表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
206/351

204

204



 城にあると言われる結界魔法の入り口を案内されると、冷は外の庭のどこかにあるのだろうと考えていたが、案内されたのは城の内部の部屋で、兵士に厳重に警護されていた。


(まさかこの部屋の中に入り口があるのだろうか……)


 伯爵が来ると兵士は敬礼し扉を開き、


「伯爵様、どうぞ」


「こちらは冷とアリエルだ、娘の三姉妹も入る」


 冷も部屋に入るとじゅうたんが敷かれていて広く、テーブルや椅子は1つもなく、扉が真ん中にポツンとあって、入り口らしき扉で冷は見つめている。


(これが入り口の扉なのかな)


「冷、アリエルさん、この扉がエルフの国に繋がっています、気をつけてください、異変があれば戻ってきて構いませんから。そして娘をよろしくお願いします」


「わかってます。決して無理はしません、鉱石を持って行きますので」


「伯爵、またね」


「アリエルさん、ここに帰って来るのを待ってます」


 伯爵はアリエルにも別れる告げると娘にも、


「気をつけてなルテリ」


「はい」


 ルテリと同時にルクエ、ルビカも返事をした。

 そして兵士によって扉が開かれると冷達は扉をくぐった。



 扉を一歩通過したら、そこは薄暗く狭い空間で冷は辺りを見回しながら混乱した。


(本当に一歩進んだだけで、違う風景の場所に来ちゃった)


 冷が現れるのを待っていたかのようにエルフ族の兵士が数人で立ちふさがると長女ルテリに、


「あなたは、シャーロイ家の代表ですか?」


「はい、シャーロイ家の代表で来ました。初めて来ましたが、交易をお持ちしてます」


 ルテリはシャーロイ家の家紋をみせてエルフ族の兵士を安心させると冷を見て、


「あなたは初めて見る顔でありますが?」


「商人は今日は体調が悪くあいにく来れません。私とこの女性が代わりに交易を担当しますのでよろしくお願いします」


「よろしくお願いします」


 冷に紹介されてアリエルが挨拶し、そこへエルフ族の商人が呼び出された。

 アリエルは持ってきた鉱石を差し出し、


「こちらが鉱石です、どうぞ」


「間違いないです、私達の調合薬は待ってきますので、こちらへどうぞ」


 商人が冷とアリエルへ合図を送り、ついて来るようにして、冷達はエルフ族の商人についていった。

 

(疑われてないようだな、シャーロイ家の家紋を出すと完全に信頼されたんだな)


 エルフ族の商人はほこらから出ると空が澄み渡っている地に出て、商人用の建物に案内される。


(ほこらから出ると外か。あれはギルド店のような店構えだな) 


 商人ギルドと描かれた店に入ると、男性、女性の商人で、エルフ族商人がいて棚に薬品を大量に並べていた。


(やはりエルフ族はみんな耳が長いな)


 そこでは冷とアリエルが紹介されてお互いの物品を交換し、お互いの利益になることを確認する。

 しかし冷には残念ながら鉱石も調合薬も価値があるのかないのか、どれほどの価値があるのかをはかる基準がなく、ありがたみがなかったのでアリエルにそっと訊いてみることに。


(俺にはただの石と薬にしか思えないが……)


「なぁアリエル、これって普通の石を沢山集めただけだよな」


「バカね、きっと彼らが必要な石なのよ、おそらくは調合に優れているようだからエルフ族は、調合する際に使うのかもしれない」


「なるほどな、意外と頭いいな……」


「いちおう女神ですけど!」


「ばか、声が大きいよ……」


 冷に言われて、つい大声で女神と言ってしまうとエルフ族商人に、


「えっと……め、女神とか言いましたか?」


「あっ……違います、女神のようにエルフ族の女性は美しいわ〜て言っていたのです……」


 アリエルは適当に思いつくまま、言い訳をしたらエルフ族商人の女性は、


「あら、ありがとうございます。今後も取り引きは継続して欲しいのです。それともう少し、いいえ、もっと大量に鉱石が必要性がありまして、近日中に用意できませんか?」


「鉱石でしたら、用意は可能でしょう。だけど急に必要性があるのはなぜですか、詳しい理由を教えてもらいたいのです」


 アリエルが思ったのは鉱石が必要なのは、ヤリッチなどに大量に回復系の薬品を作らされているのと関係があるのかと思ったから。


「詳しい内容は教えられません、あなた方が気にする必要もないです、こちらはどうしても大量に鉱石が欲しいので、伯爵様にお伝えください。もし取り引きが不可なら、与える調合薬を増やしてもいいです。人族側にとっても決して不利な条件ではないでしょう、近日中にもお願いします」


「伯爵には取り引きの増量の件、伝えましょう。ずいぶんと急なようなので、きっとエルフ国内に何らかの異変があったのかと思いまして、私の想像でしたが、考え過ぎのようでした」


「あまり気になさらなくていいです。せっかく来たのですから、飲み物でも飲んで休んでいかれたらどうです」


 エルフに飲み物をすすめられて、取り引きは終わったかにみえたが、そこで冷が新たに交渉を、


「飲み物、ありがとうございます、ぜひいただきますよ。それとひとつこちらから話したいことがあります」


「なんでしょうか」


「エルフの国の王に会わせてもらいたいのです」


 冷は鉱石の取り引きから話が急な展開にもぅていき、エルフの商人は王に会わせての意図がわからなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ