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 宿屋に到着して、難しい難題を前に考え込む。

 ネイルはいつもと違うメンバーの深刻さに声を、


「どうしたのみんな〜元気ない〜わ〜」


「元気なのはネイルだけよ」


「どうしたのみんな〜〜ギャン〜〜」


「とてもとても深刻なの、エルフ族が困っている、それも相手が同じ魔族である魔人ときた」


 ギャンはネイルに、悪いがかまっていられなかった。

 メドメールの顔が離れない。

 

「ネイル、また町から出るようになる、いいかい?」


「うん」


「ギガースについて教えて欲しい。どんな魔人なのかを」


 冷はネイルを抱きよせると、ガーゴイルに詳しく訊く。


「冷はギガースと戦うの…………、やはり冷はそう言うと思った。ギガースは中級魔人と認定されている強者。種類で言うと巨人の魔族。大型の魔物を大量に従えていて、どれもレベルは高い。魔法スキルよりも剣術や武器での戦いが得意。腕力が優れているのもある。ギガースも大型であるが、私達よりも頭3つ分は身長がある。魔物となると遥かに大型のもいるから手強い。人族からしたら驚くだろう。こんなところかな……」


 ガーゴイルは知ってる情報を教える。

 嘘の情報ではなかった。

 大げさに言って冷を困らせるのも考えたが、バレるとガーゴイルが困るので正直にギガースについて話した。


「巨人の魔族か……。初めて聞く。武器での戦いなら俺は問題ない。1番の得意な戦術さ。ナギ

ナタと拳、蹴りで戦える」


(ギガースがあくまでも戦うなら)


「待って冷、今の話はギガースと戦うのが前提でしょ、エルフ族から手を引いてもらうように話せばどう? ギガースが手を引いてくれれば戦わないで済む」


 シールドが話し合いを持ちかけると、


「エルフ族から手を引いてくれるようにか……俺には無理だろう、話すの好きじゃないからさ」


(なにしろ、そういうたぐいの交渉なんて苦手だから)


「シールドは冷が話すの好きじゃないのはまだわかってないみたいね、転生前は女の子と会話をしたことないのよ。転生してきてやっと話せるようになったから」


「そうでしたか……会話を訓練したらどうですか」


「余計な訓練だよ俺には」


(アリエル、余計なことを言うな)


「それなら国王にも相談するべき。エルフ族との交渉なら国王が引きうけるでしょう」


「ハンマド国王に会うか、そしてエルフ族と交渉してヤリッチ、ギガースを撤退させる」


「そうすれば戦いは避けられる」


「ヤリッチとギガースが撤退しますか簡単に、むしろ国王側の交渉人が殺される危険がある」


「人族とギガースとの大バトルに発展する、それを恐れて国王は交渉しないよ」


 それぞれ意見を言い合うが、どれも可能性がある。

 意見は割れてしまい困ると冷は、


「俺が国王に相談しよう。エルフ族を助けたい。異論はあるかも知れないが俺はエルフ族を助けたい。だがその前にだ……お風呂にしようか」


(疲れもあるだろうからお風呂が1番だ)


 大事な話し合いにも関わらず冷は彼女達の裸が見たくなりお風呂を優先した。

 その為リリスが怒り気味に、


「お前は、エルフ族よりも裸かよ!」


「でも道場での疲れもあるから、お風呂もいいわね」


 ボーガは汗まみれの体を洗いたい気持ちがあった。

 ゴーレムを残してお風呂場に集まる。

 初めてと道場のお披露目はとりあえず成功し冷は満足した。


「道場はいい感じでデビューできた。それもギャン、シールド、ボーガのおかげだよ。君たちが道場建設に力を貸してくれたからだ。お礼を言うよ」


(とても感謝してる)


「お礼だなんて、私もいい経験ができた。なにせ生まれてから道場などという建物は知らなかった。冷の故郷にある道場。弓の訓練していて凄く集中できた」


「私もスピアを気持ち良く振れたよ。あんなにいっぱい振ったのは初めてだろう」


「私の盾の防御力もアピールできた。ミーコ、リリスの剣術に耐えられた」


 3人とも冷に逆にお礼をしていた。

 

「そうかい、俺も嬉しいよ」


(魔族から道場を褒められるとはな)


 そこへバアちゃんが裸で現れると、


「魔族にもあった道場の精神。やってみないとわからないものだな冷よ」


「ああ、バアちゃんもそう思うか。俺も魔族には精神的に合わないかもと考えていたけど、心配なかった」


「うん、道場は誰にも平等。強くなりたいと思う者を拒まないのだよ。逆に強くなりくない者には、苦行にしかならない。これからも続けなさいギャン、シールド、ボーガさん」


 バアちゃんは3人に励ましの言葉をかけると嬉しそうに返事を、


「ありがとうございます、冷のおばあちゃん」


「おばあちゃんは、よしなさい!」


「ああっ、すみませんでした」


「それにしても冷のおばあちゃんは、とてもお若いのですね。どう見ても10代の女の子にしか見えないです」


「私もびっくりしてる、どうも女神さんが気を使ってしたのかもね」


 女神のアリエルは、


「私がナギナタにおばあちゃんを一体化させたの。熱湯をかけるとおばあちゃんの姿に戻るのは、冷には喜ばれるかと思って……」


「ありがとうございます女神さん。私は嬉しいですよ」


 バアちゃんは喜んで胸を揺らした。

 お風呂場は平和な時間となる。

 しかしエルフ族の件については、問題は難航しそうな感じであった。


 逆に冷だけはお風呂での裸をみて楽しむと……。

 

(みんなの裸はいいよな。エルフ族の裸も見てみたいものだ……)


 といい加減な気持ちであった。

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