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 部屋には姫の専属のメイドが案内してくれた。

 メイドの衣装は白いシャツに黒いスカートで冷には新鮮でお気に入りとなる。


(メイドって可愛いな)


 アリエルに不審がられないように気をつけながらもメイドを見ていると、


「冷様、この部屋で今日はお過ごしください。食事もご用意します、アリエル様、ヤリッチ様、ルテリ三姉妹様の部屋も各部屋をご用意してます」


「ありがとうございます」


 アリエルとは部屋が違うとされて別れることになり、


「別々の部屋があるのはさすがに城だね」


「王都の城だもの、たくさんの宿泊する方が来ても対応できるのですよ。だけど今さ、メイドばかりみてなかった?」


「見てないけど」


(あぶねえな、バレてるな)


「それならいいですけど、また明日」


 ヤリッチと三姉妹にも別れの挨拶をした。

 各自の部屋にそれぞれ宿泊する。

 冷も部屋に入りくつろぐ。

 ソファも机も傷一つない仕上がりの物で、使うのが悪い気がしていた。


(高級ホテルに来たみたいだよな)


 少し時間がたち、メイドが冷を呼びに来る。


「冷様、お風呂のご用意ができてます、どうぞお入りください」


「えっ、お風呂もあるの」


 よくよく考えてみたら来客も来る城、お風呂があって当然であった。


(城の風呂か、贅沢な風呂かもな)


「はい、いつでも入れます」


「もしかして……混浴風呂ですか」


 メイドに質問したが、内容は冷の願望が含まれていた。


「いいえ、男性と女性で別れてます。ご案心してください」


「ああ、別れてるのね、入りにいきます」


 メイドには冷の願望がわからずに、混浴風呂でないこと、安心して入れると説明した。

 残念な気持ちになるのを押さえて、お風呂に入るのを楽しみにした。


(混浴風呂でなくても楽しめる)


 お風呂にはメイドが案内してくれた。

 城の中はとても広いので冷だけでは迷子になるからである。

 長い通路を左右に何度も曲がる。

 メイド無しでは帰って来る自信は持てないほどに広い。


(どんだけ広いんですか)


 かなり歩いた気がした時に大浴場がお目見えして、メイドから紹介される。


「冷様、こちらが大浴場になります、ただいまから冷様の貸し切り用にしますから、冷様専用の大浴場となります。どうぞご自由にお使いください」


「俺のひとりに貸し切りですか、贅沢でゆったりできそうです」


 メイドはニコリと笑顔で丁寧に接待してくれて、初めてメイドに接待されご満悦となる。


(メイドも可愛いのを揃えてるな)


 大浴場は冷の想像を超えた広さで圧倒されてしまい、ゆったりどころか、冷以外に誰もいない状態、国王になった気分となってしまう。


(まるで国王気分です)


 圧巻なのは湯船が普通のプール並に大きい点であった。


(これじゃプールで、泳げちゃうな)


 気持ちよくなり、遂には泳げるため水泳を開始してしまう。

 誰もいない貸し切りの大浴場なのだから、誰からも怒られることはなく、おもいつきり楽しめる。


(貸し切りだから怒られることはないよね)


 好きなだけ泳いだりして楽しみ満喫中に何者かの気配を感じ、泳ぐのをいったん停止し気配に集中する。


(誰かいるな……俺の貸し切りのはずだが)


 誰かしらの気配を感じるも、遠くから冷を見ているようであり、気づかない振りをして、相手の様子を観察することにした。


(俺を狙ってるのか……敵意を持っているのかな)


 冷が相手の様子を見ていると、向こうから接近してきたので、以外だなとなり、接近戦での戦いをも視野に入れる。

 視界は風呂の湯気でかなり悪く姿ははっきりとは認識できない。


(来るか……接近戦か)


 接近し風呂の湯の中に入ってきて声をかけてきて、


「驚かせてごめんなさい、待ってました…………」


「えっ、ええっ!!! その声は、もしかして、ビジャ姫ですか?」


 近くにまで来てようやく相手の顔がはっきりと見えたところで驚くしかなかった。


(まさかビジャ姫か……)


「はい、ビジャです。一緒に風呂をよろしい……」


「も、も、もちろんです…………が、貸し切りのはずですよ、わざわざ来たからには余程の理由があると考えられます。ギガースとミノタウロスの件でしょう」


 このタイミングで現れたのなら、考えつくのはミノタウロスだろうとなる。


(俺が勝てないと疑っているのかな)


 ビジャ姫が来た理由に困ると、彼女は冷のまるで予想もつかない行動に出てきた。

 冷の前で巻いていたタオルを取ってしまったからであり、取った後に残ったのは当然にビジャ姫の裸。


「それもありますが、今までに何とお礼をしていいかと思ってました……」


「は、は、は、は、裸が見えてますが」


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