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サンマルとチルフが逃亡してしまうと、アリエルと三姉妹を人族の国に帰す。
残った冷は考えは決まっていた。
(サンマルとチルフを追うとしよう)
そこで冷は変形してガーゴイルの翼を使うと、サンマルの逃亡した方向に向けて飛行開始。
猛速度で追いかけていく。
(サンマルの向かう先にギガースがいるかもな……)
ギガースを倒せばエルフは開放される。
そこが今回の最終的なポイントであるので、迷わずサンマルを追うことにした。
(向こうに神殿らしき建物が見えるな……)
発見した神殿はヤリッチがいる神殿であって、冷の選んだのは当たっていた。
(あの神殿が怪しい、降りてみよう)
直感で怪しいと感じた冷は降り立つと、周りには多くのエルフ兵士が警護していて、重要な地点だあると感じる。
(兵士に話しかけてみよう)
冷がそばに寄ると兵士は驚いて、
「な、な、何奴! 人族か……どこから来た!」
「俺はサンマルを追ってきた、ここに居ますか?」
「さ、サンマル様は居るが、会わせるわけにはいかない、怪しい人族だ、捕まえろっ!」
兵士に囲まれてしまい見事に怪しい人物となった冷は、時間がないので軽くエルフ兵士を相手にして中に入る。
兵士は冷の軽い素手の攻撃で気を失う。
(そこで、寝ていてね)
一瞬で兵士を眠らせると神殿に入り、サンマルを探す。
強大な魔力を感じ取る。
(この魔力はサンマルとチルフのだろう)
魔力を頼りに進むと、兵士が更に増えており、またも眠らせてうく。
その先、サンマルとチルフの近くに最短で到着。
冷の魔力を感じる気配察知能力の高さが証明された。
(直感が当たったな)
扉を開けるとサンマル、チルフがいて、
「冷め、ここがよくわかったわね、ついて来たとは……バカね」
「あっ、キミはヤリッチだったな。だましてごめんよ」
「全て嘘だったとは、商人レイールだ……魔術士アリババだ……だましやがって、この大嘘つきが!」
「ヤリッチこそ、エルフをだまして大儲けしているのだろう、知ってるのだぞ」
「えぇ!! 私は大儲けなどしてない。勘違いするな」
「偽回復薬の話は聞いてるのだよ。もうしらばっくれても無駄。俺はエルフの国にはヤリッチ、そしてギガースを追い出しに来たんだ。工場も破壊したし、後はヤリッチさん、あなたを倒します、よろしく」
「全てはお見通してとこか……、それならしかたない、サンマルさん、チルフさん、冷を倒してあげなさい!」
ヤリッチはサンマルとチルフに命令したがサンマルは笑いながら、
「あははは、ヤリッチ、あなたが戦えよ、私らは見てるから」
「何よっ、私が勝てるわけないでしょ、商人なのよっ!」
実際、ヤリッチは戦闘よりも金儲けしか興味なかった。
「知らねえよ、てきとうに頑張りな、応援してるから」
サンマルに突き放された形のヤリッチは途方に暮れると、戦うしかなくなる。
「…………それなら魔商人ヤリッチの強さを披露してやる、逃げるなら今のうちにどうぞ」
魔力を披露したが冷にはほとんど伝わってこない。
「じゃあ行くぞ」
「待てよ、逃がしてやると言ってるのだ」
「逃げないよ俺は、じゃあ行くぞ」
ヤリッチとの距離をつめて目の前に接近したら、ヤリッチは叫び声を上げるが、同時に首に平手をもらい、その場に倒れた。
(魔商人か……弱いですね)
ヤリッチが倒れたのはサンマルには確認できないほどの速度であった。
「速い!」
「見えない!」
チルフもぼう然となる。
あらためて今の一撃で冷の強さを思い知った。
戦いになればかなりの不利になるのは経験から推測した。
「それじゃ、残りはキミたちだけになった」
「……」
冷の圧倒的な強さに身震いしつつあるサンマルとチルフ。
しかしサンマルは恐怖心が和らいでいくのがわかった。
なぜならもっと強大な魔力を持つ者が近くまで来てると核心したから。
「どうやら、あなたの負けのようね冷」
「……なんだ、この魔力は。恐ろしいほどの魔力が俺には感じる」
「わかるわよね、この魔力が誰の魔力かを、会ったら後悔しますわよ!」
チルフも追い詰められた状態から、一転して笑顔に。
2人の様子の変化から冷は判断してギガースだとわかった。
(間違いなくギガースが来たな)
冷の予想は的中していたが、嬉しい的中なのに、ギガースを探していたのだから、しかし実際に体感すると冷も身震いしだす。
(これは、ヤバいかもな)
神殿はガタガタと震え振動し、壁が破壊された。




