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チルフは冷が初めから破壊するのが目的だとわかると冷に敵意をむけ、
「なぁサンマル、この商人レイールを殺していいよな」
「お好きに」
「レイール、破壊したことを後悔させてやるよ!」
チルフは冷に接近しパンチを。
「……危ないな、いきなり暴力かい」
冷は顔つき変えずにパンチを受け止める。
(巨人族だけに、上からパンチ来るな……)
「なに! 商人のくせに……私のパンチを受け止めるか」
チルフは商人ではないと直感したらサンマルもパンチを繰り出すと、
「げっ! こいつ商人じゃないぞ……戦闘に慣れた者だ……」
2人の身長は冷よりも高いのは巨人族の特徴であるが、冷は簡単に受け止める。
「商人……じゃないのバレちゃったかな」
「誰だよ」
「えっと……俺の本当の名前はレイールじゃない、冷でした」
「れ……い……まさかあの冷か?」
名前を聞いて聞き覚えのある名前のサンマル。
チルフはわからない。
「サンマル知ってるの」
「あの冷なら……この受け止めたのわかる……冷はギガース様と同じ中級魔人ガーゴイルやゴーレムを倒した者だ」
「えぇ!! あの人族が……こいつですか」
チルフはあせって冷を見直すと冷はニヤっと笑い、
「知っててくれてありがとうございます!」
今度は冷からパンチをサンマルとチルフに差し出すと、パンチは2人のお腹に当たり、吹き飛んでいった。
「ぐっ〜〜〜」
「……早えパンチ……間違いない、あの冷だな。しかしなぜここに来た、工場を破壊したのかだ……」
「俺のパンチをもらっても立ってるとは、巨人の魔族は防御力はかなりあるな」
今ので倒れて終わると思っていたから感心した。
(立ってるとはやるな巨人族)
「巨人族をなめてもらっては困る、魔族の中でもひときわ体は強い」
実際にサンマルには冷のパンチを受けてもダメージはなくチルフも同じであり、巨人族は人族よりも潜在的防御力は格段に高かった。
サンマルは冷だとわかり考えをあらためて、状況を判断し、
「チルフ……工場にいたエルフともはどこに行ったの」
「さぁ居ないわね……逃げたな」
「仲間に言って町を襲わせよう、逃げたエルフは皆殺しだと」
「わかった、皆殺しね」
チルフは合図を送ると別の巨人族が現れてチルフから命令された。
命令された巨人族はチルフよりも更に身長が高かく、命令通りに逃げたエルフを探しに出る。
巨人族の人数は10人いて、チルフの前から消えて行った。
エルフはアリエルの指示で町に逃げたのだが、巨人族に追われたら追いつかれる。
冷はチルフの配下の巨人族に警戒した。
(さらに大きな巨人族が出てきた……しかももっと大きいぞ)
アリエルは危険を感じて冷に、
「どうするの……巨人族が追いかけて行くわ」
「アリエル……も巨人族を追ってくれ……それとあの三姉妹も近くにいるはずなんだ」
「三姉妹は?」
冷とアリエルが三姉妹の姿を探したが姿は見えない。
「居ないわね……」
「まいったな……」
(一緒に俺の後から来ていたはずなのに……)
仕方なくアリエルだけで追いかけて行くとこにして、
「私がエルフを守る!」
「頼むよアリエル……キミは俺の道場での訓練でかなりパワーアップしてる」
(パワーアップは自信を持っていい)
アリエルを心配ではなく自信を持って見送る冷にアリエルは頷いて追いかけて行った。
(気を受けろよアリエル)
アリエルの方に注視していた矢先、サンマルは冷にスキをみつけて再びパンチを浴びせ、
「よそ見をしている場合ですか」
「ううっ!」
サンマルの連打を浴びてしまった。
一瞬のスキをつかれた。
体はやや後退してしまうと、巨人族の重いパンチを実感する。
(巨体だけにパンチは重いな)
「こっちもあるぞ」
「ううっ!」
続いてチルフの連打が舞うと冷は防御にまわり、重量のあるパンチを浴び、もう一歩後に後退してしまう。
(チルフのパンチま重いな)
「まだまだだ、我ら巨人族の力は!」
サンマルとチルフによる攻撃は息をつく暇もなく続けられる。
巨人族の能力を甘くみていた冷は、ひどい失敗となった。
魔人ギガースの片腕といわれる2人はギガースからも能力の高さを認められており、過去にも人族の騎士団を相手にして何度も苦しめたのは有名である。
その情報がなかった冷は、手痛いパンチをくらった。
(相手が2人とはいえ、ギガースの側近だけはあるな)




