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 ミノタウロスはとても怒ってるわけはなく、笑顔をみせてギガースを迎えた。  

 お互いに会ったのはだいぶ古く、かなり時間が経っていた。

 古い友に会えて嬉しくなるミノタウロス。

 隣にいるサンマルとチルフにも軽く挨拶する。

 サンマルとチルフは身を固まらせて頭を下げるのは、ミノタウロスほどの魔族、上級魔人と会うのは緊張感を強いられたから。

 近づくものを怯えさせるだけの魔力を放っていて、サンマルは何も言えないで黙っていた。

 上級と中級では差があった。

 チルフでも信じられないくらいのレベルの差。

 しかしギガースは違っていて、再会を楽しむ余裕はなく、


「ミノタウロス、久しぶり。ここに来るのはめったにないが、会う必要があって来た」


「その体はどうした、傷はある、戦ったあとなのか」


「うん、負けたんだ」


「負けた? 誰にだ、負かすだけの者は限られてる?」


 ミノタウロスはギガースの様子が違ったのはその為だとわかる。

 あった時からテンションが低く、異様なまでに殺気を出していたから。


「人族にだ、もう知ってるかも知れないが、冷と言う冒険者だ」


 言い方から恨みを感じさせていてミノタウロスは殺気を感じ取るのに十分な量であった。


「冷……………………噂には聞いたが、あの噂の冷か、サイクロプスを倒したと聞いたが」


「そう、その冷さ、サイクロプスだけじゃない、ガーゴイル、ゴーレムもだ、そして私も負けたのだが、スキをみて逃亡して、ここまできたというわけさ。わかるよね、私の言いたいことは……………………」


 ギガースは冷とのあった経緯を説明した。

 ミノタウロスにはこれでわかるだろうと思ってだ。

 しばらく考えていたミノタウロスは言葉を発した。

 サイクロプスは知っていたが、ゴーレム、ガーゴイルの最近の話は知らなかった。

 あまりにも奥深くにある辺境の地にいるため、入ってくる情報が遅いのだった。


「ガーゴイル……、ゴーレム!!!!!!、嘘だよへね……………………我ら魔族を狙い撃ちしてる冷、奴は許せぬ存在。ギガース、我らも参加しよう、冷に復讐しに行くのだろう、我ら牛頭魔族の全軍を集め、人族の都を潰してやろう」


 ミノタウロスは怒りが込み上げてくる。

 何十年ぶりか、何百年ぶりか、わからないが彼女の中で沸騰するような感情が湧き上がったのはギガースにも伝わった。


「ありがとうミノタウロス、あなたならわかってくれると思って、我らも全軍集める最中です、巨人魔族の全軍を人族の町に送り込み破壊してやります」


 すでに巨人魔族はスタンダード国内に配備する計画、それもわからないように森の奥に配備し、莫大な犠牲者を出す予定。

 少しずつだが魔物をスタンダード国の森に送る。

 実際に人族側の騎士団の調査班は、巨人魔族の存在を察知していなかった。


「これ以上負けは許してはいけない、たかが人族のひとりに負け続けるなんてあってはならない。全滅させてやろう……………………」


 気性が荒いことで有名な魔人であるミノタウロスは、冷への怒りが爆発しそうにまで膨らんでいた。

 サイクロプスが負けたと聞き、信じられないと疑ったのに、それからごく短い時間でガーゴイルとゴーレムが負けたとなれば、他人事では済まされない。

 中級魔人がほぼ壊滅的にやられたとなった今は、上級魔人がジッと指を加えているわけにはいかないのだった。

 他の上級魔人との関連もあり、単独行動は禁止されていた。

 行動するときは、必ず他の上級魔人との間で情報を交換するときめられており、人族を滅ぼすための用意がなされていた。

 たとえ上級魔人といえど人族をあなどるなと誓う。

 歴史的にも魔族は人族の勇者、神族、に阻まれて大敗をきっし苦い汁を飲まされた経験を持つ。

 人族の危機には必ずといっていいタイミングで強者が現れる。

 魔族を滅多打ちにすると、後からその者は勇者とされ、伝説になる。

 それを知っている魔人は警戒を怠らない。

 甘くみると再び人族に返り討ちに合うのがオチ。

 その点でミノタウロスも長い時間を辺境の地において、時を待っていた。

 現れた冷の存在。

 これ程までに短時間で中級魔人が追い込まれたとなれば、猶予はない。


「ミノタウロス、落ち着いて欲しいは、相手は冷。ただ者ではない、複数のスキルを使いこなしていた。そのどれもが強力なスキルであって、見たこともないスキルもあった。それに拳での打撃においても一級のレベル、人族のレベルではなく神級レベルであって、我らも打撃での戦いを避けなければならなく追い込まれた。あれは人族だが、もはや神級、我ら魔族を滅ぼす天敵、今のうちに消すのが先決だ。しかも冷はどうしてかわからぬが、ガーゴイルとゴーレムの両魔人を仲間にした」


「なんだと!!!! あり得るか! 我ら魔族は誓ったはずだ、魔族の栄光を、繁栄を復活させると、それがなぜ人族の仲間になる、真逆の行動だろ、殺された方が増しだろ、違うか」


「殺されたいです、冷の仲間になるくらいなら、しかし事実なの、つまりはあの2人とも戦うことになる、強力な戦力となるに違いない」


 ミノタウロスは同じ魔人のガーゴイル、ゴーレムが裏切り、人族側に寝返ると思いもしなかった。

 すでに殺されていると思っていて、悲しんでいるところであつた。

 理由はわかっていた。

 ガーゴイルとゴーレムの2人を奴隷化したと決める。

 奴隷魔術などを使い、精神から狂わせて仲間にした、半端強制的に仲間にされられてるに違いないと。

 実際はガーゴイルは喜んで冷の彼女になっていて、ゴーレムは建築家として、新しい一歩を踏み出していた。

 まさか中級魔人が人族に貢献していくなど魔族からは考えられない発想である。

 冷は上級だろうと中級だろうと、誰も追いつけない飛び抜けた発想力を持っていた。

 強さと発想力は冷の得意とするところで、ミノタウロスは警戒心を最大限まで引き上げる。

 


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