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 軍師コロナの驚きに対して冷は、やっちゃった感を感じていて、


「いや〜〜、全部俺が聞いた話なんですよ」


「誰に聞いた話かね」


「それは国王にも内緒です、ある人に教えてもらったので」


「嘘であったらどうなる」


「俺をどこまで信じるのかですかねハンマド国王」


 冷が国王に言うと国王は苦しい顔になり、


「嘘であらば問題はないとして、本当であっならば、どうなる。エルフ族と魔人、それも中級魔人ギガースが関わっていると、そしてヤリッチとエルフの国を支配していこうとしていると考えていいのか!」


 国王の考えにアリエルが、


「鋭いです国王、まさに冷が言おうとしていたのはその点です。ギガースがヤリッチと、もしかしたら利用して、エルフ族の支配しつつある。それが何を意味するのか、考えようによったら危険ですよね、すく隣にあるエルフ族の国で魔人ギガースが動いている。それも秘密裏に、国王の知らないところで、そうなるとエルフ族の間で戦争になるてなるかも。エルフ族は基本的に平和な種族らしいですが、ギガースが操り襲ってきたらどうしますか、冷はそう言いたかったのでしょう」


「エルフの国と我が国との戦争か、それだけは避けたい。魔人、魔族ですらいっぱいなのに、これ以上の問題は抱えたくない」


 国王がギガース、エルフ族と言い頭を抱えると隣の娘であるビジャ姫が、


「冷、あなたはバカにされてでも私達に知らせようとしてくれたのですね、感謝します。今の話ですと魔人ギガースと戦いになりうると、そしてそのために王都に来たと。しかし分からないのは、最初に冷が言いましたシャーロイ家の三姉妹をくださいとのこと。まるで三姉妹とギガースが関係しているみたいに思えますが、繋がりがみえません。詳しく教えて欲しい」


 ビジャ姫はコロナと違い冷に好意的にとらえていて冷はビジャ姫に向けて、


「そ、そうなんです、ビジャ姫、俺はアリエルが言ったのが言いたかったんだ、それでなぜ繋がりがあるかと言うと、エルフ族の国にはエルフ族しか入れないそうでして、中から結界魔法を作りだし人族は通過できなくした。しかし国王は知らなかったのかもしれないが、ごく一部の人族でエルフ族との間に繋がりがあり、物と人が行き来していたとしたら、俺の話は噓ではなく真実みを帯びてきますよね」


「ごく一部の人族……それがシャーロイ家か。あそこは古くから貴族の名家、資産も多く持っているが、エルフ族と交易して儲けていたのだろうか。それなら話が通る」


 国王が冷の話に初めて頷き納得をしたのをみた軍師コロナは、


「国王、確かに最近、変な噂を耳にします。国内の複数の町でエルフ族の姿を見かけるとの報告をギルドから。そして町の中で出店をだして回復薬や治癒役などを販売していると、エルフ族は国内にもともと居ましたし、彼らは特殊なスキル持ちで薬を販売していました。最近になり急激に大量に安価な回復薬が出回りだしてるとの報告も。何かしらの冷の話と影響があるのでしょうか」


「エルフ族とは争いはなく、少数のエルフは商売して成型を立てていたが、ヤリッチとやらの影響を受けているのかな」


「国王の言われたのは俺の情報と同じです。間違いなくエルフが国内に入ってきていて、それもヤリッチからの指示命令でして、エルフは過酷な労働をさせられていると俺は感じました。きっとエルフの国でも強制的に過酷な労働をさせていても不思議ではないです。それを俺は止めさせてやりたいのです。お願いします国王、俺にシャーロイ三姉妹をください。そうすれば、エルフの国に行くのが可能になります、すでに俺はシャーロイ家の城に手を打ちました。三姉妹を戻してくれれば、エルフの国に行く結界魔法を通過させてくれると約束しました。三姉妹を殺すのは簡単ですが、利用する方がいいのでは」


 冷が三姉妹を欲すると国王は、


「うん、利用価値があるのなら利用するのもありだな。国内にも悪影響が出ると困る。エルフが余りにも多くの商売をしたら国内にいる薬の調合士や商人が失業してしまう。そうなったら大問題となりかねない。国王としては放っておけない問題だ。冷には三姉妹を渡そう、それでエルフの国に行き、問題を解決してくれ」


 国王が決断したのは冷にヤリッチ、ギガースは任せたとも受け取れ、国王も冷なら何とかしてくれるとの期待もあり、場合によっては騎士団を援軍で送るのも考えていた。

 

「ありがとうございます国王」


(何とか話は通じたようだな)


「ありがとうございます」


 アリエルも冷と一緒に頭を下げる。

 

「頑張ってください冷!」


「任せてくださいビジャ姫!」


(おお、姫からのエール!)


 冷が喜んでいると魔術士ラインから反論が、


「お待ちを国王、冷に三姉妹を渡すのは問題です。彼女達は重罪人、開放したら国民からは避難を浴びるでしょう。絶対に開放してはなりません。エルフの国がどうなろうと我が国が手を差し伸べる必要性はありません。むしろ下手に手を出してギガースと接触し、争いにまで発展したらそれこそ一大事となります。ギガースは中級魔人、関わらないのがベストでしょう。冷の話に騙されてはいけませんね」


「うん、ギガースとは争いにはなりたくないのは本音だ。しかし、このままエルフの国が被害にあい、攻めてくると手遅れになる。待って様子をみて、手遅れになるよりもこちらから冷に行ってもらい、エルフの国が安定してくれる方を優先したい。コロナ、ラインの心配はわかった、冷の今までの活躍した経験を評価したい、そこで必要なら騎士団を用意しておこう」


「こ、国王、リスクが高すぎますよ、失敗は惨劇を生む、懸念材料が多すぎです。しかも中級魔人ですよ、ギガースは」


「ギガースが危険なのはわかる、しかしこちらにも冷がいる。全く手が出ないことはないだろう」


 国王はコロナの反論を退ける形となり黙ってしまうと冷は、


「こちらには俺だけでなくガーゴイル、ゴーレムもいるでしょ。ギガース軍がどれだけの戦力かはまだはっきりしませんが、俺も用意はしてます」


 冷も戦力では負けてないとしたら、ラインは不敵な笑みを浮かべる。


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