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シールドは自信はないが、ある考えがあり、冷にもチャンスの目があるとの内容で、
「まず、冷はシャーロイ姉妹をしっていて、ゴーレムとの間で交わされた前回の戦いの後に、姉妹は国家に反逆した罪を負わされてますが、シャーロイ家の人も姉妹を救いたいはずだし、願っているでしょう。そこで冷が国王に姉妹を助け出せばシャーロイ家も喜ぶと考えられ、借りができます。借りがあればエルフの国に行く入り口を使わせてくれるくらい、あってもいいでしょう。姉妹を利用してエルフの国に入るのです。しかし国王が何と言うか、簡単に姉妹を重罪から開放するとは考えにくい。冷は姉妹を助け出すしかエルフの国に行く方法はないのでは」
「国王に会って姉妹を助ける、その見返りで入り口を使わせてもらうのはいい考え。しかし冷にそんな大役がつとまるかどうか……」
「アリエル……俺を過小評価したのなら後で後悔する、俺が直接シャーロイ家に乗り込んで交渉してやろう。エルフの国に行けるのを条件にな!」
(とは言ったものの、自信はないけど)
「凄い自信、そして頼りになる。冷さんの噂はやはり正しかったのとすね」
「メドメール、あまり信用してはダメよこの男を」
「いいえ、私は信じます、冷さんを信じます、お願いしますから、シャーロイ家の貴族との交渉、成功を祈ってます!」
メドメールはリリスに信じないように言われても冷に信頼してみるとし冷は、
「これから直ぐにでも出発するとしよう。俺が必ずエルフの国を救う糸口を掴んでみせる!」
(メドメールに良い所をみせたいのもある、可愛い子の前出は特に)
単純にメドメールが可愛いから頑張る冷であったが、張り切って出発する前にゴーレムから、
「糸口を掴むのはいいとして、あなたシャーロイ家の城がどこにあるか知ってるの?」
「…………知らなかった……」
(城の場所は知らなかったよな)
「これだからな……大丈夫か」
「ゴーレムは知ってるのかい」
「知ってるとも、城に行って姉妹と話し合ったのだから。教えてあげるのは簡単さ。しかし私はシャーロイ家を騙して姉妹を戦いに向かわせたと思ってるだろうから、私が行くと顔を見ただけで、復讐心に火をつけてしまう。だから別の誰かに行って欲しい」
実際にゴーレムの件でシャーロイ家はゴーレムに逆恨みしていて、二度と会いたくないし、疫病神と言われていた。
「ゴーレムは行くと不味いか、そうなると誰か俺と行ってくれるかな」
(ゴーレムが行って争いになっても困るしな)
「ギャン、シールド、ボーガも同じ仲間ですからやはり無理でしょう、ここは女神の出番!」
「アリエルが……それこそ大丈夫かよ」
「貴族に対抗するとしたら女神でしょう」
「……………………」
アリエルの積極的な姿勢に他のメンバーは沈黙し、アリエルに対する信頼が冷と対して変わらないのが露呈してしまったのであって、
「えっと……みんな私が行くの心配?」
「冷とアリエルの組み合わせが心配です」
「俺も心配かも」
(頼りにならない女神だもんな)
「そこまで言われたら意地でも城に行きますから!」
アリエルは声を上げて行く意志をみせると、メドメールは驚いて、
「えっ!! 女神……………………てあの女神なんですか、なぜこの地上にいるの」
「諸事情があって、地上にいるの。理由を話すと長いけど、エルフ族に協力するのを約束します」
「神がエルフ族に協力……どうもありがとうございます……」
メドメールは神がなぜ居るのかさえわからないまま、シャーロイ家の城に行くと話はまとまり、冷はスキルガーゴイルの翼を出し、アリエルを抱っこした。
「メドメール、俺が帰って来るまで待っていてくれ。しっかりといい仕事してくるからよ!」
「お願いします、冷さんアリエルさん」
出発前にゴーレムから城の正確な場所を教えてもらうと、準備は整い、飛行状態へとなり、
「みんな、行ってきます〜!」
「くれぐれも、シャーロイ家に迷惑かけるなよな!」
リリスに言われて、ガクッとアリエルを落としそうになり、冷に文句を言うアリエル。
その関係にガーゴイルがうらやましそうに、
「う〜ん、アリエルったらズルい〜〜〜〜!」
「ガーゴイルにはかなわないわ…………」
ガーゴイルの危機感のなさには、周りはドン引きしていた。
上空に飛び立ち、シャーロイ家の城に向かって飛行していく。
飛行中は意外と楽しい。
アリエルのお尻に手を伸ばすと丸い感触が手のひらにきて、冷は裕福な気持ちになるもアリエルに、
「少し触り過ぎのような、冷くん!!!」
「あっ、そうでしたか、すみません!」
(気づかれたか……)
あ シャーロイ家の城は冷の道場もあるピルトの町と同じ国の南部に位置していて、南部一帯を古くから強い権力で支配してきたのは、大貴族と言われる所以であった。
金と権力を握りピルトの町の誰もが知る貴族であり、名前を出しただけでひれ伏すだけの力を持っているのを知らない冷は、特別に緊張感はなかった。
(貴族て言われてもイメージは良くないよな)
アリエルにとっては女神の方が格上だた認識しており、神だと名のれば交渉は進むと考えて、余裕しゃくしゃくで抱っこされていた。
アリエルにはエルフ族も人族も下の位置にある種族となっていて、逆らう人族はいないだろうとの読みである。
ごう慢だと言えるアリエルの考えと、冷の自信過剰が重なり、城にちかづいていて、
「あれが城だろう……ひときわデカいし、まず間違いないよな」
「うん、降りてみましょう」
着地すると門番が立っていて、なぜどこから来たのかとなり、
「おい、お前ら、今空から降りて来なかったか?」
「降りて来ましたけど」
(門番が居る家なんて、普通に考えたらめっちゃ金持ちだよな)