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優雅に快楽のまま空中ハーレムする冷は、このまま到着しなくてもいいと考える。
(このままいたいから少し速度を落としてもいいな)
だがアリエル達が待っているのもあり、悠長なことは言ってられない。
少しでも早く帰るのが先決なわけで、速度を落とさずに目的地に飛んで、途中には一度経験した大きな谷も通り過ぎる。
この谷で人族は行き来出来ないでいた。
そのかいもあってか、まずまずの時間で目的地であるゴーレムの住んでいた地に到着し冷は、
「確か……この辺にあったよな君が居たのは?」
(ゴーレムと戦った記憶からするとここら辺だったはず)
「ああそうね、ここで降下して」
「オッケーです」
冷はゴーレムの指示通りに地に着くと、2人を優しく放してあげた。
胸から手を放すことになるのが寂しくなる。
(もう胸は触れないが)
「ガーゴイルには負けたくない、最低でも60匹は集めたい」
「別に競う必要はないよ」
「私に負けるのが嫌なのねゴーレムは」
「絶対に60匹以上は集めますから!」
「そう言って10匹だったら笑いますけど」
「なによ、さっきは冷が私に夢中になってたのをうらやましがってたクセに」
「だって冷は私の方が良いのよ。そうよね冷?」
なぜか話がガーゴイルの体の方に向かう。
「いやいや、その話はまたにしようか。今は魔物を集めるのに集中しようよ」
(同じ魔人だからなのか、やたらと張り合う気がするが、俺にはいい迷惑なんです)
「わかってます、ここでお待ちを。直ぐに集めてきますから!」
「頼む」
自分の住まいに帰ったゴーレムは早速に魔物を呼び出す。
魔物にはガーゴイルと同様に、人族の言葉は通じない。
ガーゴイルが鳥魔族を50匹も集めて、冷から喜ばれていたのもあり、魔人としてのプライド、同じ中級魔人であるから負けたくないとして、張り切るゴーレムであった。
その場で待つことにしていると、辺りから魔物達がぞろぞろと出現してきて、主であるゴーレムの帰りを待っていた為に走って集まる。
その数はゆうに200匹を超えていてゴーレムは、
「みんな待ってたのね、急に居なくなって心配したでしょう。しかし今日はむかえに来たの。私に力を貸して欲しい。でも相手は人族ではなく魔族になる。同種族で争うのがメインに。さらに今後は上級魔人ともぶつかるのも視野に入れてる。それでも力を貸してくれるのなら私についてきて」
ゴーレムは集まった魔物に正直に嘘なく伝え、それでどれだけ残るかに賭けてみる。
今までは、かたい結びつきできた、人族を滅ぼす、ゴーレムを魔族の伝説にする為に、犠牲を払うのを惜しまなかった。
状況は変わり、ゴーレムは人族側の冷に属していて、逆の立場と言ってもいい、そこについていけるのかと魔物は考える。
ゴーレムの変わりみに裏切りだと判断した魔物は去っていくしかなく、残念ながらお別れとなる。
魔物にとっても辛い選択を迫られ、1匹が去り、1匹が残るのを繰り返す。
お互いに様子をみなから行動していき、最後に残った魔物がゴーレムに忠誠を誓ったとわかる。
しばらくして結果は出る。
ゴーレムは残った魔物を連れて冷のいる場所に戻り、結果をみせなければならなく、緊張した姿で現れる。
「お待ちどうさま、これが私の魔物です」
ゴーレムの後ろには魔物の軍勢が冷の目に映る。
「おお〜〜! けっこうな数が居るぞ。何匹居るんだろう」
(ガーゴイルと比べてもひけをとらないだろう)
ガーゴイルは負けたくない一心で数を数えて、
「ご、ご、50匹いる」
「へぇ〜〜、そうするとゴーレムはガーゴイルと同じ魔物の数てわけだ」
実際に50匹いて、ほぼ同じ数と言え、ガーゴイルも悔しがる。
負けてはいないが、勝ってもいないが勝ちたかったのは表情に出ていた。
「残念ながら私の場合も去っていく魔物が多かった。やはり魔人との対戦と伝えたら、動揺したのでしょう」
「勝負は引き分け。冷に良くおもわれたかったのに、今回はお預けだわ」
「なんの勝負だよ、そこは比べなくていいのだよふたりとも。魔物にはさっそくだが、町に行ってもらおう、ガーゴイル頼むよ」
「わかってる。私の出番よね」
ガーゴイルは返事をすると魔物に合図を送り、魔物はゴーレムの後ろに居る魔物の上にきて、体にしがみつき落ちないように固定すると、準備は整った。
「準備はいいな、帰ろうか!」
「また抱っこは!」
「またかい〜」
(おいおい、ガーゴイルめ、俺に抱っこして欲しくてしかたないようだな)
ガーゴイルのおねだりにゴーレムは、
「そ、そ、それなら私にも頼むよ……抱っこを」
「ゴーレムまでおねだりしてくるとはな、わかってるよ、ふたりとも抱っこしてやる」
冷はふたりとも抱っこして上空に飛び立つと、胸の感触を楽しむ。
(こうなると、魔人とはいえ、人族の女の子と変わらないじゃないか)
冷が二人を抱きかかえ、上空に羽ばたく。
魔物が魔物を運ぶ姿は滅多にない光景であり、冒険者が下から見たら何事かとなるだろう。
偶然にも冷達の下、通り道にいた冒険者は魔物の大軍だと騒ぎになり、騒然となっていたが、冷はお構いなしに飛行を続ける。




