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工場の中に案内されて冷はまたも驚いてしまう。
果てしなく続いていて、中にはエルフが大量に働かせられていたから。
(これみんなエルフか……凄い人数だな)
これが素晴らしい回復薬なら冷は何も文句はないが、人族に悪意のある回復薬とわかれば、異様な光景に写る。
アリエルはどうやって目的を達成させるのか考えて、
「ねぇ冷、こんなにもエルフがいて、もちろんエルフの兵士もいるし、働くエルフもいるし、どうやって目的の工場を破壊する気よ……」
「簡単だよ、俺が爆発させるさ」
「ち、ち、ち、ちょっとそんなに簡単に言うけど、中にはいっぱいエルフがいるのよ」
「逃げてもらうさ、全員が逃げてくれたら、その後に爆発させよう。問題はその後にくる、魔族だいただろ、サンなんとか……」
「サンマルとチルフね、魔族がいるのは厄介ね」
「あの2人からはかなりの魔力を感じる。相当なスキルも持ってそうだ。先ずは工場を爆発させる、外にはシャーロイ三姉妹も隠れているので応援してくれる、爆発したらサンマルとチルフと戦いになるだろう、そうなったら戦うしかない、次にヤリッチも叩く。それで魔族をエルフの国から追い出そう、そしたら作戦的には終わりだ。平和になるし、人族にも偽回復薬害は無くなる」
「ギガースは……もっとも危険なのがいる」
「姿はない……、無視しよう」
「はぁ……無視ですか」
アリエルはギガースに関しては気がかりだが、ここまで来たら後には引けないので、冷に協力すると決めた。
「レイールさん、工場は薬草を運ぶ、調合する、試験をする、瓶に詰める、出荷する、色々な部所に別れています、ここが薬草を調合する部所になります、アリババさんの働く場はここになりますので」
「レイールです、皆さんよろしくお願いします」
冷が働くエルフに挨拶したら、
「人族ですよね……なぜここに」
当たり前に不審がられる。
人族を見るのも初めてであった。
「えっと……なんていうかな、キミたちを助けに来たんだ、静かにして……」
「えっと……助けに?」
「そうだよ、調合を手伝うとか嘘なんだ、俺はヤリッチのやってる支配政権を許せない、それでヤリッチを倒しに来た」
「えぇ!!」
エルフ達は一緒に大きな声を出した。
「し、静かに……」
「わかりました、静かにしますが、ヤリッチだけでなく近くにサンマルとチルフがいます、魔族ですから、あなたでは勝ち目はありません。残念ですがあなたの話には無理がある」
「魔族に支配されてるのは嫌なのだろう?」
「嫌なのは嫌ですが、勝ち目はない戦いに参加して、逆にサンマルとチルフがキレたらエルフはどうなりますか、無駄な犠牲者がでるでしょう、犠牲者を出してまであなたに付き合う気は誰もないですよ」
エルフは冷に対して冷たい対応となったのは、冷が商人であるのが理由。
「俺が商人なのは実は嘘。本当は冒険者なのだよ、今までに中級魔人を4人も倒してる実績あり」
「えぇ!! 魔人を4人も……、魔人となるとギガースも中級魔人のはず、ではギガースにも勝てるというのですか?」
「勝てると思ってる、俺が商人だと思い込んでる今ならみんなを逃がすチャンスだ、早く逃がして欲しい、出来るかい」
エルフは集まり冷の話に夢中になると、全員でどうするかを検討し、
「……レイールさん、お願いします、ヤリッチ、ギガースを倒してください、私達がみんなを避難させます」
「ありがとう、俺を信じてくれて。全員のエルフが工場から避難出来たら、知らせてくれ、その後に工場を爆発させる」
「爆発ですか……、わかりました、急いでみんなに知らせます!」
エルフは走って工場内に散らばると、仲間に避難指示を出した。
知らせは猛スピードで広まり、拡散した。
サンマルとチルフは運良く工場の外におり、彼女らに不審な動きとわかるのは避けられ、見つからないように外に避難が始まった。
アリエルは意外とスムーズにいってるので成功を祈り、
「エルフは避難が始まったようよ、私も避難しますので、後はよろしく!」
「アリエルは避難してくれ、俺ひとりになったら、開始する」
しばらくしてエルフが冷のもとに、
「レイールさん、避難が終わりました。エルフは全員避難した」
「そうかい、よくやった、まだサンマルには気づかれてないようだ。キミも避難して」
「はい」
エルフは冷の指示で避難した。
「じゃあね〜」
「アリエル、またあとでな!」
アリエルも最後に避難をして残りは冷だけになった。
(残りはいない、よし始めるかな)
冷はアリエルが避難するのを確認し、まずはスキルを使うのが1番である。
(スキルで破壊するのが、手っ取り早いよな、そしたら新しいスキルもいいな)
冷は広大な工場を破壊するのに新しいスキルを考える。
(オメガランサーとグランドシェイカーで試してみたいな)
冷はスキル想像を開始してみる。
その場の発想で作ろうとしてしまうあたりは格闘家の経験がある冷ならではといえる。




