な商人ですよね」
「へぇ〜有名なんだ」
「私は魔商人ヤリッチ、きっと悪い方で有名でしょう、よろしく」
ヤリッチが自己紹介するとエクセリアは顔を歪めて、
「こ、こ、こちらこそよろしく……………………あと他の三姉妹てもしかして、あのシャーロイ家の方ですか、シャーロイという名は他にいませんので」
「シャーロイ、ルテリだ、今日からお世話になる、こんな安っぽい宿屋しかないのか?」
「ええっ!!! あのシャーロイ家の方……すみません、とても安宿屋なもので」
エクセリアはルテリに謝る。
「知ってるのかいエクセリアさんは?」
「知っているもなにも、シャーロイ家はここピルトの町一帯南部で最も有名な貴族です、南部をほぼ牛耳ってるのはシャーロイ家でして、1番の大金持ち、誰もが憧れる一族、どうしてここに居るのか不思議です!」
「俺の仲間のメンバーに加わったからだよ」
冷は当たり前のように言ったがピルトの町の者にしたら、一大事であった。
魔人は仲間になるは、貴族は仲間にするはでエクセリアは冷のメンバーのバラエティーの多さに感嘆した。
「お仲間に……素晴らしいですね……………………」
自分の部屋に帰ると冷の姿を見たネイルが飛びつき、
「おかえりなさいご主人様〜〜わ〜」
「おお、ネイルか、いい娘にしてたかい、みんなも揃っているな、今日は新しい仲間を連れてきたぞ!」
冷の帰りにゴーレムが早かったとなり驚かしてしまい、
「エルフの国から帰るとなると早すぎやしないか、作戦は失敗したのか」
「失敗なんてしてないさ。隣に居るのか魔商人ヤリッチだ、今日からみんなと同じメンバーに加わった」
冷から紹介されるとヤリッチは、
「失礼する、紹介された魔商人ヤリッチとは私のことだ、ピルトに来ることになったから」
ヤリッチがひと言挨拶をする。
全員がヤリッチに注目。
沈黙となる。
「……………………待っていたのだけど、魔商人ヤリッチを仲間にするとは聞いてません、経緯を説明してよ」
ギャンが首を振って問いかける。
なにしろアリエル以外はピルトに居残った。
冷が魔人ギガースとヤリッチを倒してきて、エルフ族を救うのが目的であった。
それが帰ってくるなり、見たこともない子がヤリッチですとなると、沈黙になるだろう。
「まずエルフの国に行って工場を破壊した。実は回復薬は偽回復薬で破壊して良かった、その後にヤリッチと大戦して俺が勝った。まぁ負けるわけないけど、そこで現れたのがギガースとサンマル、チルフという仲間だな、結果は俺が全員を倒してしまった、問題はその後でギガース達はよそ見してたら逃がしてしまった、だから魔商人ヤリッチだけここにいる、まぁそんかところだな」
完璧な話と自分では納得したが、聞かされた方は1番重要な箇所が1番納得のいかない部分だったためガーゴイルが、
「逃がしたギガースは今はどこに? それとても重要よ」
「あ〜〜〜〜〜、逃げちゃってわからないんだよね〜」
肝心な部分を笑ってごまかす冷に、ガーゴイルはガックリと肩を落とし、ギガースの恐ろしさを知るだけに、笑ってもいられない。
それでも冷はガーゴイルの心配などよそに笑っていた。
(困ったけど、わからないのはわからないからね)




