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 ザバスが去っていき残るガーゴイルに尋ねてみる冷、


「他の魔物は会話能力があるのかい、ザバスだけは人族に見た目も近くて会話能力あるけどさ」


「ザバスだけです人族と会話できるのは。ザバス以外のここに居る全魔物は会話能力はない。ザバスと私は魔物と意志を伝えるあえるのよ。冷には難しいでしょうね。人族と魔物とは会話は無理ですから」


「そうなのか、上級魔人の名を出したらザバスの顔色が変わったな。あまりいい感触しなかった」


(明らかに嫌な顔をした。上級魔人となると今の戦力では難しいのかもな。ますます魔物を戦力としたい)


「……冷には悪いけど接触しない、それが先決。冷の場合は接触するなと言っても接触する運命にあるのかも。なぜか短期間で次々と魔人と戦ってるのだから。恐らく……上級魔人も情報は得ているはず。だからこそ戦力の強化は必須よ」


「俺の情報を上級魔人が得ているか、それはせんこくしょうち、いつ出会ってもいいと考えてるよ。今さら怖がってることはない」


(でもガーゴイルが怖がるなら、ちょっとヤバいかもな)


 ガーゴイルから避けるようにと言われて少しだけビビる冷。

 彼女の気持ちは察した。

 出来る限り上級には近づくのは避けてと伝わるも、安心させる意味で強がって言った。



*

 

 ガーゴイルからの頼みとなりザバスは急きょ魔物を招集。

 魔物にわかる伝達法でつたえるとぞろぞろと囲むようにして集まる。

 ザバスが言うにはガーゴイルが現在この森に来ている、魔物達の力を借りたい、忠誠のある魔物はガーゴイルとともに行動する、もちろんザバスも従い行動、相手は魔人ギガースらしいと、今後は上級魔人とも交える可能性がある主旨を伝える。

 魔物にも分別はある。

 ガーゴイルには忠誠するのは今までと同じであろう。

 当然に行動を同じにしたい気持ち。

 ガーゴイルの為なら死んでも惜しくはないとなる。

 しかし相手はギガースとなると苦しい顔になる。

 なぜなら同じ魔族である。

 人族ならいつでも戦う準備は整っているが、同族となると嫌がるのは習性とも言えた。

 魔族どうしが戦うのは経験がない。

 人族を倒すのが習性であって、人族と仲良くして同族と殺しあうのは、魔物からして不自然な行動だった。

 ザバスはある程度の拒否反応が出るだろうとは予想していた。

 無理もないと。

 数百以上集まる魔物達のなかで、どれだけの数が忠誠をみせるのか。

 本人達が決めるまでザバスにはわからないし、無理やりに説得させるのは嫌った。

 なぜならザバスと同じ魔族であり、長いこと一緒にガーゴイルといたわけで、強制的に連れていくのはザバスには無理があった。

 それに魔物にも性格、個性がある。

 無理に連れていき、忠誠心が薄れて面倒を起こすことも考えた。

 ガーゴイルに迷惑をかける魔物も出てきかねない状況。

 それならば初めから置いていく方が賢明な判断となろう。

 魔物を忠誠させるのは難しいのは知っている、ザバスに忠誠する魔物は少なく、ガーゴイルだからこそ忠誠したいとなるのが圧倒的に多い。

 それだけガーゴイルを慕っていたわけだ。

 時間をおいてザバスは決意を求める。

 実際にどれだけの魔物が忠誠をしてくれるのかを。

 すると1匹、また1匹と飛び立つ魔物が現れる。

 その数はしだいに増えていき、集団で去っていき、集まる数は減っていった。

 ザバスは黙ってそれを見送る。

 苦しいがあとどれだけが残ってくれるのかが勝負となる。

 どんどんと魔物は飛び立つのが目に入る。

 やはりザバスの予想通りに魔物にも好き嫌いがある。

 人族相手なら喜んで忠誠するだろうが、魔族とは戦いたくないとなった結果であろう。

 数百いた魔物はみるみる内に減り続けると激減し、残りは数十匹しかいなかった。


「……けっこう、減りましたわ……」


 

*


 

 ザバスが残った魔物を引き連れてくる。

 ガーゴイルのいる地点に向かい到着すると、


「ガーゴイル様、お待たせしました。残念ながらこの数しか集まりませんでした。魔物達に理由を伝えると激減してしまいまして、このありさまに。情けなくなりました」


「これだけ集まるのなら文句はない」


 ガーゴイルは全く動揺はなかった。

 そして冷はザバスに、


「ここに来た魔物は忠誠心が高いとみていいのだよね」


「はい、ガーゴイル様に忠誠しているものばかりです。きっと最後までガーゴイル様にお付きするでしょう」


「全部で50匹はいるかな」


(50匹いれば十分だろう)


「ガーゴイル様のお帰りを待っていたのですから、どうぞお声を」


 ザバスにお願いされたガーゴイルは魔物を前にして、


「みんな良くぞ残ってくれた、感謝しているぞ。魔族と戦うのは嫌かもしれないが、私の為だと思って嫌がらずについてきてくれ!!!」


「ウオオ〜〜〜〜〜」


 魔物は返事を声で表した。

 ガーゴイルの為なら決意はあると冷には聞こえた。

 もちろん声を理解できないが、なぜかガーゴイルを慕うと感じた。

 冷にはこれだけいれば十分に戦力となる気がした。

 ただし、現段階ではまだ魔族の一員に過ぎない。

 冷の組織の一部になったわけではなく、仮の戦力。

 

「50匹集まるのであれば、ありがたいよ。みんながいる町に戻ろうか」


(俺の予想を超えた数だよ。たぶんみんなも同じじゃないかな)


「これしきの数では、偉そうにはしてられない。町に連れていってからが大事になる。ギルドにみせてみてなんというか……」


 ガーゴイルの心配はギルドのユズハが驚きはしないかという点であった。

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