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 新たなスキルを獲得すると冷は嬉しくなる。


(トルネードスネークか、ラッキーだな)


 獲得したトルネードスネークは別の機会で試すとして、まずはホッとした。

 そこえ現れたのはエルフ族タリヌ女王であった。

 呼ばれて来る際に、ギガースに殺されるのは覚悟していて、もうダメだなとあきらめていたので、神殿の崩壊ぐあいに加えてギガースの惨敗風景には、


「……こ、これは、まさかあなたがやったと?」


「タリヌ女王、来ましたか。約束通りにヤリッチとギガースをコテンパンにしてやりましたよ。俺の言ったのは嘘じゃないでしょ」


「は、は、は、はい、ヤリッチとギガースがいなくなれば、元のエルフの国に戻ります。ありがとうございます冷、なんとお礼を言ったらいいか、なにか恩返しをしなくてはいけませんね」


 想定外といえる場面にタリヌ女王は心底お礼をした。

 お礼をされて冷はありがたく受け入れて、


「お礼は欲しいですね」


「我々エルフ族の調合薬ならいくらでも差し上げます、どうですか?」


 調合薬ならは冒険者にとって必需品であるゆえに、普通なら欲しいと言うのだが、冷は違って、


「う〜ん調合薬……欲しいけど、もっと欲しいのがあるんだな」


 少し考えてタリヌ女王に申し入れようとしたが悩んでいると、


「どうぞ、言ってください、あなたの願いならエルフ族は惜しみません。エルフ族を救った人族を忘れません」


「えっと、いいのかな、それなら言います、タリヌ女王が俺の彼女になって!」


「えっと……………………彼女ですか…………私が、あなたの」


 タリヌ女王は全く予想外の返答に困惑し返事もできない。


「彼女になる俺と一緒に暮して欲しい」


 なぜその様な暴挙に出たかというと、冷はエルフ族を見た時から好きになっていたからで、タリヌ女王を見た瞬間に好きになっていた。

 そして彼女にしたいと考えていた。


(ぜひ一緒に暮らして欲しい)


「いえ、いえ、私はこの国を治める義務があります、平和を維持してみんなが幸せに暮らせるように。そのために私が国に居なければなりません」


「大丈夫です、俺と一緒に暮らしていながら女王もすればいい。彼女と女王を両方をかけ持ちする。それで解決でしょう」


「……………………」


 かなり無理な冷の言い分にタリヌ女王は絶句した。

 本気の言い分に、断るのをためらう。

 エルフの絶望的な状態を救ったのだから、たとえ無理な言い分にも応える必要があるし、すでになんでも叶えますと言ってしまった手前、断るのも変であろう。

 タリヌはしかたなく彼女になると決めた。


「いいだろ!」


「わかりました、彼女になります」


「彼女は決定だな! 彼女になったならさっそく俺の彼女としていいたい、エルフの国と人族の国にある壁……結界魔法を解いて欲しい。エルフと人族の間に溝があった歴史、それは今日で終わりにしたい、そして今日からは誰でも行き来できるように結界魔法を無くす。お互いに商売してもいい、受け入れてくれるよね!」


 またも無理難題をタリヌに突きつける。

 エルフと人族が融和する、わけへだてなく暮らす、そんなのは理想であり現実的じゃない。

 違う種族だからであり、争いも起きかねない。

 しかし冷は本気でありタリヌは冷の言い分を否定できなかった。


「わかりました、彼女になるなら、苦渋の決断で結界魔法は解きましょう。国民には説明しますが、大変です」


「ありがとうタリヌ女王!」


 わけがわからないまま彼女になったとして、まだ気がかりなのは、生きているヤリッチとギガース達の扱いである。


「ヤリッチとギガースの処分はいかがしますか、もちろん国に生かしたまま居させるのは無理です。いつ反逆してくるか不安になる」


「もう決めてる、あの魔族らの扱いは。後はあの魔族らと話し合う必要があるからタリヌも来てくれ」


「ええ……」


 タリヌ女王は話し合うと言われ、冷に従うとギガースのもとへ向かう。

 そこで冷はおかしく感じ、神殿の地下に沈んだギガースを探すと、ギガースの姿がなかった。


「あれ、おかしいな、この辺りにいるはずなのにギガースがいない!」


「えぇ!! 大変です!」


 タリヌ女王は慌てて辺りを見回すが、見当たらないので困る。

 

「どうしたのかな……確かにさっきまで居たんだよ。さては俺がタリヌ女王と話している間に逃げたな、それしか考えられない」


「逃げたとなると、一大事です。普通の魔人ではない、中級魔人なんですよ!」


 事実、ギガースは冷の目を盗んで逃げていた。

 サンマルとチルフが傷だらけのギガースを手助けしながらである。

 しかも隠れた所は神殿の地下であった。

 地下にも神殿の部屋はあり、崩壊した神殿内でも部屋は確保されており、潜れるにはうってつけであった。

 神殿の地下の構造など知らない冷は、遠くに逃げたと思いこんだ。


(まだ近くにいるはず)


「探してみるから、タリヌ女王も一緒に探そう!」


「はい……その姿は!」


「鳥になったから、飛びながら探そう!」


 ガーゴイルの翼を使用したらタリヌは、


「わ、わ、わわかりました、探してみましょう」



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