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緊急会議は終わり、冷が悪いのは悪いとなるも、冷のおかげで救われたのもあり、今後も冷は騎士団と協力すると約束させられた。
(騎士団とか……信用一気に落ちたな)
会議の中では三姉妹の扱いをどうするかとなり、引き続き冷の管理下に置かれることで合意して、三姉妹のルテリも気にくわない部分もあるが国王の意見に従った。
(三姉妹は引き続き俺と一緒になったな、また楽しめそうだな)
ミノタウロスよりも三姉妹とのお楽しみを考えるあたりが冷の成長がないと言われるゆえんであろう。
問題はヤリッチの扱いであってハンマド国王は、
「魔商人ヤリッチは拘束して牢獄行きとする」
と判決した。
しかしそこでも冷は食いつき、
「お願いがあります国王、ヤリッチは俺に預からせてください、なぜならギガースと深い関係があった彼女が近くにいれば、ギガースと万が一のミノタウロスとも重要な役割を果たせます、わがままですが俺に預からせてください」
「魔商人ヤリッチは重罪人だ、我が国の戦力を限りなく無くす手を売ったのは事実、危なく危機にひんするところであった、よって牢獄とする……としたいがミノタウロスはやはり危険、冷がギガースとミノタウロスに最前線でぶつかり戦うという条件ならヤリッチを冷の管理下に置いてもよい、あくまて危険を回避できる役に立てるかどうかだ」
国王は冷にその重役をこなせるかが鍵とみた。
「やります、必ずヤリッチを使いこなしてギガースを追い込み倒してみせます、ミノタウロスも同じです」
「では、三姉妹とヤリッチは冷が管理とすると決める」
ハンマド国王は会議を終わりにした。
上級魔人の怖さは伝説からも読み取れ、先代の国王にも常に伝えられていて、情報を集めておくことに集中ていた。
決して触らない、ちょっかいはださない戦略である。
しかし上級魔人がおとなしくしているからといって安心はできない。
おとなしくしているのは魔王を復活させるためとも取れるからで、復活の時は近いとするなら、むしろ冷のしたことが、上級魔人とは早く戦った方が良いとも考えられた。
国王には騎士団、冒険者の戦力があるが、冷の意外性に賭けたいとの思いもあった。
会議を終えた冷は帰る準備に取り掛かる。
用事は済ませてあり、三姉妹とヤリッチを手に入れるのを国王から約束してもらえたのが、何よりの功績となった。
(三姉妹とヤリッチも手に入れる、ラッキーだな)
ルクエから帰りもガーゴイルの翼を使うのかと尋ねられ、
「もちろん使うよ、馬車なんか遅すぎ」
「やはり使うのでございますか」
ルクエは訊く前に半分は無駄な質問だろうとしながらも訊いていて、ルビカと同じく身をこわばる。
帰る準備を決めたところでビジャ姫が現れて冷に、
「冷、もう帰るのですか」
「はい、俺の要求は全て取れたので満足してますから帰ります」
「騎士団を王都に集めています、王都で騎士団とともに行動をしたらどうです」
ビジャ姫の言いたいのはギガースとミノタウロスがどこからいつ攻めて来るかわからない今は王都に居残るべきとのことで、
「確かにギガースとミノタウロスは王都に来るのか、わからないです。しかし俺に恨みがある以上は俺を狙って来るのだろうと思ってます。それにピルトの町には戦力が揃ってますし、ガーゴイルとゴーレムがいます、それと彼女たちの仲間の魔物も獲得して配置してますから、対抗できるでしょう」
「仲間の魔物もいるの……それは初耳です」
「最近になって集めたので、彼女達の魔物の一部を王都に持って来ましょう。そうすればかなりの戦力アップに繋がり、国王も安心してくれる」
「助かりますが、魔物は大丈夫なの、魔物が王都を守るなどできるのかと、人々や騎士団も怖がるのでは」
当然の疑問である。
普通に考えたら、魔物は魔族であるから、人族を守るなど考えられない。
「大丈夫です、ガーゴイルとゴーレムに忠誠した魔物ですから、暴れたりしないようにしてあります」
「それならお願いします。その件は騎士団に報告をしておきます。そこで今日は騎士団のナニが来ますから、現在は王都から離れた場所にいます、それまで城で宿泊して欲しいと言いたくて、できますか」
ビジャ姫に宿泊して欲しいとなれば、冷が断る理由などない。
しかしアリエルの反応が怖かった。
(ビジャ姫がいる城に宿泊も悪くない、しかしアリエルが許してくれるか)
ビジャ姫に答える前にアリエルに確認すると、
「ビジャ姫が宿泊してと言ってるけど、宿泊してもいいよな」
「ビジャ姫に変なことをしなければいいですけど」
「するか!」
「信用できませんが」
「絶対にしない」
「分かりました、宿泊しましょう」
アリエルはかなり疑いの目で冷を見ていたが、最後には宿泊を決めた。
冷はアリエルの許可を得て嬉しくなる。
(ビジャ姫のいる城に宿泊か、悪くないよね)
「ビジャ姫、宿泊をお願いします」
「部屋はメイドが案内しますので、ゆっくりと休んでください。ナニが到着したら教えます」
姫にすすめられて城に宿泊が決まった。
部屋は町の宿屋とは違い豪華な内装であった。
(凄い豪華な部屋だ)




