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 ガーゴイルの翼によって上空からギガースを探す。

 タリヌ女王は抱っこされながら、落ちそうになるのを耐えていた。

 とても探せる余裕はない。


「あの〜怖くて下を見れないですけど」


「怖いかい? それならしっかりと持たないといけないな」


「きゃあ〜〜〜〜〜」


 タリヌ女王をグッと強く手で掴むと、タリヌ女王は飛び跳ねる〜うにして動く。


「暴れたら危ないぞ!」


「だって、胸を掴むから……」


「ええ……っと、ああ触ってるかな」


 ちょうど手が胸のある位置にきていて、タリヌ女王には声を出そうにも、女王の胸を触る男性など皆無であった。

 その点、冷は他の男性の常識は気にしない。


(女王の胸の感触、ラッキー!)


 ギガースを探すはずが胸に関心がいってしまい、探す能力は欠けていた。

 しばらく上空で旋回しギガースを探すが発見には至らなかったので、地上に降り立つ。


(なぜ居ないのだろう……)


 これだけ探すが発見できないのなら無駄な労力と考えて、


「発見できそうにない、とにかく俺はヤリッチを確保する。タリヌ女王は俺と来て欲しかったが、まだギガースの行方が不明なままなので、国に残って捜索して欲しい。もし発見したら至急、俺に使者を送るなりして連絡を頼む」


「わかりました、捜索します。結界魔法は解くように支持しておきます」

  

 そこでタリヌ女王は残して冷はいったん国に帰るとして、途中で魔商人ヤリッチを捕まる。

 ヤリッチは逃げるのはしなくて、逃げたら殺されると思っていた。


「おいヤリッチ!」


「は、は、はい!!」


「ギガースが逃げた、心当たりはないか?」


「逃げた! 逃げたのなら行方はわかりませんね、発見できないならもうエルフの国には居ないでしょう。きっと他の国に行き、今後の対応を検討中でしょうかね」


 ギガースが逃げたと聞き驚くも、どこに行ったのかは知らなかった。


「他の国にか……俺の居たスタンダード国か?」

 

「知りませんね、ギガースからどこに居るのか、聞いたことがない、教えるわけない」


 ギガースよりも自分が心配であり、スタンダード国に行き、死刑ではと怯えていた。


「手がかりなしか……。それじゃ俺はスタンダード国に帰る。キミも一緒に来なさい」


「嫌だ〜よ〜〜!!!!!」


 ヤリッチは無駄な抵抗とわかっていても抵抗した。

 

「おいおい、エルフの国に置いとくわけにはいかないだろ」


「嫌だ〜死にたくない〜〜〜〜!」


「おいおい、誰が死ぬって……」


 ヤリッチが死ぬと言うから冷は困る。

 

(殺すつもりないのにな)


「スタンダード国に行けば死ぬだろ」


「なるほど、ハンマド国王ならしかねないな」


「やはり!!! 嫌だ〜」


「わかった、俺が国王を説得しよう。国王にはいずれ挨拶に行くから、その時に説明する」


「本当か……助かるのか?」


「その代わり俺と一緒に来るんだ。そしてエルフの国にしたことを深く反省しなさい」


「……………………はい」


 ヤリッチにキツく言い渡すと、変形してガーゴイルの翼となる。

 ヤリッチを抱えてほこらに向かう。

 まだ結界魔法はあるから、最初に来たほこらから帰るしかなく、エルフ兵士はヤリッチを見て驚く。


「これは、ヤリッチ様!」


 まだギガースが逃げて、ヤリッチの横暴が終ったと知らないエルフ兵士は頭を下げる。


「ご苦労、ここを通ってスタンダード国に行くのでよろしく」


「はい、スタンダード国に!」


 エルフ兵士はヤリッチと冷を通すのに、ためらいはなかった。

 特に怪しまれる様子はなく冷は、


「凄く緊張していたぞ、よほどキミが怖いのだろう」


「いえいえ」


 ヤリッチは照れながら通ると、一瞬でスタンダード国に到着。

 着いた先はシャーロイ家の城内部。

 今度はシャーロイ家の兵士が冷に挨拶する。


「これは冷さん、ルテリ様達は先に帰られました。現在は城に居ます……そちらの方は誰ですか?」


「ありがとう、彼女は俺の重要な子なので気にしないで」


「はい」


「あ、それから、もうこの部屋は必要ない。結界魔法はなくなるんだ!」


「えぇ!!」


 兵士はヤリッチの姿に注意するが誰かわからなく、それよりも結界魔法がなくなるとの話が強烈であった。

 シャーロイ家の城の部屋。

 伯爵がルテリ三姉妹とともに冷の帰りを待っていた。

 


 一方エルフの国ではタリヌ女王がエルフ国民を集合させていた。

 大勢の国民が集まる。

 すでに工場は破壊されたとの情報が出回っていて、騒ぎになっていた。

 声明をする。


「皆さん、今日はとても重要な発表をします、現在まで続いていたヤリッチによる重圧な支配政権は終わりました、もうヤリッチはこの国には居ません、恐れることはないのです、ある人族、冷が来てヤリッチ政権を倒しました。そしてヤリッチの後ろにいた中級魔人ギガースも倒しました、しかしまだ余談を許せません、ギガースは逃げて姿をくらましたからです、まだ国に居るかもしれない、皆で手分けして捜索します、ギガースを発見し元のエルフの国に戻しましょう!!!! 結界魔法は今日で解きます、これは冷からのお願いです、人族との行き来を自由にします!!!!」


「おおお!!!」


 エルフ国民はタリヌの発表に強い衝撃を受けた。

 結界魔法はその後に解かれた。


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