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 冷の急な話にエルフ女性商人は、どんな理由があるのか考えて、


「なぜでしょうか、鉱石との取り引きだけなら、我がエルフ族の国王、タリヌ王女に会うのが必要ですか。要件なら私が伝えますけど」


 エルフ女性商人は、冷に疑問の目を差し向けると、アリエルも同じでいったい何を考えてるのかと思う、隣の三姉妹も同意見となる。


「それがどうしても会いたい理由があります、伯爵からのお願いでもありまして、ここにいる3人の女性が関係しまして、伯爵の実の娘さんになります。つまりはこの3人は三姉妹となり、今後はシャーロイ家の伯爵になられる予定。近い将来にも伯爵は三姉妹を後継させると言われました。この三姉妹が近日中にもシャーロイ家の代表になるのなら、エルフ国のタリヌ王女に、一度お会いさせておくべきだろうとの提案です。いきなり後継者としてなるよりも、一度はお会いしておいた方が、今後の信頼関係も良い関係でいられるはずです。いかがでしょうか?」


 冷は三姉妹が後継するというのは単なるその場の思いつきであって、伯爵から直接言われたのは嘘であった。

 

(タリヌ王女に会うのなら、これくらいの嘘がいるよな)


「なんと、そこの3人は伯爵様の娘でしたか、これは失礼しました。そうなると話は別でして、私には判断できませんから、城に伝令します、そしてタリヌ王女からの返事を待ちましょう、よろし位ですね」


「そうしてください」


 女性商人は兵士に王女に伝えるように伝令させた。

 商人は三姉妹がシャーロイ家の血を引くとは想像もしていなく、丁寧な態度に変わった。

 その三姉妹、ルテリはちょっと面をくらった形になり小さな声で冷に、


「ちょっと冷……こんなのは私はきいてません……後継だなんてとんでもない、お父様はまだ元気です!!」


「嘘は悪かった、けどこれで王女に会えるなら、結果的にはいいだろう」


「……無理するで、ございます〜」


「そうだもん〜」


 ルクエ、ルビカも不満顔に。


「ここは俺に任せろよな」


「かなり不安になってきたことよ」


 アリエルは顔色が悪くなる。

 冷のその場しのぎの思いつきに、失敗したら命が危ないと考えたので。

 少したち兵士が戻ってくると伝令を女性商人に伝える。

 商人は頷きをいれて、


「話は決まりました、タリヌ王女が呼んできなさいとのことです。私があなた方を城に案内します」


「ありがとうございます」


 そこで冷はアリエルに、やったぞと合図を送ると、アリエルは余計に顔色が悪くなるのであった。

 エルフの国にある城、タリヌ王女は兵士からの知らせで冷達を待っていて、新たな鉱石が欲しさであった。

 冷達を連れた商人が王女のいる部屋に、


「タリヌ王女、入ります」


「入りなさい」


 タリヌ王女の許しを得て入ると

、神聖な神殿の作りに冷も声が出ない。


(ああ、すげぇ立派な神殿だな)


「こちらが商人の冷とアリエルです」


「はじめましてタリヌ王女、冷です」


「ようこそ冷」


 冷とアリエルは深く頭を下げる。


「そして、こちらの3人が次の伯爵となられることになった三姉妹の長女ルテリです」


「はじめましてルテリも申します。近い日には私が父に代わって新しい伯爵となります。今日は王女にご挨拶に来ました」


「ルテリさん、伯爵になること、おめでとうと言っておきます」


「王女にいきなりですが、質問があります、緊急に大量に鉱石が必要とのことと聞きました。今までそのような取り引きはなかったと思いますが、理由があるのですか」


「いいえ、全くありません。シャーロイ家が心配なされる理由はありません。ただ鉱石を備蓄しておきたいと考えています、それに調合の研究で必要になったのです。新しい調合薬を開発しておりまして、その過程で足りなくなったわけです。では鉱石の方はよろしくお願いします」


「わかりました王女、緊急に用意しておきます」


 ルテリは王女の顔色を見ながら質問してみたが、王女は全く変化はなかった。

 その後に次女ルクエ、三女ルビカも挨拶をかわし、形の上での挨拶は終わった。

 しかし単純に挨拶に城まで来たのでないのであり、冷にとっては王女の本音、本当は困っていること、それを聞き出しかたかった。


(う〜んこのままでは城まで来た意味がない。俺が切りだすしかないな)


「あの〜王女、エルフ族からはとても神聖な魔力を感じます……」


「それはエルフ族が聖なる種族だからでしょう、能力も聖なる魔法を使えます、きっとあなたもそれを感じたのです」


「おや、それなら変だな、聖なる魔力ともう一つ、邪悪な魔力も感じるなぁ……」


 冷は王女に対して失礼だとわかってはいたが、質問した。


(ここは嘘でもいいから、ふっかけてみよう)


「……じ、邪悪って……そんな風な魔力はあるわけないですよ、なにを言ってるですか、きっと勘違いでしょう」


「勘違いかな〜、どうも私には魔族、それも強力な、う〜ん魔人クラスの魔力を感じてしかたない。おかしいな〜」


「ま、ま、魔人っ! そんな魔人の魔力があるとしたら、大変ですし!」


 明らかに王女の顔色が変わったのを冷は確認し、王女がやはり魔人ギガースと関係していると断定した。


(間違いないな、王女は魔人ギガースと関係してるな、もう少しだけ迫ってみよう)


 


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