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 兵士が慌てて伝えに行くと、城内は騒然になり、ハンマド国王、軍師コロナ、ビジャ姫が揃って集まって冷を迎える。


「冷よ、戻ってきた理由は兵士から聞いたが、真か……、ヤリッチとギガースと戦ったと、そしてギガースを取り逃がしたとな、今までは素晴らしい活躍はあった、これまでは許せる範囲での行動と、しかし今回ばかりは許せる範囲を超えている、我が国が大変な危機にさらす事態だ」


「はい、その通りです。横に居るのがヤリッチです、ギガースについては謝ります、完全にミスしした、戦って勝ったのによそ見をしていて、見失いました」


 ハンマド国王と軍師コロナは険しい顔に変わる。

 特に軍師コロナは冷に敵意を感じさせ冷に説教を開始して、


「大バカめ、中級魔人ギガースがどれだけ恐ろしいかわかってしたのか、エルフ族との間にあった関係、エルフを従えて奴隷に近い扱いをしていたそうだな、はっきり言って無駄な苦労、むしろ余計なことをしでかした!」


 軍師コロナの説教に対してルテリが反論を、


「なぜですか、冷はエルフを救いたいと思い行動した、それは評価していいのでは」


「ルテリか、キサマは牢獄の身、冷に命拾いされた分際で偉そうな態度はよせ。エルフは無視していていい、人族には何ら影響はないのだから、エルフと下手に関係を持ってギガースと関わる方が問題だ、もしギガースが人族に対して敵意を向けてきたらどうするのか、無駄な犠牲者を出すのだぞ、冷!!!」


 ルテリはキツくいわれ、押し黙ると冷が、


「軍師コロナさんの言うのはわかります、俺の身勝手な行動だと言われれば否定できない、独断でエルフを救いに行った、そこは認めます、しかし実際に行ってみて話は変わってきました、単なる俺の身勝手では済まなくっていたのです」


「済まなくってとは、分かるように説明してくれ」


 ハンマド国王は冷を許せないとしていたが話を聞いてみることに、


「はい、エルフの国には国王も知ってる通り結界魔法があってこの国から行けません、だが唯一行く方法がシャーロイ家にありました、そこで三姉妹をお借りしたのでした、エルフの国には問題なく行けて、そこでエルフのタリヌ女王と会い俺の来た理由を全て話しました、エルフを救いたいと言うとタリヌ女王は俺に協力してくれて、事情を全て話してくれました、それはこのスタンダード国の中にエルフが多数入ってきていて露天商として、回復薬を販売していまして、回復薬に問題がありました」


「どんな問題だい、聞いてる情報では凄く品質が良くて低価格で、冒険者からは好評だと、商人ギルドからも同じ評価だ、それが何の問題なんだね?」


 ハンマド国王だけでなく王都の情報も間違った情報しか入っていなかった。

 冷の解説がまだ理解できていないので、冷は話を続けることにして、


「その回復薬がとても大変な物でして、普通の回復薬ではなく、恐ろしい回復薬で、効果は優れているどころか逆の効果、使った冒険者のステータスを低下させる効果、使えば使うほどに冒険者の能力は減り続ける、恐らく使った冒険者の多くは弱くなっていて、スタンダード国の騎士団、兵士、冒険者の戦力は減らされているのです。それを教えられて俺は、単なる身勝手な行動ではなく、スタンダード国の戦力低下を止める行動になった、スタンダード国の為に俺はヤリッチとギガースと戦ったのです、それは隣にいる魔商人ヤリッチに確認すれば判明します」


 冷が問題の核心について話すとハンマド国王はヤリッチに質問をぶつけて、


「お前が魔商人ヤリッチなんだな、それで冷の話した内容は真実なのか?」


「…………真実です、エルフの国の支配は最初は私だけでしたが、そこにあとからギガースが来て、ギガースの仲間のスキルを使い偽回復薬を製造を開始した、そしてエルフを大量に他国に送り込み偽回復薬を販売させて莫大な利益を上げるのに成功した、エルフはギガースには抵抗をしなかったのは、絶滅させられる可能性もあったからでギガースには従うしかなく、タリヌ女王も逆らわない、もはややりたい放題の時代が長く続いていた、それがこの男、冷が突然に現れて偽回復薬の工場を破壊して炎上させた、それを知ったギガースの仲間とギガースも戦い、信じられないことに激戦の末に倒してしまった、これが真実です」


「な、な、な、なんだって、偽回復薬だったのか、今すぐに販売を停止させましょう国王!」


「停止させろ!」


 軍師コロナに停止をさせて、偽回復薬の販売は国内から完全に撤去が決まった。

 さすがに国王もヤリッチの話を聞いて冷を攻める気はなくなっていた。

 むしろ冷に感謝しなくてはならなくなる。


「冷よ、真実なら逆にとても勇気ある行動と判断する。我が国を最悪の事態から未然に救ったのだから、評価に値する。お礼をしなくては」


「ありがとうございます国王、わかってくれれば俺はそれで十分です」


 国王の評価に冷はホッとしていた。


(ハンマド国王がわかってくれて良かった)


 これには冷を問題視していた軍師コロナも納得せざるを得ない。

 国を救った冒険者に刑をかすのは愚かな行為。

 黙ってしまい冷に文句を言うのを止めた。

 これでエルフは救われて、しかもスタンダード国をも救ったわけで、2つの種族を同時に救った。

 冷にしかとうていできない芸当である。

 部屋にいる者、全員が冷の活躍ぶりに頭が下がった。

 誰も文句を言う資格はなかった。

 これで冷は話は終わり、王都に来て国王への用事はほぼ終わって、ヤリッチと三姉妹を連れて帰るとするくらいであった。


(俺の話は終わった、もう帰ろうかな)


 しかし冷にも考えつかなかった事態に展開が変わろうとしていた。

 それはヤリッチが話を始めたのがきっかけであった。


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