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 ギガースとの食事は圧倒的に優先される。

 他の者はギガースの好物だけを調理して怒らせないように配慮。

 お客様をもてなす感じ。

 エルフ族はなるべく音を立てずに配膳する。

 テーブルは豪華な料理が並ぶ。

 ギガースはヤリッチ、エルフ族タリヌ女王と会食。

 タリヌ女王はギガースを前にしていると、


「ギガース様、回復薬の件ですが、確認しておきたいのです。よろしいですか?」


「確認とは……」


 ギガースは食べながらタリヌ女王をみる。


「はい、現在の回復薬の原料、薬草ですが現状ですと足りなくなります。もし回復薬を増量するなら、原料の薬草も増量する必要があります」


「薬草が足りないか……。それなら薬草の農園を拡大しろ。ヤリッチに権限はあるだろう、即刻に拡大しろ」


 ヤリッチににらみをきかすと、ヤリッチは、


「す、す、直ぐに拡大します」


 ヤリッチはタリヌ女王の前でもギガースには頭を下げる。


「ギガース様、私の仕事が増えます」


 サンマルは回復薬の製造に関わっていたから。


「そうだよサンマル、頑張って回復薬に特殊効果を頼む、サンマルはスキルで調合し回復薬に体力最大値低下の効果を付与してくれ」


「はいはい、わかりましたよ、全く人使いが荒いこと……」


「これはギガース様が支配者になれるチャンスなのよ。この回復薬を使い続ければ奴ら、人族はハンパなく弱くなる。気づかないまま弱くなる。そのあかつきには、世界はギガース様の物になる。サンマル、頑張りなさいよ!」


「あなたもよチルフ! まぁあなたの場合は楽チンだけど、雨降らしてないけど、今日は降らす日でしょう」


「そうでしたっけ?」


 チルフは知らないフリをする。

 タリヌ女王がチルフに、

 

「えっと、チルフ様、今日は間違いなく雨の日です、よろしくお願いします」


「はいよ、降らしますよ!」


 サンマルはスキル持ち。

 ハイパーダウンを持つ。

 ハイパーダウンは魔力で調合して体力の最大値を低下の付与が可能。

 ギガースはサンマルを使い、ヤリッチに特殊な薬草を作らせていた。

 サンマルは農園でエルフ族とともに回復薬の製造に携わる。

 忙しい毎日を送っていたから更に増えるとなると考えてギガースに不満を言った。

 サンマルと同じくギガースの仲間のチルフ。

 チルフもまたスキル持ち。

 彼女のスキルはウェザーポイント。

 雨を自在に降らせるスキル。

 適度に農園に雨を降らして薬草に水分を与えていた。

 しかしサンマルは忙しいが、チルフの雨は適度なので、それほど忙しくはない。

 その為、サンマルがチルフを楽チンと言った。


 回復薬の原料は薬草。

 エルフ族の国に広がる農園で栽培している。

 エルフ族には薬草から回復薬を調合するユニークスキルを持つ。

 それを利用したわけで、人族はサンマルの魔力調合に全く気づいていない。

 品質が良いため、人族の冒険者から良く売れていて、リピーターとなり買い続ける者も。

 ギガース達との食事会は終わり、チルフとサンマルは薬草のある農園に、ギガースから


「チルフ、サンマル、私はいったんエルフ族の国から出ていくが、増量の件は任せたよ」


「はい、成長促進させるようにします。人族を破滅させましょうギガース様」


「はい、雨を降らすのは任せてください。薬草には雨が必要です。ぐんぐんと成長させましょう、そして、人族の国を滅ぼしてやりましょう」


「うん、そのつもりだ」


 ギガースはサンマルとチルフを残して去ることに。

 残された二人は逆らうことなく、指示通りに働くのであった。

 サンマルとチルフはギガースの側近であり、有能な魔族で下級魔人にも認定されている程の実力者。

 ギガースに対しては忠誠心は高く、エルフ族の監視もしている。

 ヤリッチとは今回のエルフ族の国を支配する件で対面した。

 それまでは交流はなかった。

 ヤリッチの方からギガースに接触してきて、話はお互いに利益を半分にしていくと決めていた。

 しかし時間がたち、回復薬の製造、販売が順調に進むと、ギガースの本音が現れてきて、最初の約束の半分は変わりつつあった。

 ギガースが欲を出してきて、利益はギガース側に多く流れる形に。

 ギガースは入ってくるお金が増えてご機嫌であるが、ヤリッチは逆。

 不満の残る会食となった。

 ギガースが強気で利益交渉してくるのをきにしていてる。

 このままだと利益は減り続けるのは目にみえてきていた。

 魔商人と呼ばれるヤリッチは、幾多の商売に加担してきた。

 経験からしてギガースとの契約は美味しいと考えたのだが、甘かったと反省する。

 巨人族のギガースは見た目はデカいし強そうである反面、頭は弱い脳筋だと考えていた。

 それが違った。

 ギガースはヤリッチの足もとを見ながら巧みに交渉を有利な方向にしてしまっていた。

 ギガースがヤリッチを上回る関係になりつつあった。

 


 

 タリヌ女王はギガースが居なくなるとホッとした。

 やはり中級魔人であるから、魔力量はとてつもない量。

 周りのエルフ族の護衛兵もしんどかった。

 近くにいるだけで殺される感覚。

 生きた心地がしない。

 死んだほうがマシなくらいに思えた。

 ギガースがヤリッチとどのような関係なのかは、わからないがギガースが立場が上なのは明らかにわかる。

 ギガースには逆らえないのは確実で、逆らえばエルフ族のほとんどは死に絶えると考えていた。

 王女としてそれだけは避けたいし、絶対に避けなければいけない。

 王女の責務だと思いとどめていた。

 国の存亡に関わる重大な使命をタリヌ女王は背負う。

 あまりにもキツい使命を。

 現状では逆らえない以上、薬草の栽培と収穫、回復薬の製造に全力を尽くすしかない。  

 エルフ全国民の命を背負った。

 

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