表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
200/351

198

198



 ハンマド国王は室内で、くついでいると兵士から連絡があり、アリエルの件なのだが、その内容を伝えるとびっくりして会うとしてアリエルと冷を応接間に案内させる。

 席には国王の他、軍師コロナ、魔術士ライン、ビジャ姫と冷も良く知る顔ぶれに。

 国王は黙ったまま冷とアリエルと向き合い、


「…………お願いがあるキミたちに」


「お願いとは……」


(国王からお願いとは……)


「どうぞ、女神は何事もこばみませんことよ」


 アリエルも国王からの言葉を待つ、応接間にいる兵士もツバを飲み国王は口を開くと、


「また、魔人と戦うとか言うのなら、怒るぞ!」


 魔人と戦うのだろうと、国王も何度も経験しおおかた冷の行動パターンが読めてきていて、冷は笑いながら、


「俺って魔人とペアに思われてるのですかね、そんな風に思われても困っちゃいますが」


(魔人と俺を簡単に結びつけられる時代になったのか)


 冷が笑いながら言うと、軍師コロナは国王の手前で、失礼な奴だとムカつき冷に対して、


「困るのはこちらだよ、で、どうなんだ目的は何だ言いたまえ!!」


「コロナさん、怒るのはまたにしてください。今はとても重要な話があって来たのですから。凄く重要なんです、俺が言うと信じてもらえないかもしれないが、この国の国益に繋がる話です」


「キミの話は、良からぬ話に決まっている。いつもいつも国王を困らせて!」


「コロナさん、怒ってます?」


「キミを王都に出入り禁止するのを国王に言っていたところだったのだよ」


「それは困るよな、王都には色々と用事もあるし」


「こちらは、いい迷惑なんだよ」


「すみません……」


(俺をよほど嫌っているなこの人……)


 軍師コロナが冷に敵意を向ける。


「我が国の利益に関係する話なのだな、言ってみなさい、このハンマドは冷の意見なら聞いてみたい」


 国王はコロナが冷を嫌いなのは薄々わかっていて、しかし冷の利益の話には無視できないのを感じていた。


「えっと……いいんですか、話します、直接いうとですね、王都で牢獄されてるシャーロイ家の三姉妹がいますよね、お元気ですか」


(もちろん生きてないと話が進まないから)


「あの三姉妹なら、牢獄にいるが、何かしらあるのかな」


「三姉妹をください俺に」


(どう言っていいかわからないから、くれると言えばわかるかな)


 すると国王は口を開けてしまい、


「はぁ……キミは三姉妹が何をしたのか理解しているのかな。我が国に反逆した罪にあたるのだよ、キミの仲間にしたゴーレムは特別にキミが管理するとしてあるが、三姉妹は別だ。いづれは刑をかすつもりだ。だからくださいと言ってもダメだな。いくらキミの頼みでも」


「やっぱりダメか……」


(俺って説明するの下手かな)


「あはははは、バカか、無駄な時間だったな、無駄だとわかればとっとと帰るんだな」


 国王に断られた冷に浴びせたのは魔術士ラインで、彼の笑いは応接間中に響く。


「まいったなアリエル、どうするかな?」


「あなたはバカよ、あんな言い方じゃ伝わらないでしょうが!」


「でも、わかりやすいかなと……」


(単純明快に言ったつもり)


「もう少し詳しく説明しなさいよ!」


 アリエルに説教された冷はもう少し具体的な内容を考えてみて国王に言うことにして、


「えっと……国王、三姉妹をくださいと言ったのには、とても重要な理由があります。理由はエルフの国が危機に瀕していること、現在のエルフの国は魔商人ヤリッチが実質的に支配していまして、エルフ族を救ってあげたいのです」


「…………なんだと、魔商人ヤリッチ…………、知っているかコロナ?」


「はい、名前は知っております、魔族であり悪名高いと聞きます。ヤリッチは商売にかけては天才的な感性を持ち、莫大な財産を築いているとか、それに売ってる品も酷く粗悪品だったり、詐欺ぼったくり、といい噂は聞きません。エルフ族と商売しているのは知りませんでしたが、我が国が救う必要はないでしょう。エルフ族とは関係ありませんから」


 コロナはヤリッチの名を知っているが、冷の心配には関心なく、

国王には無視していいと言うと国王は、


「魔商人ヤリッチが何をしているか知らないがエルフ族を助けるのはない。下手に手を出して魔族と戦いになっても困る。もしかしたら強力な魔族を控えているかもだ、関わらないでおこう」


「それならバックにいる魔族ならもうわかってます、魔商人ヤリッチは国王の思った通り魔族が、それもヤバイらしい相手だそうですよ」


「誰だろうか……言ってみなさい」


「魔人ギガースだそうです」


(言ったら驚くのかな)


「…………」


 国王は沈黙したまま何も語らないとコロナが、


「…………、なんだと、ギガースだと! 嘘ではないだろうな、本当にギガースなのか、なぜわかるキミに、エルフの国には確か行き来するのが不可能だとされてるのだぞ」


 軍師コロナは声をあげて冷に質問すると、国王、魔術士ライン、兵士の顔は青ざめていて、冷は失敗したかなとなる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ